高校の数学IIでは「虚数単位」や「複素数」が登場し、根号の中身に負の数が入ることも認められるようになった。この時、
まず、そもそも「中身同士の計算ができる」こと自体が当たり前のことなどではなく、根号の定義から導かれた性質なのである。
例えば「
冒頭の事柄が成立するのは、このことを根拠としている。
すなわち、
これが見かけ上、根号内同士で掛け算割り算ができる、という形に見える、というだけの話だったのだ。
では、根号内が負である数が含まれる場合どうなるのか。
2つの実数
この時
この虚数単位
負の数の平方根は純虚数で、虚部が正のものと負のものがある。根号で表される数は、そのうち虚部が正のものと定めたのである。
さて、ここで先ほどの証明を、
先ほどの注意にも書いたが、虚数に対して正負や大小といったものを定義することはできない。
すると赤字で書いた、「
したがってそれ以降の話も成立しないので、それまでの延長で「根号内の計算」という話はできない、という事になる。
これまでの定義に忠実に行くなら、次のような事柄は示せる。
これにより、
その積
したがって、
また
示せることは示せるが、定義4に従って根号内を正に変えて、複素数の計算を行うのとたいして変わらないことをやっているため、実際に計算する際にはその方法を取ったほうが間違えずに済む。
「当たり前」に思えた根号同士の掛け算割り算も、定義の裏付けあっての計算法則であるので、前提である「根号の中身が正」以外の状況では使えないことに注意しよう。