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sin(x)の無限積展開の大雑把な証明

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$3$倍角の公式で$\sin x$を展開する話。
 まず、よく知られているように、
$$\sin 3x=3\sin x-4\sin^3 x$$
である。これより、
\begin{align*} \sin 3x &= 4\sin x\left(\frac{3}{4}-\sin^2 x\right)= 4\sin x\left(\sin^2 \frac{\pi}{3} - \sin^2 x\right)\\[5pt] &= 4\sin x \sin\left(\frac{\pi}{3}-x\right) \sin\left(\frac{\pi}{3}+x\right). \end{align*}
これを繰り返し使う。なお、
$$\sin(\alpha+\beta)\sin(\alpha-\beta)=\sin^2 \alpha - \sin^2 \beta$$
は加法定理で容易に証明できる。
\begin{align*} \sin 9x &= 4\sin 3x \sin 3\left(\frac{\pi}{9}-x \right)\sin 3\left(\frac{\pi}{9}+x\right) \\[5pt] &= 4 \cdot 4\sin x \sin \left(\frac{\pi}{3}-x\right)\sin \left(\frac{\pi}{3}+x\right) \\[5pt] &~~~~\times 4\sin\left(\frac{\pi}{9} - x\right) \sin\left(\frac{2\pi}{9}+x\right) \sin \left( \frac{4\pi}{9} - x \right)\\[5pt] &~~~~\times 4\sin\left( \frac{\pi}{9}+x \right) \sin\left( \frac{2\pi}{9}-x \right) \sin \left( \frac{4\pi}{9}+x \right) \\[5pt] &= 4^4\sin x\prod_{k=1}^4 \sin\left(\frac{k\pi}{9}-x\right) \sin\left(\frac{k\pi}{9}+x\right). \end{align*}
帰納的に、
\begin{align*} \sin 3^m x &= 4^{1+3+\cdots + 3^{m-1}} \sin x\prod_{k=1}^{1+3+\cdots +3^{m-1}} \sin\left(\frac{k\pi}{3^m}-x\right) \sin\left(\frac{k\pi}{3^m}+x\right)\\[5pt] &=2^{3^m-1}\sin x \prod_{k=1}^{(3^m-1)/2}\left(\sin^2 \frac{k\pi}{3^m}-\sin^2 x\right). \end{align*}
$x$$x/3^m$で置き換えて、
$$\sin x = 2^{3^m-1}\sin \frac{x}{3^m} \prod_{k=1}^{(3^m-1)/2}\left(\sin^2 \frac{k\pi}{3^m} - \sin^2 \frac{x}{3^m}\right)$$
を得る。ここで両辺を$x$で割って$x\to 0$すると、
$$\frac{\sin x}{x}\to 1,~~~~\frac{\sin \lambda x}{x} \to \lambda$$
みたいになるから、
$$1 = \frac{2^{3^m-1}}{3^m}\prod_{k=1}^{(3^m-1)/2}\sin^2 \frac{k\pi}{3^m}$$
なる。これも厳密に成り立つ。これで両辺を割ると、
$$\sin x = 3^m\sin \frac{x}{3^m}\prod_{k=1}^{(3^m-1)/2}\left(1-\frac{\sin^2 \displaystyle\frac{x}{3^m}}{\sin^2 \displaystyle\frac{k\pi}{3^m}}\right)$$
みたいになる。これも厳密。ここで$m \to \infty$すると、
$$3^m\sin\frac{\alpha}{3^m} = \alpha\cdot\sin\frac{\alpha}{3^m} / \frac{\alpha}{3^m} \to \alpha$$
のようになるから、分数のところで上と下にそれぞれ$3^{2m}$を掛けて、
$$\sin x = x\prod_{k=1}^{\infty}\left(1 - \frac{x^2}{k^2 \pi^2}\right)$$
となる。ただ、$k$が一定じゃないのでやり方は厳密じゃない($k$が項数に近い時におかしなことになる)・・正当化するにはいろいろ方法がある。差分を取って評価するとかしないといけない。証明してみたい人は・・
$$|x - \sin x|\leq \frac{x^3}{6}~~~(0\leq x \leq \pi)$$
とか、
$$\frac{2}{\pi}x\leq \sin x\leq x ~~~(0\leq x \leq \frac{\pi}{2})$$
が参考になるかも。
 複素関数論を使うとエレガントにできるとか、できないとか。

投稿日:20201130

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