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関数方程式 f(m^2+n^2)=f(m)^2+f(n)^2

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$$\newcommand{beku}[1]{\displaystyle\overrightarrow{\vphantom{b}\mbox{$#1$}}} \newcommand{bekutoru}[1]{\displaystyle\overrightarrow{\vphantom{b}\mbox{#1}}} \newcommand{bm}[1]{\boldsymbol{#1}} \newcommand{bunsuu}[2]{\dfrac{\,#1\,}{\,#2\,}} \newcommand{Deg}[0]{^{\circ}} \newcommand{dsqrt}[1]{\displaystyle\sqrt{\,#1\,}} \newcommand{gauss}[1]{\left[\mkern1mu {#1}\mkern1mu\right]} \newcommand{kaku}[1]{\angle\mbox{#1}} \newcommand{kumiawase}[2]{\mathord{{}_{#1}\kern-.12em{}\text{C}_{#2}}} \newcommand{mdot}[0]{\!\cdot\!} \newcommand{sankaku}[1]{\triangle \mbox{#1}} \newcommand{suuretu}[1]{\left\{#1\right\}} \newcommand{tsqrt}[1]{\textstyle\sqrt{\,#1\,}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb Z_{\geq0}} \newcommand{zyunretu}[2]{\mathord{{}_{#1}\kern-.12em{}\text{P}_{#2}}} $$

この記事の目標

この記事では,定義域が$0$以上の整数全体(以後$\Z$と書く)で実数全体を取る関数$f$が,$$ \style{font-family:inherit}{\text{(⛄)}}\left\{\begin{align*} &f(m^2+n^2)=f(m)^2+f(n)^2&& (m,n\in\mathbb \Z)\\ &f(n)>0&&(n>0) \end{align*}\right. $$
を満たすとき,その関数$f$の具体的な表示を求めます。そもそもこれが関数として$\text{well-defined}$なのかすら怪しい(例えば$f(65)=f(8)^2+f(1)^2=f(7)^2+f(4)^2$が成り立つかどうか怪しい)ですが,考えていきましょう。

すぐに分かること

⛄において$m=n=0$を代入すれば,$f(0)=f(0)^2+f(0)^2$を得るので,$f(0)=0$または$f(0)=\bunsuu12$を得ます。それぞれの場合に分けて考えます。

$f(0)=0$のとき

$f(1)$を求めてみます。⛄より,$$ f(1)=f(0)^2+f(1)^2 $$が成り立ちますので,$f(1)=1$が従います。他の数値も調べてみましょう。

$$ \begin{align} f(2)&=f(1)^2+f(1)^2=2\\ f(4)&=f(2)^2+f(0)^2=4\\ f(5)&=f(1)^2+f(2)^2=5\\ f(25)&=f(5)^2+f(0)^2=25 \end{align} $$
です。また,$25=3^2+4^2$より,$$ \begin{align} f(3)^2&=f(25)-f(4)^2=9\\ \therefore\quad f(3)&=3 \end{align} $$
となります。次に$f(6)$も求めてみましょう。
\begin{align} f(8)&=f(2)^2+f(2)^2=8\\ f(10)&=f(1)^2+f(3)^2=10\\ f(10^2)&=f(10)^2+f(0)^2=100\\ f(6)^2&=f(10^2)-f(8)^2=36 \end{align}
したがって$f(6)=6$です。

ここまでの計算から,次の予想が出来そうです。

$\bm{f(0)=0}$のときの⛄

$f(0)=0$のとき,⛄を満たす関数$f$は,$f(x)=x$に限る。

これを証明しましょう。そのために次の補題 1 を用意します。

$m$を7以上の整数とする。このとき$0$以上$m$未満の整数$n,p,q$が存在して,$$ m^2+n^2=p^2+q^2 $$
と表せる。

補題 1

$m$が偶数の時は,恒等式$$ m^2+\left|\bunsuu m2-5\right|^2=(m-2)^2+\left(\bunsuu m2+3\right)^2 $$
が成り立つ。$m$$7$以上と仮定しているので,$\left|\bunsuu m2-5\right|,\,m-2,\,\bunsuu m2+3$はいずれも$0$以上$m$未満の整数である。

$m$が奇数の時は,恒等式$$ m^2+\left(\bunsuu{m-5}2\right)^2=(m-2)^2+\left(\bunsuu{m+3}{2}\right)^2 $$
が成り立ち,$m$$7$以上だったから,$\bunsuu{m-5}2,\,m-2,\,\bunsuu {m+3}2$はいずれも$0$以上$m$未満の整数である。

というわけで,予想が正しいことを示します。

予想の証明

$n=0,1,2,3,4,5,6$のときに予想は正しい。

$n$未満の正の整数に対して予想が正しいとする。このとき$n\geq7$であると仮定してよい。補題 1 より,ある$0$以上$n$未満の整数$p,q,r$が存在して,$$ n^2+p^2=q^2+r^2 $$
を満たすように取れる。$p,q,r$についてはそれぞれ,$f(p)=p$$f(q)=q$$f(r)=r$が成り立つので,$$ f(n)^2+p^2=q^2+r^2 $$
であり,これらを比べることで$f(n)^2=n^2$つまり,$f(n)=n$を得る。

というわけで,$f(0)=0$ならば,⛄を満たす方程式は$f(n)=n\;(n\in\Z)$である(逆も明らか)ことが分かりました。

$f(0)=\bunsuu12$のとき

$f(0)=\bunsuu12$のときも何かしら規則性がないかを調べたいですので,具体的に計算していきましょう。

まずは$f(1)$についてですが,$f(1)=f(0)^2+f(1)^2$ですので,$f(1)=\bunsuu12$に限ります。

次に$f(2)$についても,$f(2)=f(1)^2+f(1)^2=\bunsuu12$です。もう予想できそうですね。

$\bm{f(0)=1/2}$のときの⛄

$f(0)=\bunsuu12$のとき,⛄を満たす関数$f$は,$f(n)=\bunsuu12\;(n\in\Z)$に限る。

$f(0)=0$のときと同様の流れで,$n=0,1,2,3,4,5,6$のときに$f(n)=\bunsuu12$であることを計算し,$n$$7$以上の時は補題 1 を適用すれば帰納的に正しいことが証明される。逆も明らかである。

まとめ(感想)

というわけで今回は,⛄を満たすような関数$f$というのを具体的に求めていきました。初等的な数字遊びでしたが楽しかったです。補題 1 が強力でしたね。

ここまで見ていただきありがとうございます!

$\tag*{$\style{font-family:inherit}{\text{To Be Continued...???}}$}$

投稿日:20201128
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ぱるち
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数学屋さんをしています。代数,数論系に興味があり,今は楕円曲線と戯れています。Mathlogは現実逃避用という噂もあります。@f_d00123

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