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ふしぎな数列2

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こんにちは、itouです。
前回の記事 で考察したように、

$(x_0n^2+x_1n+x_2)a_{n+1}=(x_3n^2+x_4n+x_5)a_n+(x_6n^2+x_7n+x_8)a_{n-1} (n\geq1)$ 
という漸化式の解を求めることは難しいです。しかし、今回条件を付け加えることで初等関数でかける解を求める方法を発見しました!

以下$x_0,x_1,x_2$は実数とします。

 条件

$$   (n+1)^2u_{n+1}=(x_0n^2+x_0n+x_1)u_n+x_2n^2u_{n-1} (u_0=a,u_1=b) (n\geq1)\tag{1.0}\label{name1} $$
で定められる数列の一般項を$u_n(x_0,x_1,x_2)[a,b]$と表す。$u_0=1,u_1=x_1$の場合には、単に$u_n(x_0,x_1,x_2)$とかく。

  つまり、係数を固定して考えてみようということです。まずは基本的な定理を証明します。

$m$を正の数として

$$ u_n(x_0,x_1,x_2)[a,b]=u_n(\frac{x_0}{m},\frac{x_1}{m},\frac{x_2}{m^2} )[a,\frac{b}{m}]×m^n  \tag{1.1}\label{name2} $$

$n=0,1$で成立し、$n$までの成立を仮定して、$n+1$のとき、
\begin{multline} \begin{split} (n+1)^2u_{n+1}(x_0,x_1,x_2)[a,b] &=(x_0n^2+x_0n+x_1)u_n[a,b]+x_2n^2u_{n-1}[a,b] \\ &=(x_0n^2+x_0n+x_1)u_n(\frac{x_0}{m},\frac{x_1}{m},\frac{x_2}{m^2} )[a,\frac{b}{m}]×m^n+x_2n^2u_{n-1}(\frac{x_0}{m},\frac{x_1}{m},\frac{x_2}{m^2} )[a,\frac{b}{m}]×m^{n-1}\\ &=(n+1)^2u_{n+1}(\frac{x_0}{m},\frac{x_1}{m},\frac{x_2}{m^2} )[a,\frac{b}{m}]×m^{n+1}\\ \end{split} \end{multline}
一つ目と三つ目の等号は漸化式から、二つ目の等号は仮定からわかります。

初期条件について線形

$u_n(x_0,x_1,x_2)(a,b)$を、\ref{name1}の漸化式を満たし、$u_0=a,u_1=b$で定められる数列とする。このとき、
$u_n(x_0,x_1,x_2)[a,b]=a×u_n(x_0,x_1,x_2)[1,0]+b×u_n(x_0,x_1,x_2)[0,1]$
である。

\ref{name1}の漸化式により、$a,b$の係数それぞれに着目することでわかります。

つまり、初期条件が一次独立な2つの一般項を表示できれば、全ての初期条件に対し解を表示できるということです。

多項式解があるための必要条件

\ref{name1}の解が多項式であるためには、$x_0=2$かつ$x_2=-1$が必要である。

多項式解が存在すると仮定して、$n$の最高次数と2番目に大きい次数の係数を比較することで、$x_0=2$かつ$x_2=-1$が必要だと分かります。

さて、具体例を見てみましょう。

$u_n(2,1,-1)$は、
$(n+1)^2u_{n+1}=(2n^2+2n+1)u_n-n^2u_{n-1} (u_0=1,u_1=1)$
ですが、これは計算するとすべて1だと分かります。ゆえに
$u_n(2,1,-1)=1$

$u_n(2,3,-1)$は、
$(n+1)^2u_{n+1}=(2n^2+2n+3)u_n-n^2u_{n-1} (u_0=1,u_1=3) $
ですが、これは計算すると奇数の列だと分かります。ゆえに
$u_n(2,3,-1)=2n+1$

$u_n(2,7,-1)$は、
$(n+1)^2u_{n+1}=(2n^2+2n+7)u_n-n^2u_{n-1} (u_0=1,u_1=7) $
ですが、これは計算して階差をとることで、
$u_n(2,7,-1)=3n^2+3n+1$

