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Farkasの補題と線形計画問題の双対定理

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主問題(Principal Problem)

線形計画の主問題(P)は次のように定義される.
maxxRnc,xs.t.Axbx0

双対問題(Dual Problem)

主問題(P)に対する双対問題(D)は次のように定義される.
minyRmb,ys.t.Atycy0

Farkasの補題

任意の実m×n行列AとbRm,cRn,に対して,
次は二者択一で成り立つ.

  1. xRn,Ax=b,x0
  2. yRm,Aty0,b,y<0

まず12は成り立たないことを示す.
(¬12)
1が成り立たないとする.S:={yRm|xRn,y=Ax,x0}は閉凸集合であることは容易に確かめられる.よって,bSであるから 分離超平面定理 より,yS,a,b>αa,yとなるようなaRm{0}αRが存在する.
証明のイメージ図:ベクトル!FORMULA[14][1120669646][0]はそれぞれ,基底!FORMULA[15][-514627254][0]を行列!FORMULA[16][36647][0]で写したもの. 証明のイメージ図:ベクトルai(i=1,,n)はそれぞれ,基底ei(i=1,,n)を行列Aで写したもの.
ここで0SySの任意性によりa,b>α0なので,a,b>0がわかる.

Farkasの補題
  1. xRn,Axb,x0
  2. yRm,Aty=0,bty<0,y0

(1¬2)
12が偽であることを確かめるため,真であると仮定して,背理法を用いる.実際,0=x,Aty=Ax,yb,y<0となって矛盾が生じるので命題は確かめられた.
(2¬1)
2すなわち,yRm,Aty=0,b,y<0,Imy=y0を仮定する.ただし,Imm次単位行列.
そこで上の仮定から,
yRm,[AtIm]y0,b,y<0()が従うので,()(x,λ)Rn×Rm,[AtIm]t[xλ]=[AIm][xλ]=b,[xλ]0(Farkasの補題)(x,λ)Rn×Rm,Ax+λ=b,x0,λ0xRn,Axb,x0となり,2から¬1が導かれた.

弱双対定理

max(P)min(D)が成り立つ.

xM:(P)の実行可能解ym:(D)の実行可能解と仮定する.このとき,max(P)=c,xMAtym,xM(xM0,Atymc)=AxM,ymb,ym(ym0,AxMb)=min(D).

こちらは意外と簡単です.

双対定理

主問題も双対問題も実行可能解をもつとすると,
max(P)=min(D)が成り立つ.

主問題(P)もその双対問題(D)もともに実行可能解をもつと仮定する.このとき弱双対定理からmax(P)min(D)は既知なので,max(P)<min(D)とならないことを示す.
背理法を用いてmax(P)<min(D)=:γを仮定する.このとき,max(P)<γより,
x¯Rn,ctx¯=c,x¯γ,Ax¯b,x¯0x¯Rn,(c)tx¯γ,Ax¯b,x¯0(y¯,λ)Rm×R,[Act]t[y¯λ]=[Atc][y¯λ]=0,[bγ]t[y¯λ]0,[y¯λ]0(Farkasの補題 系)y¯Rm,λR,Aty¯=λc,b,y¯<λγ,y¯0,λ0()が従う.

  1. λ=0のとき
    ()y¯Rm,Aty¯=0,b,y¯<0,y¯0xRn,Axb,x0(Farkasの補題 系)
    となって,主問題(P)が実行可能であるということに反する.
  2. λ>0のとき
    ()y¯/λRm,At(y¯/λ)=c,b,y¯/λ<γ=max(P)min(D)(弱双対定理)
    が導出され,y¯/λが双対問題(D)の実行可能領域にあるので,b,y¯/λ<min(D)は矛盾.

したがって(1),(2)両方とも矛盾が生じたので,max(P)<min(D)は成り立たず,弱双対定理からmax(P)=min(D)が成立.

投稿日:410
更新日:410
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k20ku
k20ku
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ゼミのメモ用にやっているので不完全でも投稿しています.すいません

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