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ゼータ関数のEuler積表示について

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ゼータ関数の紹介

 実は、ゼータ関数には色々な種類があります。
今回紹介するゼータ関数は、その中でもかなり一般的なリーマンゼータ関数です。リーマンゼータ関数の定義式は以下の通りです。

リーマンゼータ関数

リーマンゼータ関数$\zeta(s)$を以下で定義する。
$$ \zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^s} $$

この記事では、リーマンゼータ関数を、単にゼータ関数と呼ぶことにします。

ゼータ関数のEuler積表示とは

さて、本題のゼータ関数のEuler積表示ですが、以下のような表示を言います。

ゼータ関数のEuler積表示

$$ \zeta(s)=\prod_{p:prime}\dfrac{1}{1-p^{-s}} $$

しばしばゼータ関数が素数と関係があると言われるのは、このような表示があるからです。
この公式を証明するにあたって少しだけ準備をしたいと思います。

素因数分解の一意性

素因数分解の一意性について簡単に説明すると、どんな2以上の自然数についても、素数の積で表すことができ、その表し方はuniqueである、という性質です。
さて、この性質を使って、ある自然数$n$を、素数を使って一般的に表してみようと思います。
素数を小さい順に$p_1,p_2,\cdots$とします。(素数が無限個あることは証明なしに使います。)
すると、素因数分解の一意性から、ある$0$以上の整数の組$k_1,k_2,\cdots$が存在して$n=p_1^{k_1}\cdot p_2^{k_2}\cdots$と表せます。
さて、ここからが本番です。ここで全ての自然数の和を考えます。
そして、その和を以下のように並べ替えます。
$$ \begin{eqnarray*} \sum_{n=1}^{\infty}n=&(&1+2+4+8+\cdots)\\ &\times&(1+3+9+27+81+\cdots)\\ &\times&(1+5+25+125+625+\cdots)\\ &\times&(1+7+49+343+\cdots)\\ &\vdots& \end{eqnarray*} $$
かっこの中から上手く整数を選ぶことによって全ての自然数が一度ずつ現れることがわかると思います。
このことから、自然数の和は素数を使って以下のように表すことができます。
$$ \sum_{n=1}^{\infty}n=\prod_{p:prime}\sum_{n=1}^{\infty}p^{n-1} $$
さて、同様にして逆数も考えてみると、
$$ \sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n}=\prod_{p:prime}\sum_{n=1}^{\infty}p^{-(n-1)} $$
と表せます。ここで、$\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}p^{-(n-1)}$を、初項$1$、項比$\dfrac{1}{p}$の等比無限級数だと思えば、全ての素数は$2$以上であるから、$\dfrac{1}{p}<1$であるので、収束します。
その値は$\dfrac{1}{1-\frac{1}{p}}$であることから、自然数の逆数和は
$$ \sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n}=\prod_{p:prime}\dfrac{1}{1-p^{-1}} $$
であることがわかります。
さて、今考えたいのは$n^s$の逆数和です。なので、全ての素因数を$s$乗してあげれば良いので、
$$ \zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^s}=\prod_{p:prime}\dfrac{1}{1-p^{-s}} $$
となり、ゼータ関数のEuler積表示を示すことができました。

投稿日:20201130

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学んだことのまとめいろいろ。

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