今回は、みゆさんがTwitterで出していた問題(
こちら
)について話そうと思います。最近なぜか三項間漸化式ばかり解いていた自分は、この式を見た時に、何かのn乗引く何かのn乗というものを三項間漸化式でよく見たなあ、と思いました。実際、こんな定理が成り立ちます。
異なる2解$\alpha,\beta(\alpha,\beta\in\mathbb{C})$を持つ$x$の二次方程式を$x^2+sx+t=0$としたとき、以下の条件を満たす数列$\{a_n\}$の一般項は$a_{n}=\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}$となる。
$a_{n+2}+sa_{n+1}+ta_{n}=0$
$a_1=0,a_2=\alpha-\beta$
条件より、漸化式は
\begin{align*}
a_{n+2}-\beta a_{n+1}&=\alpha(a_{n+1}-\beta a_{n})\qquad\cdots(1)\\
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}&=\beta(a_{n+1}-\alpha a_{n})\qquad\cdots(2)
\end{align*}
と変形できるので、
\begin{align*}
a_{n+1}-\beta a_{n}&=(a_2-\beta a_1)\alpha^{n-1}\qquad\cdots(3)\\
a_{n+1}-\alpha a_{n}&=(a_2-\alpha a_1)\beta^{n-1}\qquad\cdots(4)
\end{align*}
と書ける。
$(3)-(4)$より$(\alpha-\beta)a_{n}=(a_2-\beta a_1)\alpha^{n-1}-(a_2-\alpha a_1)\beta^{n-1}$であり、$a_1=0,a_2=\alpha-\beta$なので、$(\alpha-\beta)a_n=(\alpha-\beta)(\alpha^{n-1}-\beta^{n-1})$となるが、$\alpha\neq\beta$より
$$ a_{n}=\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}$$
が得られた。
今回の問題では$a_n=(a+b)^{n-1}-(a-b)^{n-1}$となりそうなので、$\alpha=a+b,\beta=a-b$として考えます。($b=0$のときは明らかなので$b\neq0$とします)
すると、先ほどの証明に出てきた$(1)$がまさしく今回言っていることに他なりません!つまり、$(1)$の($n$を$n+1$に置き換えた)式に$a_n=(a+b)^{n-1}-(a-b)^{n-1}$を代入すると
$$ \Big\{\big(a+b\big)^{n+1}-\big(a-b\big)^{n+1}\Big\}-(a-b)\Big\{\big(a+b\big)^{n}-\big(a-b\big)^{n}\Big\}=(a+b)\bigg(\Big\{\big(a+b)^{n}-(a-b)^{n}\Big\}-(a-b)\Big\{(a+b)^{n-1}-(a-b)^{n-1}\Big\}\bigg)$$
となって、$(a+b)$を掛けることが、$n$を$n+1$に置き換えることと同じことが分かりました。実はここに出てくる$(3)$は、みゆさんが実際にこの式を導いたときの解き方に出てくる式です。(
こちら
)
そういえば、三項間漸化式と言えば
こんなもの
が…これを使って考えてみるのも面白そうですね。
結論、太郎君は正しかった