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高校数学解説
文献あり

漸化式をできるだけたくさん紹介する記事

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漸化式ガチャ超級の類題を記事内に含みます。ネタバレを避けたい方は演習問題でブラウザバック推奨です。(演習問題に超級パロディを含んでいます。)

本気を出す数学B

漸化式を解くのはとても楽しいです。なので解きましょう。簡単な数列から、有名な数列まで。漸化式の難易度を(Lv.x)で表します。

等差数列の一般項(Lv.1)

n番目の項をan (nZ+)と表すことにします。

公差dの等差数列とは、
an+1=an+d
を満たすものである。

初項a1、公差dの等差数列{an}の一般項は、
an=a1+(n1)d
一般に、kZに対し、
an=ak+(nk)d
が成り立つ。

定義の右辺を順番に展開していくと導けます。一応、n,kともに整数として見ることができます。

等比数列の一般項(Lv.1)

公比rの等比数列とは、
an+1=ran
を満たすものである。

初項a1、公比rの等差数列{an}の一般項は、
an=a1rn1
こちらもkZに対し、
an=akrnk

これも帰納的に導けます。

特性方程式を解くやつ(Lv.1)

よく、an+1=pan+q (A) とされてるやつの一般項です。特性方程式の立て方から一般項まで。今回は初項a1の場合のみ紹介します。

(A)の一般項anは、
an=pn1(an+qp1)qp1

大事なのは等比数列の形に持ち込むこと。
an+1α=p(anα) (B)という形に変形すれば、
anα=(a1α)pn1に変形することができる。
ここで、(A)(B)をすると、α=pα+q (C)
つまり、偶然(A)an+1,anαに置き換えたものになる。
(C)より、α=qp1
すなわちこれはp=1(等差数列)のときには使用できない
よってこれを(B)に代入すると、
an+1+qp1=p(an+qp1)
ここで、an+qp1=bn (D)とすると、初項b1a1+qp1
よって、bn+1=pbnから、bn=b1pn1=pn1(a1+qp1)
(D)から、an=pn1(a1+qp1)qp1

Mustnt暗記。こんな公式覚えるくらいなら(B)(C)の形を覚えたほうが身のためやで。
以下出てくる漸化式はすべて一般的な解はそう簡単に存在しません。注意してね。

階差数列を持つタイプ(Lv.2)

ある項と直後の項の差をとったものを階差数列と呼びましたね。形としては、
an+1=an+f(n)です。f(n)anの階差数列となってます。

anの階差数列{an+1an}の一般項をbnとしたとき、
an={a1+k=1n1bk (n2)a1 (n=1)

ほとんどの場合n1でまとまっちゃう。基本こういうのはシグマ公式で処理します。形だけ似た別物がいるので紹介。

階差数列っぽい違うやつ(Lv.3)

このパートで説明する漸化式の形は、
an+1=pan+f(n)です。p1となっているので解き方は上とは異なります。
解き方は、もちろん特性方程式みたいに変形できる前提として、
an+1+g(n+1)+α=β(an+g(n)+α)
にできれば解決。an+g(n)+αをカタマリとして見るので、左辺ではg(n)g(n+1)になるように、ずれている必要があります。
今回はたくさん紹介したいので、演習問題は他の方々のサイトに委ねます。

指数が入ったやーつ(Lv.3)

an+1=pan+qrnのような形です。数字をずらすための工夫がいるので、大体こういうのはpn+1で割ってbn=anpnとして階差数列を作るタイプにするか、rn+1で割ってbn=anrnとして特性方程式を作れる形にします。大体誘導付きだそうです。

逆数にする形(Lv.2)

an+1=panqan+r
基本誘導つき。両辺逆数をとりましょう。ここで、必ずa1と漸化式の形からan0であることを断ってください。じゃないと、ね。分かるね。
1an+1=qp+rp1anとなるので、bn=1anとおけば特性方程式が作れる形になります。

階...比...数列?を含む形(Lv.4)

