双複素解析入門 第4回
前回,
0を除く双複素数環の零因子の集合を
と定義する.
さて,どんな双複素数が零因子となるでしょうか?いくつか例を見てみましょう.
となる.
となる.
これらの双複素数にはどんな共通点があるかを考えてみましょう.前回紹介した,べき等元分解表示をしましょう.それぞれべき等元分解をすると,
となります.2つの例だけでは気が付きにくいかもしれませんが,
双複素数環の零因子の集合は次の等式を満たす:
集合の条件を整理すると,次のように書き直すこともできます.
(i) 任意に
つまり,
となり,行列表示すると,
が成り立つ.
が成り立つ.
(ii)任意に
以上の(i),(ii)より,主張は成り立つ.
双複素数の零因子の形は
とすると,次が成り立つ:
一般の環は零因子の構造が複雑になりますが,双複素数環においては比較的良い構造を持っていると思えますね.
今回はここまでにします.ありがとうございました.