16

複素座標入門2/5 偏角の応用

1588
2

どうもnatuです.今回は偏角についてです.複素座標をする上でこの偏角の考え方が一番大事です.この回で述べる命題は後の回でも頻繁に使うので是非マスターしましょう.では,参ります.

絶対値と偏角

複素数は実部と虚部を決めるとただ一つに定まります.実はこのような複素数を決定する要素としてほかに絶対値と偏角があります.

絶対値

絶対値は第1回でも登場しましたが,もう少し踏み込みます.
zの絶対値とは複素数平面上においてzと対応する点と原点,すなわち0と対応する点との距離を言い,|z|で表します.
三平方の定理より|z|=Re(z)2+Im(z)2ですね.
絶対値について次の重要なことが成り立ちます.

絶対値の性質

        |ab|=|a||b|   |1z|=1|z| (|z|0)

第1式 左辺=|(Re(a)+Im(a)i)(Re(b)+Im(b)i)|
   =|(Re(a)Re(b)Im(a)Im(b))+(Re(a)Im(b)+Im(a)Re(b))i|
   =(Re(a)Re(b)Im(a)Im(b))2+(Re(a)Im(b)+Im(a)Re(b))2
   =Re(a)2Re(b)2+Re(a)2Im(b)2+Im(a)2Re(b)2+Im(a)2Im(b)2
   =Re(a)2+Im(a)2Re(b)2+Im(b)2=右辺
 よって示された.
 第2式 第1式においてa=z,b=1zとして得られる.

積の絶対値=絶対値の積 ってことですね.大事です.

偏角

zの絶対値とは,複素平面上においてzと対応する点Zと原点OA(1)について半直線OZが半直線OAとなす角をいい,argzと表します.

符号付き角

「なす角」は符号付き角を考えます.すなわちAOZ=ZOAということです.

「実部・虚部」に注目せず「絶対値・偏角」で複素数zを表したいときは次の表し方が有効です.
z=r(cosθ+isinθ)  この表し方は極座標に似た表し方であるので"極形式"と呼ばれます.
当たり前ですが偏角が1周(2π)してもその複素数は不変なので,複素数の偏角というとその角度を限定するために大抵は0θ<2πまたはπθ<πで考えます.
図

偏角の性質

        argab=arga+argb   arg1z=argz (z0)

第1式 練習問題とする.
 第2式 第1式においてa=z,b=1zとして得られる.

積の偏角=偏角の和 ってことですね.超大事です.

直線のなす角

直線の平行・垂直1

平面上に2点A,Bがあるとき半直線ABが実軸となす角はどう表せるでしょうか.
考えられるのはこの直線を平行移動してOAを重ねたとき,Bの行先はbaに対応するので求める角はarg(ba)で表せるという考え方です.もう少し拡張しましょう.
新しく2点C,Dをとって,半直線ABが半直線CDとなす角を表します.
求める角は半直線ABが実軸となす角から半直線CDが実軸となす角を引いたものに等しいですね.ということでarg(ba)arg(dc)=argbadcです.
図
特に,dcに,caに置き換えると半直線ABが半直線ACとなす角,すなわちBACを複素数の偏角として表すことができます.

偏角による角度の表示

             BAC=argabac

この命題は超超超重要です.
さらに我々が興味を持つのは,直線AB,CDが平行or垂直になるときです.

平行なとき

半直線ABが半直線CDとなす角は0またはπなのでargbadc=0,πです.
このとき複素数badcは実軸上に存在するので実数といえます.

垂直なとき

半直線ABが半直線CDとなす角は12πまたは32πなのでargbadc=12π,32πです.
このとき複素数badcは虚軸上に存在するので純虚数といえます.
まとめます.

2直線の平行・垂直条件

     AB//CDbadcは実数   ABCDbadcは純虚数

Aと点Dが一致する,すなわちa=dのときこの命題は次のようになります.

同一直線・直角の条件

        3点A,B,Cが同一直線上に存在abacは実数
            BAC=90abacは純虚数

これは証明問題に使えますね.

直線の平行・垂直2

今度は直線の関係を方程式から考察します.
今,直線の方程式az+bz=c ①があります.

平行な直線

直線①をpだけ平行移動した直線はzzpにした式,すなわちa(zp)+b(zp)=cとして得られますね.これを整理してap+bp+c=dとすると,az+bz=dとなります.式①と比べてみてください.cdになっただけですね!

垂直な直線

直線①を原点を中心に90だけ回転移動した直線はzziにした式,すなわちazi+b(zi)=cとして得られますね.これを整理してazbz=ciさらにciをほかの複素数,例えばdにしても平行移動するだけなのでazbz=dは①と垂直ですね!

なぜzziにすればよいのか

直線①上の点Z(z)を原点を中心に90だけ回転移動すると点Z(z)に移り,z=izがなり立ちます.なのでこれをz=ziと変形して①に代入,zzと置きなおせばよいのです.図形の平行移動と似た考えですね.

まとめます.

平行・垂直な直線の方程式

任意の複素数a,b,c,dについて,
         2直線az+bz=c,az+bz=dは平行
         2直線az+bz=c,azbz=dは垂直

それでは練習問題を解いてみましょう.

練習問題

level1

1@

直交座標平面上に異なる3点A(m,n),B(n,m),C(mn,m+n)がある.
複素座標を用いてBAC=45を示せ

2@

直線az+bz=c (a0)と原点の距離はbによらないことを示せ.

3@@

(1)絶対値がrで偏角がθである複素数αについてRe(α),Im(α)を求めよ.
 (2)(1)の結果を用いて|ab|=|a||b|,argab=arga+argbが成り立つことを示せ.

level2

1@@@

三角形ABCが正三角形であるとき,a3+b3+c3=3abcであることを示せ.

2@@@

99C0+99C4++99C96を計算せよ.

3@@@

4点A(a),B(b),A(1a),B(1b)は同一直線上に並ぶか同一円周上に並ぶことを示せ

level3

1@@@

平面上に三角形ABCがあり,外部に点P,Q,R,Sを四角形ABPQ,ACRSが正方形になるようにとる.点Aを通り,直線QSに垂直な直線は辺BCの中点を通ることを示せ.(長岡の教科書Ⅲより)

2@@@@

平行四辺形ABCDがあり,直線AB上に点Eがある.A,B,Eはこの順に並んでおり,BC=BEをみたす.Aから直線CEへおろした垂線と線分AEの垂直二等分線の交点をXとするとき,4点A,B,D,Xは同一円周上にあることを示せ.(EGMO一次予選2020 4)

次回予告

だんだんとただの数だった複素数が図形的に扱えるようになってきましたね.実用的でしょう?
さて,次回からは外接円が|z|=1の三角形について書いていこうと思います.これが理解できればたいていの問題は(複素で解くことを想定しているならば)手が届きます!
それでは,お疲れさまでした.

投稿日:2020121
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

natu
natu
135
12356
複素座標入門を終わらせたら何するか悩んでます

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 絶対値と偏角
  2. 直線のなす角
  3. 練習問題
  4. 次回予告