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積分問題の解説(高校範囲)

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この記事では, 先日Twitterで出した, 以下の積分の問題の解答を書こうと思います.

読んでくださる方は受験生の方が多いかなと思いますので, (まあ受験で積分自体が難しい問題が出ることはほぼ無いかと思いますが) どのように解くかという考え方も少し書いてみるつもりです.


1.0π2log(1+sinx)1+sinxdx2.01xx4dx3.0π4dx1+2sin2x

I1=0π2log(1+sinx)1+sinxdx

これはやはり, logが入っているので, 部分積分が良いでしょう. (この問題は実はtanx2の置換でも解けますが, どちらにしろ部分積分しないといけません.)

ということで, まずは 11+sinx の不定積分を考えてみましょう. 積分定数は省略します.

よくあるように, 分母分子に 1sinx を掛けて,

dx1+sinx=1sinxcos2xdx=tanx1cosx=sinx1cosx=cosx1+sinx
のようになります. ただし最後の行の変形では分母分子に 1+sinx を掛けました. これによってこの原始関数がx=π2で連続になるのが少し大事ですね.

従って, 部分積分を実行すれば

I1=0π2log(1+sinx)1+sinxdx=[log(1+sinx)cosx1+sinx]0π2+0π2cos2x(1+sinx)2dx=0π2cos2x(1+sinx)2dx
となります.

ここで, log(1+sinx) の微分と 11+sinx の積分が偶然同じになっているのが面白いですね.

さらに変形することで,

I1=0π21sin2x(1+sinx)2dx=0π21sinx1+sinxdx=0π2(21+sinx1)dx=[2cosx1+sinxx]0π2=2π2

以上より,
0π2log(1+sinx)1+sinxdx=2π2
が答えとなります.

I2=01xx4dx

これは, まずの中に3次以上の式が入っているものは基本的に積分できないというのを思い出します. すると, うまい置換があるのかなと考えられます.

xでくくると1x3が出てくるので, ここを1x2のようにしてみましょう.

そこで, xx=tと置換します. 積分区間は t:01 となり, 32xdx=dt となります.

従って,

I2=01xx4dx=011x3xdx=011t223dt=23011t2dt=π6
となります. ただし最後の行で, 1t2の積分は単位四分円の面積であることを使いました.

以上より,
01xx4dx=π6
が答えとなります.

I3=0π4dx1+2sin2x

これは, 難しいと思います. 私も初見で解ける気がしないです.

とにかくまずは, tanの置換だと予想してみます. しかしただtanと置換してもうまくいかないことがわかるので, 被積分関数に 1cos2xが出てくるように変形してみましょう. すると,

I3=0π4dx1+2sin2x=0π411cos2x+2tan2x1cos2xdx=0π411+3tan2x1cos2xdx
のように書くことができます. ただし最後の行で 1cos2x=1+tan2x を用いました.

これでうまく置換できそうです. 3tanx=tanθ とおきます. すると, 積分区間は θ:0π3, また 3dxcos2x=dθcos2θ となるので,

I3=0π411+3tan2x1cos2xdx=0π311+tan2θ131cos2θdθ=130π3dθ=π33

以上より,
0π4dx1+2sin2x=π33
が答えとなります.

読んで下さった方, ありがとうございました.

投稿日:20201212
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投稿者

東大数理M1

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  1. I1=0π2log(1+sinx)1+sinxdx
  2. I2=01xx4dx
  3. I3=0π4dx1+2sin2x