どうもnatuです.今回は偏角についてです.複素座標をする上でこの偏角の考え方が一番大事です.この回で述べる命題は後の回でも頻繁に使うので是非マスターしましょう.では,参ります.
絶対値と偏角
複素数は実部と虚部を決めるとただ一つに定まります.実はこのような複素数を決定する要素としてほかに絶対値と偏角があります.
絶対値
絶対値は第1回でも登場しましたが,もう少し踏み込みます.
の絶対値とは複素数平面上においてと対応する点と原点,すなわちと対応する点との距離を言い,で表します.
三平方の定理よりですね.
絶対値について次の重要なことが成り立ちます.
第1式 左辺
右辺
よって示された.
第2式 第1式においてとして得られる.
積の絶対値=絶対値の積 ってことですね.大事です.
偏角
の絶対値とは,複素平面上においてと対応する点と原点とについて半直線が半直線となす角をいい,と表します.
符号付き角
「なす角」は符号付き角を考えます.すなわちということです.
「実部・虚部」に注目せず「絶対値・偏角」で複素数を表したいときは次の表し方が有効です.
この表し方は極座標に似た表し方であるので"極形式"と呼ばれます.
当たり前ですが偏角が1周してもその複素数は不変なので,複素数の偏角というとその角度を限定するために大抵はまたはで考えます.
図
第1式 練習問題とする.
第2式 第1式においてとして得られる.
積の偏角=偏角の和 ってことですね.超大事です.
直線のなす角
直線の平行・垂直1
平面上に2点があるとき半直線が実軸となす角はどう表せるでしょうか.
考えられるのはこの直線を平行移動してとを重ねたとき,の行先はに対応するので求める角はで表せるという考え方です.もう少し拡張しましょう.
新しく2点をとって,半直線が半直線となす角を表します.
求める角は半直線が実軸となす角から半直線が実軸となす角を引いたものに等しいですね.ということでです.
図
特に,をに,をに置き換えると半直線が半直線となす角,すなわちを複素数の偏角として表すことができます.
この命題は超超超重要です.
さらに我々が興味を持つのは,直線が平行or垂直になるときです.
平行なとき
半直線が半直線となす角はまたはなのでです.
このとき複素数は実軸上に存在するので実数といえます.
垂直なとき
半直線が半直線となす角はまたはなのでです.
このとき複素数は虚軸上に存在するので純虚数といえます.
まとめます.
点と点が一致する,すなわちのときこの命題は次のようになります.
これは証明問題に使えますね.
直線の平行・垂直2
今度は直線の関係を方程式から考察します.
今,直線の方程式①があります.
平行な直線
直線①をだけ平行移動した直線はをにした式,すなわちとして得られますね.これを整理してとすると,となります.式①と比べてみてください.がになっただけですね!
垂直な直線
直線①を原点を中心にだけ回転移動した直線はをにした式,すなわちとして得られますね.これを整理してさらにをほかの複素数,例えばにしても平行移動するだけなのでは①と垂直ですね!
なぜをにすればよいのか
直線①上の点を原点を中心にだけ回転移動すると点に移り,がなり立ちます.なのでこれをと変形して①に代入,をと置きなおせばよいのです.図形の平行移動と似た考えですね.
まとめます.
平行・垂直な直線の方程式
任意の複素数について,
2直線は平行
2直線は垂直
それでは練習問題を解いてみましょう.
練習問題
level1
1@
直交座標平面上に異なる3点がある.
複素座標を用いてを示せ
3@@
(1)絶対値がで偏角がである複素数についてを求めよ.
(2)(1)の結果を用いてが成り立つことを示せ.
level2
3@@@
4点は同一直線上に並ぶか同一円周上に並ぶことを示せ
level3
1@@@
平面上に三角形があり,外部に点を四角形が正方形になるようにとる.点を通り,直線に垂直な直線は辺の中点を通ることを示せ.(長岡の教科書Ⅲより)
2@@@@
平行四辺形があり,直線上に点がある.はこの順に並んでおり,をみたす.から直線へおろした垂線と線分の垂直二等分線の交点をとするとき,4点は同一円周上にあることを示せ.一次予選
次回予告
だんだんとただの数だった複素数が図形的に扱えるようになってきましたね.実用的でしょう?
さて,次回からは外接円がの三角形について書いていこうと思います.これが理解できればたいていの問題は(複素で解くことを想定しているならば)手が届きます!
それでは,お疲れさまでした.