導入
今回,扱うのは以下の問題です.
2025慶應理工 第5問
座標平面上に3点A,B,Cをとる.ただしBは単位円周上を動き,,である.(中略)
次に,を2以上の整数とし,に対してのときの線分ABとBCの短い方の長さをと表す.(中略) 2以上の整数で,が最大となるの値が2個あるものを考え,そのようなのうち大きい方の値をとおく.(中略) また,とおいたとき,が最大となるの値も2個あり,それらの大きい方をとの1次式で表すと(フ)となる.
解法
準備
の求値
条件よりで,かつだから
(フ)を求める
発想の根幹としてはとの1次式と分かっているのだから係数決定で求められないか?です.求めるもの(フ)をとすると,やろうとしていることは以下の通りです.
本当はの関数
正確にいうとももの関数なので,を与えたときに係数を決定する,と述べた方が適切なのですが.
問題文ではは全て自然数となるので,は何でもよいわけではありません.しかし一旦の範囲を正実数に広げて考えます.
解答
とおく.より
とすると順に,を得るから.とすると順に,を得るから.とすると順に,を得るから.これらより
とから
そしてゆえ.
必要十分じゃないよ
この解答は必要条件であり,十分性を確認していません.しかし慶應理工のこの問題は穴埋めだから,これでいいのだ.
ちなみに:予備校による解答(河合塾・駿台・代ゼミ)
までは同じ.ここからおよびより
よって.
さいごに
予備校の解答は,発想は単純ですが計算が複雑になってしまいます.特に,根号内で2乗形を展開してまた2乗形を作る部分は大変です.そこで穴埋めという出題形式・「1次式」というヒントを大いに活用した別解を与えました.もっと簡潔で美しい別解をご存じの方がいらしたら,教えてください.
ところで,本稿で提示した別解の理論的背景(あるのかも分からないが)について詳しくなりたいので有識者は教えてください.