はじめに
みなさん,受験数学で何かしらの関数の展開における二次の係数を(間接的にも)答えさせる問題に遭遇したことはありますか?
僕はあります.一次なら微分の定義で解決することがほとんどなのですが,二次となるとそれだけでは苦しく,ロピタルの定理やお気持ちの極限,,テイラー展開などでやり過ごすことがよくあります.
よって,この記事を通して,ちゃんと受験数学の作法に則って二次の係数を取り出せるようにしたいと思います.
誤りや,より早い証明があれば是非コメントで教えていただけると助かります!(もしかしたら微分の定義だけでいけたり…)
(↓証明するもの↓)
f(x)のx=0での展開の二次の係数
が十分小さい非負実数で定義されるとき,以下が成立する.
証明
(平均値の定理+微分係数の定義)
正の実数についてとする.またについてとする.このとき,かつが成立する.はで連続かつで微分可能なので平均値の定理により,あるが存在して以下が成立する.
ゆえに,の極限をとると
より示せた.
(コーシーの平均値の定理)
およびとおく.このとき,かつとなっている.コーシーの平均値の定理よりあるが存在して,
とでき,各辺とすると微分係数の定義より
であり題意の主張を得る.
使用例
. 考えたい人用
.
.
.
.
.
.
.
面積評価
とおく.また,とおく.このときは十分大きなで単調増加なのでについて以下が成立する.
で辺々足して,
と計算できるので,
と置き換えて,とすることで冒頭の定理を適用でき,においてが従う.
同様の議論により,において.
以上より,はさみうちの原理から求める極限値は
おわりに
- 平均値の定理といいつつ実はロルの定理です.
- コーシーの平均値の定理を既知とするとさらに速くかけます.
- 次の係数についても同様にできると思うので気が向けば追記します!
- で\frac{1}{2}を書きたいとき,\frac12とかけることを初めて知りました.書きやすさ段違いなので皆さんも使いましょう!
追記
正整数と,が十分小さい非負実数で定義された関数について以下が成立する.
ただし,とする.
まず弱コーシーを示す方法
まず以下の補題を示す.
関数と正整数と正実数について,がで連続かつで微分可能かつであるとき,あるが存在して以下が成立する.
[証明]
とする.このときであり,はで連続かつで微分可能なので平均値の定理からあるが存在して
より示せた.
以下は題意の証明である.十分小さな正の実数に対して
とすると,かつが成立する.に補題を繰り返し適用すると,ある実数列が存在して
が成立する.各辺を考えることでであり題意の主張を得る.
数学的帰納法
題意が正整数に対して成立することをとする.
任意の正整数についてを示す.
とおくと示すべきは以下である.
ここで,以下のようにをにおいて定める.
このときかつが成立する.
はで連続かつで微分可能なので平均値の定理よりある実数で以下が成立する.
両辺の極限をとると
ここで,についてを適用することで
を得るのでが真であることが従う.
は微分係数の定義より明らかであるので帰納的にであることがわかり,題意は示せた.