この記事では
前回の記事
に引き続き局所コンパクトアーベル群上のフーリエ変換
の性質について簡単に解説していきます。
今回の記事ではフーリエ変換の
やコンパクトアーベル群上のフーリエ級数展開
について解説していきます。
まずプランシュレルの定理の主張を記述するのに必要な語句等を定めておきましょう。
以下、特に断りがなければ
が成り立つものとします。
を満たすようなものを
また内積が定めるノルム(が定める距離
について完備な内積空間
なお調和解析の文脈ではしばしばペアリング
として
によって定める(ヘルダーの不等式
このとき
ちなみに一般の測度空間
ヒルベルト空間
を満たすことと、任意の
を満たすことは同値である。
またこの条件を満たすとき
複素内積空間においては
が、実内積空間においては
が成り立つことに注意するとわかる。
ヒルベルト空間
ではまず
という形のパーセバルの等式を示していきましょう。
局所コンパクト群
によって定める(ただし積分は左ハール測度で考える)。
特に
と見慣れた形に表せます。
とわかる。
上の補題において
が成り立つ。特に
このとき
が成り立つことに注意する。
また
と求まるので
を得る。
いま
そしてこの作用素の拡張に関する次の主張のことをプランシュレルの定理と言います。
は
特に
これは次の
を示すことで確かめられます。実際これが成り立てば次の補題によって所望の拡張を得ることができます。
ヒルベルト空間
任意の
より
と定めることで
また
よりこれは等長作用素となる。
そして先と同様に
つまるところ
と定めることで
ただしこの極限は各点の値に関して
が成り立つことを意味しているのではなく、
が成り立つことを意味していることに注意しましょう。
ちなみに
とも表せます。
実際そのことは
とおいたとき、ヘルダーの不等式から
つまり
が成り立つことからわかります。
また
を考えたとき、
が成り立つ、つまり
が成り立つことが知られているので、プランシュレルの定理による
つまり次のような反転公式が得られるというわけです。
任意の
が成り立つ。
例えば
によって定めると、
が成り立つ。
とおくと、
が成り立つ。
ところで
が成り立つ。
この公式のことをパーセバルの等式、あるいはパーセバル・プランシュレルの等式と言います。
最後にコンパクトアーベル群上のフーリエ変換、いわゆるフーリエ級数に関する
いま
つまり
の右辺は収束し、特にこれは内積
となると
と表せることになりますが、実際これは
以下でそのことについて簡単に見ていきましょう。
ヒルベルト空間
が成り立つことを言う。
また正規直交系
が成り立つことを言う。またこのような表示のことを
ただしこの右辺の和は次のような意味での収束を考えています(冗長なので折り畳み)。
ヒルベルト空間
が無条件収束するとは、任意の全単射
また
が収束するとは、高々可算な集合
ちなみに
が成り立ちますが(cf. リーマンの再配列定理)、一般の空間においては
までしか言えません。
ヒルベルト空間
が成り立っていれば
仮定より和
と評価できるので
を得る。
コンパクトアーベル群
特に任意の
が成り立つ。
とわかる。
が成り立つので
パーセバルの等式から任意の
が成り立っていたことと上の補題からわかる。