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Oloa の公式の証明と考察

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はじめに

どうも, 色数です.
Oloa の公式を自力で示せて嬉しかった, ということがあったので記録しておきます.

Oloa の公式

Oloa の公式

3ζ(3)=n1=1n2=11n1n2n1!n2!(n1+n2)!k=1n1+n21k

証明

n0<nn!m!n(n+m)!=n0!m!m(n0+m)!
が成り立つことは差分することで直ちにわかる.
ここで次のような和を考える.
k=1n0+m1kn0!m!(n0+m)!=n0<n(k=1n+m11k(n1)!m!(n+m1)!k=1n+m1kn!m!(n+m)!)=n0<n(k=1n+m1k(n1)!m!(n+m1)!k=1n+m1kn!m!(n+m)!(n1)!m!(n+m)!)=n0<n(k=1n+m1kn!m!(n+m)!(n+mn1)(n1)!m!(n+m)!)=n0<n(mnk=1n+m1kn!m!(n+m)!n!m!n(n+m)!)=mn0<nk=1n+m1kn!m!n(n+m)!n0!m!m(n0+m)!
これにより
ζ(3)=ζ(1,2)=n=11n2k=1n+00!n!k(n+0)!ζ(3)=n=11n12(n10<n2k=1n2+n11kn2!n1!n2(n2+n1)!0!n1!n1(0+n1)!)ζ(3)
整理すると題意を得る.

一般のインデックスに対してはZ(k,l):=0<n1<<nr0<m1<<ms1nkmlk=1nr+ms1knr!ms!(nr+ms)!
みたいな連結和を考察すればいいと思います.

考察

有限和を含む級数で面白い(?)ものを見つけたので紹介します.
ここではせっかくなので積分変形による面倒くさい計算をしていますが有限和自体が closed form で書けちゃうので証明は難しくないと思います.

n>0 なる自然数 n に対して
0xtn1tdt=n!(12)n+1k=0nn!(12)k+1(nk)!xnk(1x)1/2+k
が成り立つ.

部分積分とかで

π2=32n=11n2k=1n22kk(2kk)

01dt31t30t3dt2t21t20t2zdt11zt1=n1=1zn1n101dt31t30t3t2n11dt21t2=2n1=1zn1n1!n12(12)n1n1=1zn1n12k=0n11n1!(12)k+1(n1k1)!01t3nk1(1t3)kdt3=2n1=1zn1n1!n12(12)n1n1=1zn1n12k=0n11k!(12)k+1=2n=1znn!n2(12)nn=1znn12k=1nk!k(12)k

01zdt31z(1t3)0t3dt2t2(1t2)0t2dt1t1=201zdt31z(1t3)0t3dt21t2=2n=1znn2
z=1とすれば題意を得る.

最後に

Oloa の公式は奥が深く, タケノコさんたちによって多重ポリログの表示などへと一般化されているみたいです. 詳しくは知らないですが, 論文冒頭の表示が興味深かったのを覚えています.
最近の僕の研究はこういった対称性をもつ級数の表示なので今後も進捗があり次第記事にします.(自慢するといくつかの結果は得られています.)

投稿日:2024119
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