線形計画の主問題(P)は次のように定義される.maxx∈Rn⟨c,x⟩s.t.Ax≤bx≥0
主問題(P)に対する双対問題(D)は次のように定義される.miny∈Rm⟨b,y⟩s.t.Aty≥cy≥0
任意の実m×n行列Aとb∈Rm,c∈Rn,に対して,次は二者択一で成り立つ.
まず1∧2は成り立たないことを示す.(¬1⇒2)1が成り立たないとする.S:={y∈Rm|∃x∈Rn,y=Ax,x≥0}は閉凸集合であることは容易に確かめられる.よって,b∉Sであるから 分離超平面定理 より,∀y∈S,⟨a,b⟩>α≥⟨a,y⟩となるようなa∈Rm∖{0}とα∈Rが存在する. 証明のイメージ図:ベクトルai(i=1,⋯,n)はそれぞれ,基底ei(i=1,⋯,n)を行列Aで写したもの. ここで0∈Sとy∈Sの任意性により⟨a,b⟩>α≥0なので,⟨a,b⟩>0がわかる.
(1⇒¬2)1∧2が偽であることを確かめるため,真であると仮定して,背理法を用いる.実際,0=⟨x,Aty⟩=⟨Ax,y⟩≤⟨b,y⟩<0となって矛盾が生じるので命題は確かめられた.(2⇒¬1)2すなわち,∃y∈Rm,Aty=0,⟨b,y⟩<0,Imy=y≥0を仮定する.ただし,Imはm次単位行列.そこで上の仮定から,が従うので,の補題∃y∈Rm,[AtIm]y≥0,⟨b,y⟩<0⋯(∗)が従うので,(∗)⟺∄(x,λ)∈Rn×Rm,[AtIm]t[xλ]=[AIm][xλ]=b,[xλ]≥0←(∵Farkasの補題)⟺∄(x,λ)∈Rn×Rm,Ax+λ=b,x≥0,λ≥0⟺∄x∈Rn,Ax≤b,x≥0となり,2から¬1が導かれた.◻
max(P)≤min(D)が成り立つ.
の実行可能解の実行可能解と仮定する.このとき,xM:(P)の実行可能解ym:(D)の実行可能解と仮定する.このとき,max(P)=⟨c,xM⟩≤⟨Atym,xM⟩←(∵xM≥0,Atym≥c)=⟨AxM,ym⟩≤⟨b,ym⟩←(∵ym≥0,AxM≤b)=min(D). ◻
こちらは意外と簡単です.
主問題も双対問題も実行可能解をもつとすると,max(P)=min(D)が成り立つ.
主問題(P)もその双対問題(D)もともに実行可能解をもつと仮定する.このとき弱双対定理からmax(P)≤min(D)は既知なので,max(P)<min(D)とならないことを示す.背理法を用いてmax(P)<min(D)=:γを仮定する.このとき,max(P)<γより,の補題系∄x¯∈Rn,ctx¯=⟨c,x¯⟩≥γ,Ax¯≤b,x¯≥0⟺∄x¯∈Rn,(−c)tx¯≤−γ,Ax¯≤b,x¯≥0⟹∃(y¯,λ)∈Rm×R,[A−ct]t[y¯λ]=[At−c][y¯λ]=0,[b−γ]t[y¯λ]≥0,[y¯λ]≥0(∵Farkasの補題 系)⟺∃y¯∈Rm,∃λ∈R,Aty¯=λc,⟨b,y¯⟩<λγ,y¯≥0,λ≥0⋯(∗∗)が従う.
したがって(1),(2)両方とも矛盾が生じたので,max(P)<min(D)は成り立たず,弱双対定理からmax(P)=min(D)が成立.◻
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