初めに
一変数実微分積分学の初歩程度の知識を仮定しています。
主張
を実数とする。関数はで定義されており、関数は以下5つの性質をもつものとする。
あるが存在して、
上は二回微分可能である。
はで右連続である。
このとき、テイラーの定理より、任意のに対し、あるが存在して、よって、仮定(2)から連続性よりある実数が存在して、であり、仮定(1)と合わせてに対し
を得る。これより仮定(4)から
である。
次に、を任意の自然数として、に対し、 により再帰的にを定める。(2)および(p)で得られた結論より、に対し
が得られ、この定義はwell-definedである。 このもとで、を任意に一つ固定して、極限
を考えると、これは
に収束する。この命題を以下の手順で証明する。
以降指定がなければとし、はテイラーの定理により存在が保証されているので各に対し適当に一つを選び関数で表記する。具体的には、各に対し集合
を考え、その直積 を考えると、各は先述の議論により空ではないので、選択公理より
は空ではない。この元を一つ(どれでもよい)とり、それをとする。
証明
より、であり、これよりを得る。したがって、数列は狭義単調減少であり下に有界だから収束する。収束値をと置くと、(q)より。(2)よりの連続性から、よって、を得る。(1)およびより、、すなわちである。
より、
より、補題1からのときであり、の定義、仮定(3)および仮定(4)の連続性より、
したがって、
補題2の左辺の数列にチェザロ和の性質を適用すると、
を得る。
であるから、
となる。
補足
「連続性よりある実数が存在して、」
の部分について補足します。
(2)の仮定よりはで右連続です。 したがって、
(3),(4)より
に対し、対応するをとり、と置くと、任意のに対し、となる。ととることで求めるが得られます。鉤括弧内の記述はこの一連の操作を指します。
最後に
無駄な計算が非常に多いことがわかったので大幅に書き直しました。
(4)との仮定は「はにおける右極限が存在して、その値は負である。」に変えても問題ないです。この場合をその右極限に置き変えてください。
ちなみに(4)の符号を変えても同じような議論が可能です。