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Physics Lab.2026生物物理班紹介

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挨拶

はじめまして、Physics Lab.2026生物物理班の班長です。この記事では以下の2点について簡単にご説明します。
1.生物物理学とはどんな学問なのか
2.Physics Lab.2026生物物理班はどんな活動を行っているのか

私自身勉強を始めたばかりで拙いところもあり恐縮ですが、この記事を通して生物物理学やPhysics Lab.生物物理班に興味を持っていただけたら嬉しいです。

1.生物物理学とはどんな学問なのか

生物物理学は、生命現象を物理の道具を用いてモデル化しその仕組みを理解することを目指す学問です。具体的には以下のような物理学•生物学の学問領域が融合し構成されている学問です。

  • 非平衡統計力学
    非平衡状態を記述する熱力学や統計力学の理論を見出す
  • ソフトマター物理学
    粘弾性を有する系の挙動を熱力学や統計力学を用いて理解する
  • アクティブマター物理学
    運動し、相互作用する多体系の挙動を熱力学や統計力学を用いて理解する
  • システム生物学
    生命現象を数理的な系とみて理解する

対象とする系や使う物理学の道具は様々ですが、いずれも生命現象を物理系として見て、その性質や挙動を理論的に説明することを試みるという共通点があります。

個人的見解ではありますが、生物物理学の面白い点は、モデル化という単純化する操作を通して生命現象をとらえる点です。一見変数を落とすと元の生命現象を再現できないのではないかと思われますが、それでかえって本質的な動作原理が抽出されたり、生物種間、異なるスケールの現象間で共通の性質や構造が見えてきたりするのがわくわくします。

2.生物物理班はどんな活動を行っているのか

他の班と同様に、メインの活動は自主ゼミの開催と五月祭におけるポスター展示の作成です。

自主ゼミ

同じ本・分野に興味がある人で輪講・輪読を行っています。
現在活動しているゼミをご紹介します。

  • アクティブマターゼミ
    題材は 
    John Toner(2024).The Physics of Flocking
    で、アクティブマター系において、各個体がランダムに運動している状態からある変数を変化させていくと起こる'flocking'と呼ばれる相転移についての理論を学んでいます。生物物理学への応用の例としては、自然界において、鳥の群れの形成から細胞のコロニーの形成まで幅広いスケールで見られる個体の集団の形成のこの理論を用いた考察が試みられています。
    引用元(https://www.cambridge.org/core/books/physics-of-flocking/7156611CA514710F371ECCCB07558976) 引用元( https://www.cambridge.org/core/books/physics-of-flocking/7156611CA514710F371ECCCB07558976 )
  • ゆらぎの熱力学ゼミ
    題材は 
    白石直人(2023).An Introduction to Stochastic Thermodynamics From Basic to Advanced 
    で、非平衡系の熱力学を学んでいます。生物物理学への応用の例としては、生命現象の随所にみられる、環境に対して柔軟に変化する可塑性と、ゆらぎを加えても定常状態になる頑強性の両立がどのように行われているかを非平衡系の熱力学を用いて理論的にとらえる試みがあります。
    引用元(https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-19-8186-9) 引用元( https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-19-8186-9 )
  • スケーリングゼミ
    題材は 
    Pierre-Gilles de Gennes著,高野宏, 中西秀共訳(1984).高分子の物理学 スケーリングを中心にして 
    です。高分子溶液に特有の相転移や動的性質を統計力学、熱力学を用いたモデル化と実験事実の比較を通して、注目している高分子の挙動におもに影響を与える要素は何かを理論的にとらえるスケーリングの手法が主題となっています。生物物理学への応用の例としては、生体の主構成要素であるタンパク質や脂質といった高分子の挙動が理解できれば、生体内で起こる現象の理解につながるということがあります。
    引用元(https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=477744054) 引用元( https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=477744054 )
  • スペクトルグラフ理論ゼミ
    題材は 
    吉田悠一(2024).スペクトログラフ理論 
    です。スペクトログラフ理論とは、グラフの構造の特性を線形代数を用いて考察する学問で、生物物理学への応用の例としては、機械学習に使用される神経回路モデルであるニューラルネットワークの考察への応用が挙げられます。
      引用元(https://www.saiensu.co.jp/search/?isbn=978-4-7819-1601-9&y=2024) 引用元( https://www.saiensu.co.jp/search/?isbn=978-4-7819-1601-9&y=2024 )
    実はこのほかに、スポーツ身体運動ゼミというスポーツが好きな学科生が集まって運動する会も生物物理班に含まれており、定期的にサッカーを行っています。
五月祭ポスター展示
  • それぞれが自分の興味のあるトピックについてポスターを作成し、来場者の方に説明するという形で行っています。トピックについての理解を深め、その面白さを来場者の方と共有することができるのが楽しい企画です。

終わりに

最後までお読みいただきありがとうございました。興味を持っていただけた方は、ぜひ五月祭の展示に足を運んでいただけると嬉しいです。また、学生の皆さんは生物物理班への参加をいつでも歓迎しています。

投稿日:3日前
更新日:1日前
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