それにまつわること (0)

情報拡散機構の飽和した 20 年代に於いて、既に、そして逆説的に、価値のある情報は、それをみつけることの困難性をいくらか増している。くだらない言説ばかりが、「お手軽」に再生産され、「お手軽」さのなかにまたくだらなさが紛れ込む。そういった方法で多種多様に (そして些末に ! ) 彩られる意識空間のなかにおいては、「真に目指すべき姿」をみつけること - それ自体が、ある種に、孤独の同義語となる。

数学をおこなう - という行為は、もちろんヒトの営みであって、多種多様なそれらのうちのひとつである (そして、それらのうちのひとつに過ぎない !) が、(以後しばらく続くことを予定している) これら論考群においては、まさに「数学行為とは、ヒトの在るにおいて、どのようなものであるのか ?」という question を重心として、さまざまな事項について考えをめぐらせ、またそれらについての印象を記録する。

以後の論考において、私は色々なことについて、できるだけ注意深くそれらに取り組んでいくことを予定している。その過程によって記されるテクストが、"これ" を読む誰かにとって、価値のある情報となれば、私にとって幸いなことである。そして、私にとって最も望ましい事態とは、以降に記すテクストが (正しい意味で)「あたりまえ」で、「とるにたらない」ものであると受け取られ、そしてより価値のある情報で空間が充ちる - そのような状況にあることを、ここに明記する。