指数付値の定義を思い出しておきます.
離散的な指数付値
からへの写像が以下の条件を満たすときを上の離散的な指数付値という.
- .またならばは有理整数.
- ならば
- なる元が存在する.
さて,という体の拡大があったとします.における素因子を,における素因子をとしたときに,もしもに含まれる付値のへの制限がにに含まれるなら,をの拡張,をの射影といいます.
の素因子に関する付値環,素イデアルをとします.
の素因子に関する付値環,素イデアルをとします.
が成り立っているので,環の同型定理より.はの部分環なので,の剰余体はの剰余体を含んでいるとしてよい.この拡大次数のことをのに関する相対次数といいます.
に含まれる正規付値のへの制限は一般に正規付値を与えるとは限らないので,そのずれの次数,つまりとなる自然数をのに関する分岐指数といいます.
ここで,の素因子のにおける射影が必ず存在するか,という問題を考えます.これは,が有限次拡大ならば存在します.証明しておきましょう.
をに属する一つの付値とする.で付値の条件を満たしているので,定義1のは明らか.を確かめる.なるの元をとる.は有限次拡大なので代数拡大でもある.よってが存在して
が成立する.ここで,()と仮定すると,は互いに相異なるので
となるがこれは矛盾.よっての中にでないものが存在する.
制限するだけなので,の射影はただ一つです.
ここで次の命題が成り立ちます.
においての素因子のへの射影をとすればのに関する相対次数は以下である.
について,これらのmodに関する剰余類がに関して一次独立だった時はに関して一次独立であることを示せばよいです.詳細は参考文献[1]を見てください.本質的には参考文献[1]の補題1.7と同じことをします.
終わりに
次の定理1.9が長いんですよね.う~ん.どうしたもんかな.という所で.今回はここまで.ここまで見ていただきありがとうございました!