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双有理不変性とA^1不変性

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$$\newcommand{op}[0]{\mathrm{op}} \newcommand{Set}[0]{\mathbf{Set}} \newcommand{Var}[0]{\mathbf{Var}} $$

$k$を体とし、$k$上の代数多様体の圏を$\Var_k$で表します.関手$F\colon \Var_k^\op\to \Set$が双有理不変であるとは、任意の双有理射$f\colon X\to Y$に対して$F(f)$が全単射であることを指すとします.また関手$F\colon \Var_k^\op\to \Set$$\mathbb{A}^1$不変であるとは、任意の代数多様体$X$に対して標準的な射影$p\colon \mathbb{A}^1_X\to X$が誘導する写像$F(p)$が全単射であることを指すとします.ここでは次の定理を示します.

Colliot-Thélène [KS15, Appendix A]

関手$F\colon \Var_k^\op\to \Set$が双有理不変ならば、$F$$\mathbb{A}^1$不変である.

$X$を代数多様体とし、$q\colon \mathbb{P}^1_X\to X$を自然な射影とする.$F(q)$が全単射であることを示せばよい.単射性は$q$がセクション$X\to \mathbb{P}^1_X$を持つことからわかる.全射性を示そう.

$W$$\mathbb{P}^1_X\times_X\mathbb{P}^1_X$$\{\infty\}\times_X\{\infty\}$に沿ったブローアップとする.閉埋め込み
$$ i\colon \mathbb{P}^1_X\to \mathbb{P}^1_X\times_X\mathbb{P}^1_X;~x\mapsto (x,\infty) $$
$W$における強変換を$\tilde{i}\colon \mathbb{P}^1_X\to W$とする.
$$ \mathbb{A}^1_X\times_X \mathbb{A}^1_X\to \mathbb{P}^2_X; (x,y)\mapsto (x:y:1) $$
は双有理射$\pi\colon W\to \mathbb{P}^2_X$に一意的に延長され、以下の可換図式が得られる:
$$ \xymatrix{ \mathbb{P}^1_X\ar[r]^-{\tilde i}\ar[d]^-q & W\ar[d]^-\pi\\ X\ar[r]^-{(0:1:0)} & \mathbb{P}^2_X. } $$
仮定より$F(\pi)$は同型なので、$F(\tilde{i})$の全射性を示せばよい.以下の図式は可換である:
$$ \xymatrix{ & W\ar[d]\\ \mathbb{P}^1_X\ar[r]^-i\ar[ur]^-{\tilde{i}} & \mathbb{P}^1_X\times_X\mathbb{P}^1_X. } $$
よって$F(i)$の全射性を示せばよい.これは$i$がレトラクションを持つことからわかる.

$\Var_k$における双有理射全体のクラスを$S_b$, 安定双有理射(支配的射であって関数体の拡大が純超越的であるもの)全体のクラスを$S_r$とします.明らかに$S_b\subset S_r$です.上の定理から直ちに次のことがわかります.

標準的な関手$S_b^{-1}\Var_k\to S_r^{-1}\Var_k$は圏同値を与える.

参考文献

[KS15] B. Kahn and R. Sujatha, Birational geometry and localisation of categories, Doc. Math., Extra vol.: Alexander S. Merkurjev’s sixtieth birthday (2015) 277334.

投稿日:20201215

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J_Koizumi
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