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コーンの影の問題

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この記事では, 以下のような問題について考えてみます.


下の画像のような, サッカー部の方が使っているようなマーカーコーンに斜めから太陽光が入ったとき, 上部の穴はどのような影を落とすでしょうか?

マーカーコーン マーカーコーン

計算が割と多くなってしまいますが, 面白いと思うので, 最後まで読んでいただけたら幸いです.

数値設定

まず, 簡単のため, 座標空間で, コーンの下部の円を {x2+y2=9z=0, 上部の円を {x2+y2=1z=1としましょう. そしてこの2円を下底, 上底とする円錐台の側面をKとします.

また, 太陽光は平行光線で, 向きは (401) 方向であるとします.

これは, 上部の円の左端を通った光が下部の円の右端に着くような向きです. もう夕暮れですね.

Kを式で表す

Kz軸に垂直な平面で切ったときの断面がrであるとします.(1r3)

このような平面は, 円錐の頂点がz=32であることから, z=3r2ですので,

K:{x2+y2=r2z=3r2(1r3)x2+y2=(32z)2(0z1)
と書けます.

光線lを式で表す

上部の円周上の点(cost,sint,1)(0t<2π)を通る光線をlとします.

光線のy成分は0でしたから, lは平面y=sint内の, 傾き14の直線で,

l:{z1=14(xcost)y=sint
と書けます.

Klの交点を求める

Kの式にlの式を代入して, 交点のz座標を求めましょう. z=1が解であることは明らかですので, もう一つの解を求めます.

(4+cost4z)2+sin2t=(32z)23z2(5+2cost)z+2(1+cost)=0(z1)(3z2(1+cost))=0

従って, 交点は z=23(1+cost) とわかりました.

0z1 の条件から, cost12 即ち π3t53π である必要があるとわかります.

これは, 上部の円の縁の影がKに映るのはtがこの範囲の部分の縁だけで, 残りの部分は縁が影を落とすことはないということですね.

Kの展開図上での影の形を調べる

Kは円錐ですから切り開くことができるので, その展開図において影がどのような形になるのかを調べます.

と, その前にまずは影の縁Cをパラメタ表示してみると, z=23(1+cost) から
C:{x=13(45cost)y=sintz=23(1+cost)(π3t53π)
とわかります.

Cxy平面に射影すると, 楕円となることがわかりますね.

次に, Kを具体的に切り開いていきます. 円錐K(の延長)の頂点をP(0,0,32)とし, 他にK上の点Q(1,0,1), R(3,0,0)をとります.

PQ=52, PR=325 なので, P(0,0,0), Q(52,0,0), R(325,0,0) へと移るように切り開く(押しつぶす)ことを考えます.

すると, Kは扇形のようになり, 中心角は, 母線ぶんの半径ですから, 252πとなります.

K' K'

また, K上の, x座標がrcosθ, y座標がrsinθである点は, このように押しつぶしたことにより, 原点からの距離は52倍, 偏角は25倍になります.

即ち, 極座標のように表せば, 点(52r, 25θ) へと移ることになります.

以上より, Cxy平面への射影Cを極座標表示すれば, CKと共に切り開いた図形の形もわかるということになりました.

もう一度Cをパラメタ表示すると,

C:{x=13(45cost)y=sint(π3t53π)

ですから, この楕円の式は
(3x45)2+y2=1(12x3)
となります.

頑張って計算すると, 焦点のひとつは原点であることがわかるので, 楕円の極座標表示の公式(?)(私は覚えていません)から,
r=354cosθ(π3θπ3)
と, とても綺麗に表せることがわかります.

これを各点に対しr,θを偏倍したものがCですから, その式は
r=52354cos52θ(2π35θ2π35)
となることがわかりました!
C' C'

ということで, 結局, 楕円の一部だったのですね.

これは, もしかして円錐曲線ということで, 自明なことなのでしょうか? 平面で切っているわけではないので(上部の穴を通った光線は楕円柱の形になるので), そこまで自明ではないと信じたいですね...

影の面積を求める

せっかく式を求めたのに, 楕円であることが自明だと言われてしまうと悔しいので, 影の面積Sを求めてみましょう.

極座標表示で動径の掃く微小面積は12r2dθであることを使います. 中心の扇形の面積を引くのを忘れないように気をつけて,

S=2π352π3512(52354cos52θ)2dθ12(52)22π35=125492520π3dθ(54cosθ)256π=9520π3dθ(54cosθ)256π
となります.

最後に, I=0π3dθ(54cosθ)2 を計算します.

これは, tanθ2の置換をしてさらにいろいろやると解けるのですが, 長くなるので簡潔に書こうと思います.

3tanθ2=tanϕと置換すると, ϕ:0π3です.

cos2θ2=99+tan2ϕ, 54cosθ=9cos2ϕ(9+tan2ϕ) となるので,

I=0π31(54cosθ)22cos2θ23dϕcos2ϕ=2270π3cos2ϕ(9+tan2ϕ)dϕ=2270π3(8cos2ϕ+1)dϕ=227[2sin2ϕ+5ϕ]0π3=227(3+53π)
と計算できました.

以上より,
S=952I56π=153+7518π
と求められました!!!

おわりに

(たぶん)非自明そうな結果が得られてよかったです. 楕円柱と円錐の交わりが楕円であるということですからね.

また, なかなか解きごたえのある積分もでてきて面白かったです. これ実は, こんな計算をしなくても, 楕円であるということから結構簡単に面積は求まるのですけれど...💦

まあそこは趣味で積分をしたということにさせてください.

ということで, かなり長くなってしまいましたが, ここまで読んで下さった方, 本当にありがとうございました.

投稿日:20201213
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投稿者

東大理数B4です

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  5. Kの展開図上での影の形を調べる
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