Mathlogでは練習を兼ねて初めての記事作成となる。
さて、与えられた数列
(なお、日本語で部分和といった場合、単に一部分の和をとるという意味の subsum と部分積分の公式に相当する partial summation の2つの意味があるが、ここで部分和の方法というのは後者をさす)
たとえば、次のような関係が成り立つことが示せる。
が成り立つ。
より一般的には、次のような関係が成り立つ。
により
が成り立つ。さらに
も成り立つ。
定理2の前段をAbelの総和公式、後段をEulerの総和公式という。Abelの総和公式についてはApostol, Theorem 4.2, Eulerの総和公式についてはApostol, Theorem 3.1も参照。Hardy-Wright, Theorem 421はAbelの総和公式の特殊な場合である。
まず、2つの数列
の形の和について考えたいとする。ただし、
とおくと
つまり
だから
と変形できる。各
が成り立つ。
ここで、
とおくと
かつ
なので
が成り立つ。
左辺は
である。よって
となって、定理2の前段が示された。
だが
であるから
が成り立つので、定理2の後段も示される。
とくに
となって、
たとえば
が成り立つ。
といった評価が得られる。
であるが、
となるので
が成り立つ。
また
が成り立つとする。このとき
となるが
なので
とおくと
となって、
G. H. Hardy and E. M. Wright, An Introduction to the Theory of Numbers, revised by D.R. Heath-Brown and J.H. Silverman, foreword by Andrew Wiles, 6th ed., Oxford, 2008.
Tom M. Apostol, Introduction to Analytic Number Theory, Undergraduate Texts in Mathematics, Springer, 1976, doi: https://doi.org/10.1007/978-1-4757-5579-4