Hermite多項式の変数付きの拡張について

2つ前の記事( Legendre多項式の変数付きの拡張について )において, Legendre多項式の$a$類似として,
$$\begin{array}{rl}{\rho }_n^{(a)}(x)& =(-1{)}^n\frac{(a{)}_n}{n!}\sum _{k=0}^n\frac{(-n,a+n{)}_k}{k!(a{)}_k}{x}^k\end{array}$$
を導入したが, 今回はそれをHermite多項式で考える. まず, Hermite多項式は

$$\begin{array}{rl}{H}_{2n}(x)& :=(-1{)}^n\frac{(2n)!}{n!}\sum _{k=0}^n\frac{(-n{)}_k}{k!{\left(\frac{1}{2}\right)}_k}{x}^{2k}\\ H_{2n+1}(x)& :=(-1{)}^n\frac{(2n+1)!}{n!}\sum _{k=0}^n\frac{(-n{)}_k}{k!{\left(\frac{1}{2}\right)}_{k+1}}{x}^{2k+1}\end{array}$$
によって定義される直交多項式で,
$$\begin{array}{rl}\frac{1}{\sqrt{\pi }}{\int }_{-\mathrm{\infty }}^{\mathrm{\infty }}{H}_n(x)H_m(x)e^{-x^2}dx& =2^{n}n!{\delta }_{n,m}\end{array}$$
という直交性を満たしている. $H_{2n}(x)$は偶関数だから, Legendre多項式の場合と同様に,
$$\begin{array}{r}{\ell }_n(x):=(-1{)}^n{\left(\frac{1}{2}\right)}_n\frac{H_{2n}(\sqrt{x})}{(2n)!}\end{array}$$
と定義すると, ${\ell }_n(x)$も直交多項式になり, その直交性は${\beta }_n:=\frac{{\left(\frac{1}{2}\right)}_n}{n!}$として,
$$\begin{array}{rl}\frac{1}{\sqrt{\pi }}{\int }_0^{\mathrm{\infty }}{\ell }_n(x){\ell }_m(x)e^{-x}\frac{dx}{\sqrt{x}}& ={\beta }_n{\delta }_{n,m}\end{array}$$
となり, 元のHermite多項式の直交性よりシンプルな形になる. 定義から,
$$\begin{array}{rl}{\ell }_n(x)& ={\beta }_n\sum _{k=0}^n\frac{(-n{)}_k}{k!{\left(\frac{1}{2}\right)}_k}{x}^k\end{array}$$
となるので, $[a{]}_n:=\frac{(a{)}_n}{n!}$として, その$a$類似としての$a$-Hermite多項式を
$$\begin{array}{rl}{\ell }_n^{(a)}(x)& =[a{]}_n\sum _{k=0}^n\frac{(-n{)}_k}{k!(a{)}_k}{x}^k\end{array}$$
と導入する. これは一般Laguerre多項式
$$\begin{array}{rl}{L}_n^{(a)}(x)& =[a+1{]}_n\sum _{k=0}^n\frac{(-n{)}_k}{k!(a+1{)}_k}{x}^k\end{array}$$
と${\ell }_n^{(a)}(x)=L_n^{(a-1)}(x)$の関係にあり, その直交性は
$$\begin{array}{rl}\frac{1}{\mathrm{\Gamma }(a)}{\int }_0^{\mathrm{\infty }}{\ell }_n^{(a)}(x){\ell }_m^{(a)}(x)x^{a-1}{e}^{-x}dx& =[a{]}_n{\delta }_{n,m}\end{array}$$
となることが分かる. つまり, 一般Laguerre多項式は$a$-Hermite多項式として解釈できることが分かった. 特殊化について考えてみる. $a$類似は$a=\frac{1}{2}$とすることによって元の対象に一致するが, $a=1$としたものも興味深い性質を持っていると考えられる. まず, $a$-Legendre多項式の場合は, $a=1$とすると,
$$\begin{array}{rl}{\rho }_n^{(1)}(x)& =P_n(2x-1)\end{array}$$
とまたLegendre多項式で表すことができることが分かる. $a$-Hermite多項式の場合は, $a=1$とすると,
$$\begin{array}{rl}{\ell }_n^{(1)}(x)& =\sum _{k=0}^n\frac{(-n{)}_k}{k{!}^2}{x}^k=L_n(x)\end{array}$$
となって通常のLaguerre多項式に一致することが分かる. このように, $a$類似を考えることによって, 異なる関数を統一的な観点から扱う枠組みを考えていきたいと思っている.