導入
を代数閉体とし,を上の次射影空間とする.
セグレ埋め込み
(ただし)を以下のように定める:
このときはwell-definedであり単射となる.このをセグレ埋め込みという.
セグレ埋め込みは代数幾何において非常に重要な対象であり,ブローアップなどに応用されている.
確認
が(ただし)について
と表されているとき,この点をで送ると,
となり,斉次座標の取り方によらずに一意的に定義されていることが分かる.
について,が
であるとき,あるについてである.そのようなをとしても一般性を失わない.このとき,
と表す.この点をで送ると,
となる.ここで,について,が
であるとする.ここでとするととなるが,この点をで送ると
となり,の座標を上式と比較すると明らかにとなる.のときも同様にとなる.さらに,かつのとき,
と表す.点をで送ると
となる.ここでと仮定すると,上式と比較しての座標が等しいので任意のについてとなるが,あるいはのときに注目すると,となる.従って,,となりである.よっては単射となる.
このように単射で埋め込まれている 自体をセグレ埋め込みということもある.以下,とする.
代数学の準備
を環とする.を加群,をのA部分加群とする.このとき
と定義する.
を加群,をとなるの部分加群とする.この時線形写像についてが単射でであるときとなる.
を示せば良い.任意のについてあるが存在してと表される.これをで送ると,
となるがよりであるのでとなるが,は単射なのでとなる.従ってとなりとなる.
定義イデアル
と表す.まずが射影多様体となることを示す.はの斉次素イデアルである.実際,は環準同型なのでは素イデアルである.またとすると,は次数付き環より,その次の斉次元全体による集合をと表すと,
のように斉次元の和に一意的に分解できる.これをで送ると,
となるが,であるので,それぞれの次数の関係に注意するととなる.よって任意のでとなるので,は斉次元で生成されており,すなわち斉次イデアルと言える.従っては射影多様体である.
次に集合としての包含を示すが,はほとんど明らかである.なぜならば,任意のについてあるが存在してとなるので,任意のについて
となりといえる.次に逆向きの包含を示す.任意のについてその斉次座標を
とすると,であるので,でない座標が少なくとも1つ存在する.これをとすると,
となるが,任意のについて
であることからとなるので,について,が成り立つ.従って
となり,が示される.
以上より,セグレ埋め込みの定義イデアルは上記の線形写像の核を求めることによって定まることがわかる.
のイデアルと線型部分空間をそれぞれ以下のように定める:
このとき線形空間としてである.
ももの-部分線型空間であることからであるので,を示せば良い.また,多項式環の任意の元が単項式の線形結合で表されることから,の任意の単項式がに含まれることを示せば良い.
ここで,,とし,に対してに辞書式順序を入れる.任意の単項式について,ある正の整数と個組が存在して,
(ただし,)と一意的に表せる.ここで,とし,とすると,より
となる.同様にとしてとすると,
となる.以下同様に,としてを選べば,
となるが,よりとなり,を得る.
は斉次成分を保つ写像であるので斉次元について単射であることを示せば良い.任意の単項式は,(ただし,)を用いて
と一意的に表される.これをで送ると,
となるが,,であることに注意すると,添字の付け方は元の単項式の添字によって一意的に決まるので,単項式については単射である.ここで,斉次元はのような単項式で次数が等しいものによる線形結合で表されているので,が環準同型であることからのそれぞれの単項式が相異なる単項式に移る.よって斉次元についても単射である.
明らかにである.実際,の任意の生成元はで送ると,
となるのでに含まれる.さらにでありは単射であるのでとなる.
以上よりセグレ埋め込みの定義イデアルが求まる.
参考文献
- Atiyah, M.F. and Macdonald, I.G. (1969) Introdiction to Commutative Algebra, Addison-Wesley Publishing Company, Inc.
- Hartshorne, Robin (1977) Algebraic Geometry, Springer-Verlag New York Inc.
-
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