例のサイトでの呼称です。お借りします。
an+1=f(n)an
大学の総乗記号を使うと、一般項が総乗でつくれます。

an+1=f(n)anの一般項anは、
an={a1k=1n1f(k) (n2)a1 (n=1)

総乗記号を詳しく知りたい方は、...調べましょう。簡潔に言えば、Σの掛け算verです。
高校生の解き方としては、帰納的に解くか、数字が合うようにうまく調整するか。つまりg(n+1)an+1=g(n)anにすれば勝ちです。

次数ずれ(Lv.3)

an+1=panqの形。次数が違う。そうです。
両辺底がpとかpとかa1の対数をとりましょう。もちろん真数条件も確認しましょう。誘導? ついてるっしょ。さすがに。

隣接三項間(Lv.5)

いよいよ来ました。正直数学好き向けです。解き方にはセオリーがいろいろあるんですが、覚える容量を減らしたいならば、未定係数法。特性方程式やそれっぽい形にします。
an+2+f(n+1)an+1+g(n+1)=β(an+1+f(n)an+g(n))という形に変えられれば勝利。(f(n)g(n)が定数であればもっと簡単。)二つ新たな漸化式が出てくるのでそれらをそれぞれ解いて連立させてanが求まります。ちなみに隣接n項間漸化式では初項がn1個定まっています。じゃないと解けない。

和を含むタイプ(Lv.2)

a1+a2++an=Snとすれば、Sn+an+1=Sn+1。以上。これを使って攻略してね。基本初項がないタイプです。あとS1=a1(初項)。

その他の形

誘導付きじゃなきゃ出ないってくらい難しいものもあります。一応形だけ紹介。
1.一次分数型漸化式(Lv.6)
an+1=panqrans
これにも特性方程式があるのですが、参考文献のほうに掲載いたしますので。そこから「一次分数型」を探してください。

2.連立漸化式(Lv.4)
an+1=αan+βbn+γ , bn+1=δan+εbn+ζ
定数がない場合が多いかも。解き方は参考文献から。場合によっては三元連立版(Lv.7)もあります。

3.変数変換型漸化式(Lv.10)
e.g.  an+1=2an21
漸化式ガチャ超級を解いてる方なら一発でお見通しでしょうが、まあ難しい。初見じゃわからない人が多いです。私が作る立場なら誘導付きで作ります。確実に!!

4.ガウス記号を含む漸化式(Lv.13)
漸化式ガチャ超級を引いてください。そうしたら恐ろしさが分かります。多分誘導あっても出ないでしょう。出るな!!

5.隣接"四"項間漸化式(Lv.8)
e.g.  an+3+αan+2+βan+1+γan=δ
方針は比較的読みやすいです。数字がずれるように変形してから階差数列の一般項をつくって...長い。

6.一般項が求められない漸化式(Lv.99999999...)
e.g.  an+1= n!anan(nn)!k=1nkkak(nk3)! 
解けないなら解けないで終わりです。この例が解けたら教えてください。深夜テンションで作った漸化式なので。

演習問題

ここまで解法を紹介してきましたが、一般項を推測→数学的帰納法で証明、もありなので。
(1) a1=2 , an+1=3an1
(Lv.2)ヒント: anαの形を作って等比数列の形に持ち込む

(2) a1=1 , an+1=2ann
(Lv.3)ヒント: 両辺それぞれn+1,nの式を作る

(3) a1=1 , an+1=(n+1)2an
(Lv.4)ヒント: 対数をとってしまうと(n+1)2が対数の中身になってしまうので別の処理を考える

(4) F1=1 , F2=1 , Fn+2=Fn+1+Fn
(Lv.5)ヒント: フィボナッチ数列。ちゃんと両辺n+2,n+1 , n+1,nの形を作って階差数列を出す

