距離空間って何だっけって思ったので,復習がてら記事にしてみようと思いましたとさ.
ユークリッド空間$\mathbb{R}^2$の性質を振り返ってみましょう.
$P=(x_1,y_1),Q=(x_2,y_2)$という二点があった時,$P$と$Q$はどれだけ離れているでしょうか.$|x_1-x_2|+|y_1-y_2|$だけ離れています.という答えをする多分京都市にでもお住まいの方もいるのでしょうけどそういうのは無視して,まあ,三平方の定理を使って$\sqrt{(x_1-x_2)^2 + (y_1-y_2)^2}$というのが一般的な解答ではないでしょうか.こいつの性質を見てみましょう.
$P=(x_1,y_1),Q=(x_2,y_2)$に対して,$d(P,Q)=\sqrt{(x_1-x_2)^2 + (y_1-y_2)^2}$となる関数$d$を考えたとき,以下が成り立つことを示してください.
(1) 任意の$P,Q\in\mathbb{R}^2$に対して,$d(P,Q)\ge 0$であり,
また,$P=Q$と$d(P,Q)=0$は同値である.
(2) 任意の$P,Q\in\mathbb{R}^2$に対して,$d(P,Q)=d(Q,P)$が成り立つ.
(3) 任意の$P,Q,R\in\mathbb{R}^2$に対して,$d(P,R)\leq d(P,Q)+d(Q,R)$が成り立つ.
(3)が少々厄介ですが,これはシュワルツの不等式
$$(a^2+b^2)(c^2+d^2)\ge (ac + bd)^2$$
を使ってください.これの証明は簡単なのでそっとしておきます.
この$\mathbb{R}^2$におけるユークリッド距離の性質を一般化したものが距離空間です.
$X$を空でない集合とする.写像$d:X\times X\rightarrow\mathbb{R}$が次を満たすとき,$(X,d)$を距離空間という.
(1) 任意の$x,y\in X$に対して,$d(x,y)\ge 0$であり,
また,$x=y$と$d(x,y)=0$は同値である.
(2) 任意の$x,y\in X$に対して,$d(x,y)=d(y,x)$が成り立つ.
(3) 任意の$x,y,z\in X$に対して,$d(x,z)\leq d(x,y)+d(y,z)$が成り立つ.
任意の集合上に距離を定めることができます.例えば,自分自身との距離を0,ほかの元との距離を1とでもすれば,これは距離になります.まあ自明な距離空間ですね.
距離空間なんか考えて何になるんだと思うけど,代数学においては体という集合上に付値というものが定義されているときにそれから距離というものが誘導されるらしいです.体というユークリッド空間じゃないものを空間としてみるってことですよ.すごいですね.次の記事でそのことをやっていくつもりです.
本当に定義しただけになっちゃいましたけど,こんなの読んでいただけるのかしら...?