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各辺の長さが整数であって周長がn以下の三角形の個数についての自作問題

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問題文

各辺の長さが正整数であって,周長が$2024$以下である三角形はいくつありますか?

ちょっと考えてみてください.下に送ると解説が始まります.













































解説

 $x,y,z$を正の整数,$n$を正整数の定数とします.求める個数は,
$$\begin{cases} x+y+z=n\\ x\leq y\leq z\\ z \lt x+y \end{cases}$$
を満たす組$(x,y,z)$の個数を$X_n$としたときの,$\displaystyle\sum_{k=1}^{2024}X_k$と等しいです.
まず,上式から,$3$つ目の条件を外した,
$$\begin{cases} x+y+z=n\\ x\leq y\leq z \end{cases}$$
を満たす組$(x,y,z)$の個数$Y_n$とします.

$\omega$$\omega^3=1,\omega\neq1$である定数とする.このとき,
$Y_n=\dfrac{n^2}{12}-\dfrac{7}{72}+\dfrac{(-1)^{n-1}}{8}+\dfrac{\omega^n+\omega^{2n}}{9}$である.

$x+y+z=n$を満たす順序付いた正整数の組$(x,y,z)$の個数は,$_{n-1}\mathrm{C}_2$個である.ここから,各記号を入れ替えると等しい組になるものを取り除く.

  • $x\neq y\neq z\neq x$である組
    それぞれ$3!=6$個ずつ存在する.

  • 少なくとも$2$つの数が等しい組
    $x=y$とすると,$z=n-2x\geq1$より,この組はそれぞれ$3\left\lfloor\dfrac{n-1}{2}\right\rfloor$個ずつ存在する.

  • $x=y=z$である組
    $n$$3$の倍数のときのみ存在する.この組は先に求めた少なくとも$2$つの数が等しい組$3\left\lfloor\dfrac{n-1}{2}\right\rfloor$個のうち,$3$つ存在する.

したがって,それぞれの場合において,重複する個数をそろえてから割ればよいため
$$ Y_n=\begin{cases} \dfrac{1}{6}\left(_{n-1}\mathrm{C}_{2}+3\left\lfloor\dfrac{n-1}{2}\right\rfloor+2\right)\quad\left(3\mid n\right)\\ \dfrac{1}{6}\left(_{n-1}\mathrm{C}_{2}+3\left\lfloor\dfrac{n-1}{2}\right\rfloor\right)\quad\quad\left(\mathrm{otherwise}\right) \end{cases}$$
である.

また,$\left\lfloor\dfrac{n-1}{2}\right\rfloor=\dfrac{n-1}{2}-\dfrac{1-(-1)^{n-1}}{4}$
$$\dfrac{1}{9}(1+\omega^n+\omega^{2n})=\begin{cases}1\quad(3\mid n)\\0\quad(\mathrm{otherwise})\end{cases}$$であることを用いれば,
$$Y_n=\dfrac{n^2}{12}-\dfrac{7}{72}+\dfrac{(-1)^{n-1}}{8}+\dfrac{\omega^n+\omega^{2n}}{9}$$
を得る.

実は,$Y_n$にはもっと簡単な表示が存在しますが,不要なのでここでは省きます.

$X_{2n}=X_{2n-3}=Y_n$が成立する.

まずは$X_{2n}=Y_n$から示す.
$0\lt x\leq y\leq z$とする.
$$x+y+z=n\Longrightarrow (n-z)+(n-y)+(n-x)=2n$$
であり,$Y_n$個の$x+y+z=n$を満たす組$(x,y,z)$それぞれに対して,組$(n-x,n-y,n-z)$の長さを各辺に持つ三角形が対応するため,$X_{2n}\geq Y_n$である.

また,$X_{2n}$$$\begin{cases} x+y+z=2n\\ x\leq y\leq z\\ z \lt x+y \end{cases}$$を満たす組の個数である.
$z \lt x+y$より,$z< n$である.
$$x+y+z=2n\Longrightarrow (n-z)+(n-y)+(n-x)=n$$
であり,各辺の長さが$x,y,z$である三角形が存在するような$X_{2n}$個の組$(x,y,z)$に対して,$Y_n$個の和が$n$となる正整数の組$(n-z,n-y,n-x)$が対応するため,$X_{2n}\leq Y_n$ であり,$X_{2n}=Y_n$である.


次に,$X_{2n}=X_{2n-3}$を示す.
$$\begin{cases} x+y+z=2n\\ x\leq y\leq z\\ z \lt x+y \end{cases}$$
を満たす$X_{2n}$個の組$(x,y,z)$に対して,$x=1$と仮定すると,$y+z=2n-1$である.
また,$z\lt y+1$より$z\leq y$かつ$y\leq z$であるため,$y=z$だが,$2y=2n-1$を満たす$y$は存在しないため矛盾.よって,$x\leq2$としてよい.
$1$つ目の式について,辺々$3$を引くと,$$(x-1)+(y-1)+(z-1)=2n-3$$が成立する.
明らかに,$0\lt(x-1)\leq(y-1)\leq(z-1)$であり,$(x-1)+(y-1)-(z-1)=2n-2z-1\gt0$であるため,
$X_{2n}$個の組$(x,y,z)$に対して,組$(x-1,y-1,z-1)$が対応するため,$X_{2n}\leq X_{2n-3}$

また,$$\begin{cases} x+y+z=2n-3\\ x\leq y\leq z\\ z \lt x+y \end{cases}$$
を満たす$X_{2n-3}$個の組$(x,y,z)$に対して,$z+1\lt (x+1)+(y+1)$$0\lt(x+1)\leq(y+1)\leq(z+1)$であるため,
各組$(x,y,z)$に対して対応する組$(x+1,y+1,z+1)$が存在するため,$X_{2n}\geq X_{2n-3}$であり,$X_{2n}= X_{2n-3}$である.

以上より,$X_{2n}=X_{2n-3}=Y_n$が示された.

後は足すだけです.
$$\begin{aligned} \sum_{k=1}^{2024}X_k&=\sum_{k=1}^{1012}X_{2k}+\sum_{k=2}^{1013}X_{2k-3}\\ &=\sum_{k=1}^{1012}Y_k+\sum_{k=2}^{1013}Y_k\\ &=\sum_{k=1}^{1012}\left(\frac{k^{2}}{12}-\frac{7}{72}\right)-\frac{1}{9}+\sum_{k=2}^{1013}\left(\frac{k^{2}}{12}-\frac{7}{72}\right)-\frac{1}{9}\\ &=\frac{1012\cdot1013\cdot2025-7\cdot1012-8}{72}+\frac{1013\cdot1014\cdot2027-6-7\cdot1012-8}{72}\\ &=\mathbf{57750342} \end{aligned}$$

こたえ:$\mathbf{57750342}$


終わりに

いかがでしたか?結構面白い問題だと思います.ところで...
Q. OMC-200(D)となんか似てない?
OMC-200(D)

この記事は,もともと私のOMCの問題のストックにあった問題をほぼそのままMathlogに移植したものです.(被っちゃった...Sou_ltion様申し訳ございません。)

最後まで読んでいただきありがとうございました.

投稿日:126
更新日:126

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投稿者

RusK
RusK
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