デデキントの方法で有理数全体から実数全体を構成する。
■デデキント切断
(X,S)は全順序集合とする。
(A,B)は(X,S)のデデキント切断 :⇔ (A,B⊂X ∧ A,B≠∅ ∧ (A∪B)=X ∧ (A∩B)=∅ ∧ ∀x∀y((x∈A ∧ y∈B) ⇒ (x,y)∈S))
言葉で説明すると、AとBは和集合をとると全体になり、共通部分はなく、AはBのすべてより小さい、同じことだが、BはAのすべてより大きい、となるような分け方をデデキント切断という。
Qは有理数全体とする。
Qに対し、次の4つの区間表示の方法を与える。a∈Qに対し、
(-∞,a) := { x | x∈Q ∧ x<a }
(-∞,a] := { x | x∈Q ∧ x≦a }
(a,∞) := { x | x∈Q ∧ a<x }
[a,∞) := { x | x∈Q ∧ a≦x }
Qにおけるデデキント切断を考えてみる。∀a∈Qに対し、
((-∞,a),[a,∞))
((-∞,a],(a,∞))
はデデキント切断になる。
((-∞,a],[a,∞))
これは、aで共通してしまっているので、デデキント切断にはならない。
a<bとして
((-∞,a],[b,∞))
これは、和をとってもQ全体にならないので、デデキント切断にはならない。
Qではこのケースのデデキント切断はあり得ない。
では、
((-∞,a),(a,∞))
このケースではどうか。
aが有理数の場合、和を取ったときaが含まれないのでデデキント切断にはならない。
aが無理数の場合、和を取ったらQ全体になり、共通部分はないので、デデキント切断になる。
有理数には有理数ではない境に向かって無限に近づいていく性質がある。
しかも上と下の両方から有理数ではない同じ境に無限に近づいていく。
Qでは、そんなふわっとした境界でデデキント切断が可能になる。
すでに出してしまった言葉であるが、
Qのデデキント切断で有理数でない境界は無理数という。
Qに関する追加
addQ,mulQはそれぞれQの加法、乗法とする。
oQは(Q,addQ)の単位元とする。(Qの零元)
eQは(Q,mulQ)の単位元とする。
■実数の定義
R := { (A,B) | (A,B)はQのデデキント切断 ∧ Aには最大が存在しない }
実数全体Rの定義には少し余分な条件がつく。
((-∞,a),[a,∞))と((-∞,a],(a,∞))はかぶってしまっているので、左項側には最大値が存在しないという制限を課して、((-∞,a],(a,∞))のケースを排除している。
Rの大小関係
ordR := { ((A,B),(C,D)) | (A,B),(C,D)∈R ∧ A⊆C }
Rの加法
addR := { (((A,B),(C,D)),(E,F)) | (A,B),(C,D),(E,F)∈R ∧ E={ q | q∈Q ∧ ∃a∃c(a∈A ∧ c∈C ∧ q<addQ(a,c))} ∧ F=(Q\E) }
Rの乗法
mulR :=
{ (((A,B),(C,D)),(E,F)) | (A,B),(C,D),(E,F)∈R ∧ oQ∈A ∧ oQ∈C ∧ E=(Q\F) ∧ F={ q | q∈Q ∧ ∃b∃d(b∈B ∧ d∈D ∧ mulQ(b,d)≦q) } }
∪{ (((A,B),(C,D)),(E,F)) | (A,B),(C,D),(E,F)∈R ∧ oQ∈A ∧ oQ∈D ∧ F=(Q\E) ∧ E={ q | q∈Q ∧ ∃b∃c(b∈B ∧ c∈C ∧ q<mulQ(b,c)) } }
∪{ (((A,B),(C,D)),(E,F)) | (A,B),(C,D),(E,F)∈R ∧ oQ∈B ∧ oQ∈C ∧ F=(Q\E) ∧ E={ q | q∈Q ∧ ∃a∃d(a∈A ∧ d∈D ∧ q<mulQ(a,d)) } }
∪{ (((A,B),(C,D)),(E,F)) | (A,B),(C,D),(E,F)∈R ∧ oQ∈B ∧ oQ∈D ∧ E=(Q\F) ∧ F={ q | q∈Q ∧ ∃a∃c(a∈A ∧ c∈C ∧ mulQ(a,c)≦q) } }
Qの零元oQを含まない方の区間を利用して計算した。
4つのケースに場合分けして、それぞれRの乗法を定めた。
単調に増加および減少する区間同士の積は正負に応じて再び単調に増加または減少する区間になることを利用している。
(R,addR)の単位元
oR := ((-∞,oQ),[oQ,∞))
(R,mulR)の単位元
eR := ((-∞,eQ),[eQ,∞))