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現代数学解説
文献あり

de Rham の定理への道0:定理の概要と勉強ロードマップ

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はじめに

大学院にいたとき、可微分多様体にはde Rhamの定理というすごい定理がある、と聞きました(きちんと学んでいない)。後述しますが、私の専門だったdiffeologyにもつながる定理なので、今回の勉強のゴールに設定しました。本ページでは

  • de Rhamの定理の「気持ち」
  • なぜゴールとしたのか
  • どのように勉強していくのか

などを記載しています。

de Rhamの定理って?

勉強するにあたってde Rhamの定理の「気持ち」を述べます。かなりふわっとしたand間違っている可能性のある説明となっています。

  1. 位相多様体(位相空間)に対して特異コホモロジーが定まる
  2. 位相多様体としては同型だが、可微分多様体としては非同型なものが存在する
    • 1つの位相多様体に異なる複数の微分構造を与えうる、ということ
      • 例:ミルナーのエキゾチック球面(いつかこれも理解したい)
  3. 微分構造を元にしてde Rhamコホモロジーが定義される
  4. de Rhamの定理は「de Rhamコホモロジーは特異コホモロジーと同型になる」という主張
    • de Rhamコホモロジーは微分構造に基づいて定義されたのにもかかわらず、実は微分構造に依存しないで決まる、ということ
      • あら不思議!

Diffeologyとde Rhamの定理

私の専門だったdiffeologyは多様体を一般化した概念です。de Rhamの定理から多様体の枠組みでは「de Rhamコホモロジー=特異コホモロジー」です。しかdiffeologyまで拡張するとde Rhamの定理が成り立たない例が存在します。一般化すると本質的な違いが浮き彫ります(多様体の中では違いが埋もれてしまって見えない、とも言えるでしょうか)。diffeologyという概念を通して見えない本質を垣間見ることができとてもワクワクします。
大学時代はdiffeologyの別の性質を調べていたため、(多様体含めて)de Rhamの定理は学んだことがありませんでした。Diffeologyへ繋げることを念頭に置いて、今回はde Rhamの定理を一旦のゴールとして勉強しようと思います。

前提

知識のスタート地点

微積、線型、群論、位相空間、多様体あたりの基礎は学んでいる状態(ただしだいぶ忘れてしまっているのであやふやな点は適宜復習する)。

教科書

John M. LeeのIntroduction to Smooth Manifolds(Second editon)
を読みます。分かりやすいと評判だったので選びました。また、pdfがネット上にあるのも選定理由の1つです。
https://julianchaidez.net/materials/reu/lee_smooth_manifolds.pdf

これからの投稿内容

基本的に勉強したことのメモを書きます。細かい証明というよりは

  • 証明の流れ
  • キーとなるアイデア
  • すごいと感じたこと

などいい意味で「雰囲気」が伝わるように書きたいと思います(本当に細かく理解するのであれば教科書を読むのが最適だと思っています、無料で誰でも読めるし)。とは言っても、書いていくうちに書き方が変わることは大いにあり得ます。

勉強ロードマップ

数学科のよくない(と個人的に思っている)勉強あるあるが「目的を意識せずに教科書を頭から読むこと」だと思います。本筋を把握せず細部の証明であーだこーだー唸っていたのが学生時代の自分でした。社会人になってから「見通しを持って目的から逆算する大切さ」を学んだので、その考えを数学の勉強にも生かしていきたいと思っています。今回は

de Rhamの定理とその証明を理解する

を目的として、必要な項目をgemini君で抽出し勉強ロードマップを作成してもらいました。こちらを軸として勉強を進めていきます(もちろん補足としてその他の内容に触れる可能性は大いにあります)。また、ロードマップ中に間違った記述があるかもしれませんが、気づいたら修正していきます。

ちなみに生成AIを使ったロードマップ作成方法については別記事にまとめる予定です。

おわりに

いろいろと書きましたが、とりあえずやってみて方針が変わることはありそうです。気長に勉強していくつもりですので、もしよかったらお付き合いいただけると大変嬉しいです。ご意見ご指摘もいつでもお待ちしております。

参考文献

[1]
John M. Lee, Introduction to Smooth Manifolds, Graduate Texts in Mathematics, Springer, 2014
投稿日:1018
更新日:1019
OptHub AI Competition

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投稿者

地方国立大数学科の修士卒。社会人になってからも定期的に数学したくなる。いつか論文を書いて投稿するのが夢。専門で勉強していたのは多様体とその一般化。博士や研究者の方を尊敬してやまない。 今はデータ関係の仕事(分析、可視化など)をしています。

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