これからは単位円について書こうと思います.単位円の何がよいかというと円周上の点においてが成り立つので全体的に計算が複雑になりにくいことが挙げられます.単位円でなかったらとは区別しなければなりませんからね.また,以後,先ほどの関係式は断りなく使い,単位円をとします.
諸定理
よく使う定理を使う頻度順(主観)に挙げます.証明も書きますがさらっと流すよりは完全に理解してから次に進んだほうがいいと思います.では行きましょう.
のとき
直線の方程式をとしてを代入して
を得る.この2式よりだからこれらをもとの方程式に代入して分母を払うと が得られる.
これはのときも成り立っている.証明終了.
上の2点を通る直線の方程式は定理1よりである.
上の点における接線はこれに垂直だからその方程式はとおける.
を代入してが得られるから求める方程式は
である.証明終了.
の方程式は定理1よりだからそれに垂直な直線の方程式は
とおける.この式にを代入してが得られるから,求める方程式は
である.証明終了.
垂線の足
に内接する三角形についてからへ下した垂線の足の座標は
定理1,3の式を連立してを求めると得られる.証明終了.
再び交わる点
上の点と上にない点について
直線との交点のうちでないほうの座標は
直線との交点のうちでないほうをとすると,直線の方程式は定理1よりであり,はこれを満たすから,
について解いて これが求める座標である.証明終了.
からへの垂線の方程式は定理3より
同様にからへの垂線の方程式は
2式よりを得る.証明終了.
重心は外心と垂心を結ぶ線分をに内分するという有名な事実より明らかである.
こいつらは複素座標で問題を解くうえで最もベーシックな道具になります.
では,練習問題といきましょう.
練習問題
level1
1@@
円に内接する六角形がある.辺と辺が平行であり,辺と辺が平行であるとき,辺と辺も平行であることを示せ.
2@@@
円に内接する五角形があり,辺の中点をそれぞれとし,三角形の垂心をそれぞれとする.このとき,五角形と五角形は相似であることを示せ.
3@@@@
四角形に点を中心とする円が内接している.対角線の中点をそれぞれ
としたとき,を示せ.(予選改題)
level2
1@@@@@
鋭角三角形において,外心を,垂心をとする.また,を通り直線に平行な直線と辺との交点をそれぞれとし,線分の中点をとする.このとき,を示せ.
2@@@@@
鋭角三角形があり,その外心をとする.3点から対辺に下ろした垂線の足をそれぞれとし,さらに辺の中点をとする.直線と直線の交点を,直線と直線の交点をとし,線分の中点をとする.このとき3点が同一直線上にあることを示せ.
level3
1@@@@@@
三角形の外心を,垂心をとし,直線上に点を,を満たすようにとる.直線の交点をとするとき,直線は直線上で交わることを示せ.
2@@@@@@
は円に内接する四角形であり,は直線上の点であって,直線および直線はに接する.の点での接線は直線と点で交わり,と点で交わる.直線との交点のうちでない方をとする.このとき,3点は同一直線上にあることを示せ.
3@@@@@@
鋭角三角形がある.からにおろした垂線の足を,の中点を,三角形の垂心をとする.三角形の外接円と半直線の交点をとし,直線と円の交点のうちでない方をとする.このときが成り立つことを示せ.
次回予告
今回は実践多めでした.peppersが複素で解けるのは楽しいですね.今後もpeppersはちょいちょい登場する予定です.次回は残された五心である内心,傍心,また円周角の定理を複素数で表現する方法を書きます.
それでは,お疲れさまでした.