(5) a1=49 , an+1=an2
(Lv.3)ヒント: 次数のずれは基本的に対数で解消せよ

(6) Sn=2(an+n)3  (Sn=k=1nak)
(Lv.2)ヒント: Sn+1を作って初項や普通の漸化式を生み出す

(7) a1=3 , an+1=an(an23)
(Lv.10)ヒント: いかに形に気付けるか。気づいたらan=f(bn)のような形として変数変換を行う。

(8) a1=1 , ak=0 (k2,kN) を一つの閉形式の一般項anで表せ。
(Lv.??)ヒント: 気づけたら天才。別解もおそらく存在する。

演習解答

(1)
an+1=3an1an+112=3(an12)と変形できるので、
an12=bnとするとb1=32より、
bn=b13n1=123n
したがって、an=12(3n+1)

(2)
an+1=2ann
an+1+α(n+1)+β=γ(an+αn+β)として展開し整理すると、
an+1=γan(ααγ)n+(βγαβ)
係数比較してγ=2 , α=1 , β=1
よって漸化式を変形すると、an+1(n+1)1=2(ann1)
ann1=bnとおくとb1=1 , bn+1=2bn
すなわちbn(=ann1)=2n1であるから、
an=n2n1+1

(3)
an+1=(n+1)2an
【解法1】
an+1=(n+1)2anよりan=n2an1
よってan+1=(n+1)2n2an1=(n+1)2n2(n1)2an2
==(n+1)2n2(n1)222a1=(n+1)!2
よって、an=(n!)2
【解法2】
漸化式の両辺を(n+1)!2で割ると、
an+1(n+1)!2=(n+1)2an(n+1)2(n!)2
an(n!)2=bnとおくと、bn+1=bn=bn1==b1=1
したがってan(n!)2=1より、an=(n!)2

(4)
Fn+2αFn+1=β(Fn+1αFn)を展開して整理すると、
Fn+2(α+β)Fn+1+αβFn=0
これは解と係数の関係と一致するため、x2x1=0の二つの解がx=α,βとなる。つまりαβの位置の交換が可能なので、
{Fn+2αFn+1=β(Fn+1αFn)Fn+2βFn+1=α(Fn+1βFn)
それぞれについて漸化式を解くと、
{Fn+1αFn=(1α)βn1Fn+1βFn=(1β)αn1
辺々引くと、(βα)Fn=(1α)βn1(1β)αn1
ここで、x2x1=0についてα=152 , β=1+52とすると、
5Fn=(1+52)n(152)n
よって、Fn=15{(1+52)n(152)n}

(5)
an+1=an2に関して両辺底2の対数をとると、
log2an+1=2log2anとなるので、log2an=bnとおく。
bn+1=2bnより、bn=b12n1=2n1(2log223)=2n(log223)
よって、an=22n(log223)=(23)2n

(6)
Sn=2an+2n3より、Sn+1=2an+1+2n1
辺々引くと、an+1=2an+12an+2an+1=2an2an+12=2(an2)
ここで、初項はS1=a1からa1=2a11a1=1
よって、an2=2n1から、an=2(12n2)

(7)
an+1=an33anに関して、an=2cosθnとおくと、θ1=π6より、
2cosθn+1=8cos3θn6cosθncosθn+1=4cos3θn3cosθn
ここで、cos3θ=cosθcos2θsinθsin2θ=cosθ(2cos2θ1)2sin2θcosθ=2cos3θcosθ2(1cos2θ)cosθ
=4cos3θ3cosθより、cosθn+1=cos3θn
角度の部分が等比数列なので、θn=π63n1=3n22π
したがって、
an=2cos3n22π

(8)(解説略)
an=tan(4n2π)

演習小話

(1)は基本的な問題です。(2)はナンバリングがずらせるかがポイント。(3)は帰納的に解くことをお勧めします。早々階乗で割るなんてアイデア出ない。(4)はかの有名なフィボナッチ数列の一般項を求める問題。α,βともに黄金数と直接的な関わりを持ちます。(5)は対数の性質がわかっていればよいです。(6)は和の性質がわかればよいです。(7),(8)は何となくわかればいい...?

漸化式は解きまくれ!

数をこなしてこそ漸化式や積分に強くなれます。漸化式,積分,因数分解,極限ガチャで強くなりましょう!!

参考文献

投稿日:511
更新日:513
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関数をつくろう(掛詞)

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  2. 等差数列の一般項(Lv.1)
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