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大学数学基礎解説
文献あり

三角関数の直交性

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三角関数の直交性の公式

 三角関数には、以下のような性質があり、これを三角関数の直交性と言う。

(1)

$$ \frac{1}{\pi} \int_{ - \pi}^{\pi} \cos(mx)\cos(nx)dx\ = \delta_{mn} $$

(2)

$$ \frac{1}{\pi} \int_{ - \pi}^{\pi} \sin(mx)\sin(nx)dx\ = \delta_{mn} $$

(3)

$$ \frac{1}{\pi} \int_{ - \pi}^{\pi} \cos(mx)\sin(nx)dx\ = 0 $$

(4)

$$ \frac{1}{2\pi} \int_{ - \pi}^{\pi} 1 \cdot\cos(nx)dx\ = \delta_{n0} $$

(5)

$$ \frac{1}{\pi} \int_{ - \pi}^{\pi} 1 \cdot\sin(nx)dx\ = 0 $$
この時
$$ \delta_{mn}= \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 1 \left( m=n\right) \\ 0 \left( m \neq n \right) \end{array} \right. \end{eqnarray} $$
となる。(クロネッカーのデルタ記号)

三角関数の直交性の証明

前提事項

三角関数の加法定理は次のように表される。
$$ \sin(\alpha \pm \beta) = \sin(\alpha)\cos(\beta) \pm \cos(\alpha)sin(\beta) $$
$$ \cos(\alpha \pm \beta) = \cos(\alpha)\cos(\beta) \mp \sin(\alpha)sin(\beta) $$

(1)の証明

 まず、余弦の加法定理について、$\cos(\alpha + \beta)$$\cos(\alpha - \beta)$を加算してみると、
$$ \cos(\alpha + \beta) + \cos(\alpha - \beta)=2 \left( \cos(\alpha)\cos(\beta)\ \right) +\sin(\alpha)\sin(\beta)-\sin(\alpha)\sin(\beta)=2\cos(\alpha)\cos(\beta) $$
となる。式$ \frac{1}{\pi} \int_{ - \pi}^{\pi} \cos(mx)\cos(nx)dx\ $を解く時、被積分関数$ \cos(mx)\cos(nx) $$2\cos(mx)\cos(nx) $$\frac{1}{2}$となることに留意する。よって、
$$ \int_{ - \pi}^{\pi} \cos(mx)\cos(nx)dx\ =\frac{1}{2} \int_{-\pi}^{\pi} \cos \lbrace (n+m)x \rbrace dx\ + \frac{1}{2} \int_{-\pi}^{\pi} \cos \lbrace (n-m)x \rbrace dx\ $$
となる。
$n=m$の時$n+m=2n$$n-m=0$となる為、
$$ \int_{ - \pi}^{\pi} \cos(nx)\cos(nx)dx\ = \frac{1}{2}\int_{ - \pi}^{\pi} \cos(2nx)dx\ +\frac{1}{2}\int_{ - \pi}^{\pi} 1 dx\ = \pi $$
元の式は$\frac{1}{\pi}$になるので、$ \frac{1}{\pi} \int_{ - \pi}^{\pi} \cos(mx)\cos(nx)dx\  (n=m)$の解は$1$となる。
$n \neq m \neq 0 $の時、
$$ \int_{ - \pi}^{\pi} \cos(nx)\cos(mx)dx\ = \frac{1}{2(n+m)} \lbrack \sin\lbrace (n+m)x \rbrace \rbrack _{-\pi}^{\pi} +\frac{1}{2(n-m)} \lbrack \sin\lbrace (n-m)x \rbrace \rbrack _{-\pi}^{\pi} $$
となる。$ \lbrack \sin\lbrace (n \pm m)x \rbrace \rbrack $について、$ x = \pm\pi $の時$0$となる為、$ \frac{1}{\pi} \int_{ - \pi}^{\pi} \cos(mx)\cos(nx)dx\  (n \neq m)$の解は$0$となる。

(2)の証明

 (1)の証明で使用した加法定理の加算であるが、ここでは減算し、$2\sin(\alpha)\sin(\beta)$を導く。すると、先程の式と変わった部分は正弦か余弦かになる。$n=m$の時、
$$ \int_{ - \pi}^{\pi} \sin(nx)\sin(nx)dx\ = -\frac{1}{2}\int_{ - \pi}^{\pi} \sin(2nx)dx\ +\frac{1}{2}\int_{ - \pi}^{\pi} 1 dx\ = \pi $$
となる。よって解は1となる。
$n \neq m \neq 0 $の時は、
$$ \int_{ - \pi}^{\pi} \sin(nx)\sin(mx)dx\ = \frac{1}{2(n+m)} \lbrack -\cos\lbrace (n+m)x \rbrace \rbrack _{-\pi}^{\pi} -\frac{1}{2(n-m)} \lbrack -\cos\lbrace (n-m)x \rbrace \rbrack _{-\pi}^{\pi} $$
となり、解は$0$となる。

(3)の証明

 まず、正弦の加法定理について、$\sin(\alpha + \beta)$$\sin(\alpha - \beta)$を加算してみると、
$$ \sin(\alpha + \beta) +\sin(\alpha - \beta) =2\left( \sin(\alpha)\cos(\beta)\ \right) +\cos(\alpha)\sin(\beta)-\cos(\alpha)\sin(\beta)=2\sin(\alpha)\cos(\beta) $$
となる。よって、
$$ \frac{1}{2} \int_{-\pi}^{\pi} \sin \lbrace (n+m)x \rbrace dx\ + \frac{1}{2} \int_{-\pi}^{\pi} \sin \lbrace (n-m)x \rbrace dx\ $$
となる為、解は$0$となる。( $ \int_{-\pi}^{\pi} \sin(nx) dx\ $$0$になる。 )
よって、
$$ \frac{1}{\pi} \int_{ - \pi}^{\pi} \cos(mx)\sin(nx)dx\ = 0 $$
となる。

(4)(5)の証明は、正弦及び余弦の積分について述べているのみであり、注意点は$-\pi$から$\pi$の範囲であることのみである。よって、ここで詳しく証明はしない。

参考文献

[1]
井町昌弘,内田伏一, フーリエ解析, 物理数学コース, 裳華房, 2001, p.4
投稿日:20201128

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投稿者

lent
lent
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どこにでもいるような普通の人。自身の学習の意も込めて書いている為、たまに突拍子も無い文になることがあるので注意(めんどくさくなったからという時もある)

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