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現代数学解説
文献あり

『代数函数論』定義1.6と定理1.8

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指数付値の定義を思い出しておきます.

離散的な指数付値

KからR{}への写像νが以下の条件を満たすときνK上の離散的な指数付値という.

  1. ν(0)=.またa0ならばν(a)は有理整数.
  2. ν(xy)=ν(x)+ν(y)
  3. ν(x)0ならばν(1+x)0
  4. ν(a)0,なる元が存在する.

さて,L/Kという体の拡大があったとします.Lにおける素因子をPKにおける素因子をPとしたときに,もしもPに含まれる付値のKへの制限がPにに含まれるなら,PP拡張PP射影といいます.
Lの素因子Pに関する付値環,素イデアルをo,pとします.
Kの素因子Pに関する付値環,素イデアルをo,pとします.
p=opが成り立っているので,環の同型定理より(o+p)/po/po+poの部分環なので,Pの剰余体KPの剰余体Kを含んでいるとしてよい.この拡大次数f=[K:K]のことをPPに関する相対次数といいます.
Pに含まれる正規付値νPKへの制限は一般に正規付値を与えるとは限らないので,そのずれの次数,つまりνP=eνPとなる自然数ePPに関する分岐指数といいます.

ここで,Lの素因子PKにおける射影が必ず存在するか,という問題を考えます.これは,L/Kが有限次拡大ならば存在します.証明しておきましょう.

νPに属する一つの付値とする.Lで付値の条件を満たしているので,定義1の13は明らか.4を確かめる.ν(u)0,なるLの元uをとる.L/Kは有限次拡大なので代数拡大でもある.よってaiKが存在して
a0un+a1un1++an=0
が成立する.ここで,ν(ai)=0i=0,1,,n)と仮定すると,ν(aiuni)=(ni)ν(u)は互いに相異なるので
=ν(0)=ν(a0un+a1un1++an)=min(ν(aiuni))となるがこれは矛盾.よってν(ai)の中に0でないものが存在する.

制限するだけなので,Pの射影はただ一つです.
ここで次の命題が成り立ちます.

L/KにおいてLの素因子PKへの射影をPとすればPPに関する相対次数f[L:K]以下である.

x1,xmoについて,これらのmodpに関する剰余類xiKに関して一次独立だった時x1,,xmKに関して一次独立であることを示せばよいです.詳細は参考文献[1]を見てください.本質的には参考文献[1]の補題1.7と同じことをします.

終わりに

次の定理1.9が長いんですよね.う~ん.どうしたもんかな.という所で.今回はここまで.ここまで見ていただきありがとうございました!

参考文献

[1]
岩澤健吉, 代数函数論
投稿日:20241114
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はじめまして!楽しい記事を書ければと思いますので、よろしくお願いします。

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