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(1+x)^n=(1-x)^nを解いてtanの値を求める

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$(1+x)^{n}$$=(1-x)^{n}$を解いて(楽に)$tan$の値を求める

まずは...

$(i+x)^{n}=(i-x)^{n}$から$tan$$\frac{m}{n}$$\pi$を求める

$(i+x)^{n}=(i-x)^{n}$の解$x$$tan$$\frac{m}{n}$$\pi$となる
$m$$- \frac{n}{2} \lt m\lt$$\frac{n}{2}$を満たす整数

定理1の式は$(1-xi)^{n}$=$(1+xi)^{n}$を両辺$i^{n}$を掛けたものである。
故にこの式を解くのと同値
絶対値を考える故$x$は実数でないと成り立たないので
$(1+xi)^{n}$=$(\sqrt{1+ x^{2} })^n$$(cosn \theta+isinn \theta )$
$(1-xi)^{n}$=$(\sqrt{1+ x^{2} })^n$$(cos$-$n \theta+isin$-$n \theta )$
$θ$$tanθ=x$を満たすものである)
複素数平面の図形を考えることにより、
$n$ごとに時計回りするものと半時計回りするものにより、またその逆により、
$nθ$$..,-\pi,0,\pi,2\pi,3\pi,..$となるとき、$(1-xi)^{n}$=$(1+xi)^{n}$を満たす
よって、$θ$は整数$m$を用いて$\frac{m}{n}$$\pi$となり
図形的に偏角を考える事により、
$θ$$-\frac{\pi }{2}$$\lt$$\theta$$\lt$$\frac{\pi }{2}$の範囲なので、$m$$- \frac{n}{2} \lt m\lt$$\frac{n}{2}$を満たす$m$を用いて
$x=tanθ=tan \frac{m}{n} \pi $となる。

解きやすい形に

$(i+x)^{n}$=$(i-x)^{n}$の解が$tan$の値になることはわかりました、が。
虚数が入ってるのを二項定理で展開するのは少し面倒です。

ここで
$x=ti$と置換し、
$ (i+ti)^{n} = (i-ti)^{n} $
両辺を$i^{n}$で割ってあげると
$ (1+t)^{n} = (1-t)^{n} $
簡潔で素晴らしい式が!

$ (1+x)^{n}= (1-x)^{n} $を解いた解$x$$i$を掛けたものは、
$tan \frac{m}{n} \pi $となる
ただし、$m$$- \frac{n}{2} \lt m \lt \frac{n}{2} $を満たす整数

対称に値がでてくるため、
正とか負とかは考えなくて良いので$i$はかけたり割ったりして消していいです。
また$- \frac{\pi }{2} \lt θ\lt\frac{\pi }{2}$$θ$と求まる$tan$の値の大小関係は一致します。

実践

では早速つかってみよう!

公式1をつかってみよう

$n=4$の場合

$ (1+x)^{n} = (1-x)^{n}$
$1+4x+6x^2+4x^3+x^4=1-4x+6x^2-4x^3+x^4$
$4x+4x^3=-4x-4x^3$
$8x+8x^3=0$
$8 \cdot x(1+x^2)=0$
$x=0, \pm i$
$m$$-\frac{n}{2}\lt m\lt\frac{n}{2}$を満たす整数なので$\frac{m}{n} \pi $に相当するものは$-\frac{1}{4}\pi,0,\frac{1}{4}\pi$
$x$$i$を掛けたものを小さい順に並べると、$-1,0,1$
$tan$の値と$θ$の大小関係は一致するので、
$tan -\frac{1}{4} \pi=-1,tan0=0,tan \frac{1}{4} \pi=1 $となります。

使い勝手を試しましょう。

$tan36°の値を求めよ。$

$36°$$\frac{1}{5} \pi $なので$n=5$で解いていきましょう。
解を求めるだけでいいので、左辺を展開し、奇数次数項のみを書き出せば良さそうです。
(後で消える項や、2倍する過程を飛ばします)
$(1+x)^5=(1-x)^5$
$5x+10x^3+x^5=0$
$x(x^4+10x^2+5)=0$$x=0$の解を得ました。
$(x^4+10x^2+5)=0$の部分を考えます。
$x^2=t$とおいて$t^2+10t+5=0$を解きます。
二次方程式の解の公式を用いて$t=-5\pm2\sqrt{5}$
$x^2=t$を使って$x$に戻すと、$x=\pm\sqrt{-5\pm2\sqrt{5}}$
$-5\pm2\sqrt{5} \lt0 $なので、$x=\pm\sqrt{5\mp2\sqrt{5}}i$
$tan$の値の候補(求めた$x$$i$を掛けたもの)は$0$,$\mp\sqrt{5\mp2\sqrt{5}}$
これらの解は$tan$$\frac{-2}{5}\pi,\frac{-1}{5}\pi,0,\frac{1}{5}\pi,\frac{2}{5}\pi$であり、
それぞれ$-\sqrt{5-2\sqrt{5}},-\sqrt{5+2\sqrt{5}},0,\sqrt{5-2\sqrt{5}},\sqrt{5+2\sqrt{5}}$
よって、$tan36°$の値は$\sqrt{5-2\sqrt{5}}$

計算のコツや、解ける限界の$n$について

例えば$(1+x)^2=(1-x)^2$を満たす$x$は、
勿論、$(1+x)^4=(1-x)^4$を満たします。

つまり、公式を展開した時、$n$が偶数の時は$n-1$次式、$n$が奇数の時は$n$次式が出てきますが、$n$の約数までに現れた式で割り切ることができます。

割れる分だけを割り切った上で、解く必要がある式の次数$m$
$n=2$の時だけ、$0$に置き換えたオイラーの$φ$関数となります。
($φ(n)$=自然数$n$に対して、$1$から$n$までの自然数の中で$n$と互いに素なものの数)

なぜオイラーの$φ$関数となるのか

$φ$関数の定義に
$n$の約数$1,n_{1},n_{2},...,n$を用いて
$φ(1)+φ(n_1)+φ(n_2)+...+φ(n)=n$があり、
また、$n$で初めて現れた式の次数$m(n)$
$m(n)=n-m(1)-m(n_1)-m(n_2)-...$と計算できるが、
これは$φ$関数の定義を式変形したものである。
$n=2$に限って0なのは、偶数の場合は次数が一番大きい項が消え、2行上の式の$n$$n-1$にするからである。$n$$2$以外の偶数の時は、引かれるはずの$m(2)=0$となるため、結局$φ$関数になる。

$m(n)= \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 0...(n=2) \\ φ(n)...(n \neq 2) \end{array} \right. \end{eqnarray} $

$(n,m)=(1,1)(2,0)(3,2)(4,2)(5,4)(6,2)(7,6)(8,4)(9,6)(10,4)(11,10)(12,4)...$
となります。2次方程式の解の公式までしか使えないと考えると、
求められる大きい$n$$12$までのようです。($15°$刻み)

最後に

ここまで読んでくださりありがとうございました。
最後に公式とコツが使える問題を残しておきます。
ぜひチャレンジしてみてください!

Exercises

$tan18°を求めよ。$

投稿日:5月26日
更新日:22日前
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Spark
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13
703
浪人生/数学バトルがあるとしたら県大会予選落ちレベル

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