$u_n(4,14,-4)$は、
$(n+1)^2u_{n+1}=(4n^2+4n+14)u_n-4n^2u_{n-1} (u_0=1,u_1=14) $
ですが、定理1と例3より、
$u_n(4,14,-4)=(3n^2+3n+1)2^n$

任意の$x_1$について$u_n(2,x_1,-1)$が多項式なのかどうかはまだ分かっていませんが、
$x_1=1,3,7,13,21$のときは多項式解があり、しかもすべて整数になることは分かっています。
さて、上の例と同じ漸化式をみたし、初期条件が一次独立な解を見つけたいです。
そこで、$u_n(x_0,x_1,x_2)[0,1]$を調べます。以降、$u_n(x_0,x_1,x_2)[0,1]$を単に$u'_n(x_0,x_1,x_2)$とかきます。

$u'_n(2,x_1,-1)$は多項式ではありません。しかし、同じ漸化式を満たす解に多項式が存在する以上、良い性質を持っているはずです。そう考えて調べた所、次の性質に気が付きました。

$u'_n(2,x_1,-1)$は何度も階差をとることで解を求められる。

例えば、
$u'_n(2,1,-1)$の漸化式
$(n+1)^2u_{n+1}=(2n^2+2n+1)u_n-n^2u_{n-1}$を変形することで、
$(n+1)^2(u_{n+1}-u_{n})-n^2(u_{n}-u_{n-1})=0$とできるが、これより、$(n+1)^2(u_{n+1}-u_{n})=1$なので、階差が$\frac{1}{k^2}$であることが分かります。ゆえに
$u'_n(2,1,-1)=\sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{k^2}}$

$u_n(2,1,-1)[1,0]=1-\sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{k^2}}$
$u_n(2,1,-1)[0,1]=\sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{k^2}}$なので、

$u_n(2,1,-1)[a,b]=a(1-\sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{k^2}})+b\sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{k^2}}$

$u'_n(2,3,-1)$も同様に、2階階差が$\frac{1}{(k+1)^2(k+2)^2}$なので、
$u'_n(2,3,-1)=n+1-\sum_{k=1}^{n-1}{c_k}(n\geq1)$
ただし$c_k=\sum_{m=1}^{k}{\frac{1}{m^2}}-\frac{3k^2+4k}{(k+1)^2}$です。

$u_n(2,3,-1)[1,0]=-n-2+3\sum_{k=1}^{n-1}{c_k}$
$u_n(2,3,-1)[0,1]=n+1-\sum_{k=1}^{n-1}{c_k}$なので、

$u_n(2,3,-1)[a,b]=a(-n-2+3\sum_{k=1}^{n-1}{c_k})+b(n+1-\sum_{k=1}^{n-1}{c_k})$

が分かりました。

まとめと考察

\ref{name1}の多項式解をもつ漸化式について調べ、初等的な方法で解が構成できる場合があることを発見しました。また定理1の通り、\ref{name1}の解に指数関数を乗じたものも、\ref{name1}の解になることを発見しました。
しかし、
$u_n(11,3,1)=\sum_{k=0}^{n}{ n \choose k }^2{ n+k \choose k }$
$u_n(11,3,1)[0,5]=\sum_{k=0}^{n}{ n \choose k }^2{ n+k \choose k }c_{n.k}$
ただし$c_{n,k}=2\sum_{m=1}^{n}{\frac{(-1)^{m-1}}{m^2}}+\sum_{m=1}^{k}{\frac{(-1)^{n+m-1}}{m^2{ n \choose m }{ n+m \choose m }}}$

のような興味深い解を求める方法は分かっていません。が、$\sum_{k=1}^{n}{\frac{1}{k^2}}$や二項係数の積の和の性質が重要なようです。

謝辞

ここまで読んで下さりありがとうございました。誤り等の指摘お願いします。また、前回の記事で参考文献を教えてくださったbisaitamaさんに感謝申し上げます。

投稿日:202392
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itou
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