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対角成分が2でその周りが-1でそれ以外は0の行列の固有値を求める

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N(21O121O12)λp=4sin2pπ2(N+1)(p=1,,N)

この記事では、上記のことを示したいと思います。ただし答えを出すだけだと面白くない上にこれを思いついたのは物理のおかげなので多分に物理に絡めて話します。
まず、規準座標についてです。(規の方がかっこいいのでこっちを使うことにします)座標(x1,,xN)に対して規準座標を

規準座標

座標(x1,,xN)の線形和であって単振動の式を満たし、係数ベクトルが規格化されているもの

で定義します。今回は、両端の固定端の間にN個の質点とN+1個のばねが一直線に取り付けられている状況を考えます。簡単のため、質点の質量をすべてmとし、ばね定数をkとします。左から順に各質点を数えることにして、すべてのばねが自然長であるときの位置からのp番目の質点の変位をxpにとります。このとき、系のポテンシャルエネルギーU
U=12kp=1N+1(xpxp1)2(x0=xN+1=0)
より、質点pにおける運動方程式は
md2xpdt2=Uxp=k(2xpxp1xp+1)
ここで、つぎの等式を証明します。

p=1NsinpqπN+1(2xpxp1xp+1)=4sin2qπ2(N+1)p=1NsinpqπN+1xp(q1qN)

ただしxsinの引数にかかっていません。

頑張って計算するだけです。
p=1NsinpqπN+1xp1=p=1Nsin(p+1)qπN+1xpsin(N+1)qπN+1xN=p=1N(sinpqπN+1cosqπN+1+cospqπN+1sinqπN+1)xp
p=1NsinpqπN+1xp+1=p=1Nsin(p1)qπN+1xpsin0x1=p=1N(sinpqπN+1cosqπN+1cospqπN+1sinqπN+1)xpより
()=p=1N(2sinpqπN+12sinpqπN+1cosqπN+1)xp=4sin2qπ2(N+1)p=1NsinpqπN+1xp=()()

この補題から
d2dt2(p=1N2N+1sinpqπN+1xp)=p=1N2N+1sinpqπN+1d2xpdt2=km2N+1p=1NsinpqπN+1(2xpxp1xp+1)=km2N+14sin2qπ2(N+1)p=1NsinpqπN+1xp=km4sin2qπ2(N+1)(p=1N2N+1sinpqπN+1xp)
よって
Qq=p=1N2N+1sinpqπN+1xpωq=2sinqπ2(N+1)km
とすれば
d2dt2Qq=ωq2Qq
となって単振動の式を満たすことが分かります。わざわざ変な係数を付けたことから分かると思いますが、これは実際に規準座標になっています。そのことは次の補題からただちにわかります。

2N+1p=1NsinpqπN+1sinpqπN+1=δqq

x=qπN+1として
p=1Ncospx=12p=1N(eipx+eipx)=12{eixei(N+1)x1eix+eixei(N+1)x1eix}=12{eixeiqπ1eix+eixeiqπ1eix}
qが奇数ならeiqπ=eiqπ=1 ,偶数ならeiqπ=eiqπ=1 だから
p=1NcospqπN+1=0 (q) ,1 (q)
q=q
2N+1p=1NsinpqπN+1sinpqπN+1=2N+1p=1Nsin2pqπN+1=2N+112[Np=1Nsinp(2q)πN+1]=1
qq
2N+1p=1NsinpqπN+1sinpqπN+1=1N+1p=1N[cosp(qq)πN+1cosp(q+q)πN+1]
qqq+qの偶奇は一致するから上に示した準備によりこの値は0である。
(市村宗武著朝倉現代物理学講座p211参照)

Qqq=q
以上より規準座標は
Qq=p=1N2N+1sinpqπN+1xp(q=1,,N)
のN個です。A(p,q)A(p,q)
Q=(Q1QN),X=(x1xN),A(p,q)=2N+1sinpqπN+1とおけば
Q=AX
Aについて、
A(q,p)=2N+1sinqpπN+1=2N+1sinpqπN+1=A(p,q)
よりtA=A
また、補題2によってただちにAが直交行列であることが分かるからtAA=E
よってA1=AX=AQ
つまり
xq=p=1N2N+1sinpqπN+1Qp(q=1,,N)
であることも分かります。
規準座標への変換はポテンシャルUの交差項を解消することも意味しています。このときに現れるのが表題の行列です。
一般に2
1ijNαijxixj βij=αij (i=j), βij=βji=12αij (ij)B(i,j)=βijB1ijNαijxixj=(x1,,xN)B(x1xN)
と表されます。いま、ポテンシャルは
U=12kp=1N+1(xpxp1)2=12k(i=1N2xixi+ij=±1(1)xixj)=12ktXBX
ただしB
BPABA
まず、ABを計算すれば、AB(p,q)=2N+1(sinp(q1)πN+1+2sinpqπN+1sinp(q+1)πN+1)=2N+14sin2pπ2(N+1)sinpqπN+1
がわかります。つまり
ABA(p,r)=q=1N2N+14sin2pπ2(N+1)sinpqπN+12N+1sinqrπN+1=4sin2pπ2(N+1)2N+1q=1NsinpqπN+1sinqrπN+1=4sin2pπ2(N+1)δpr
AA1=AP=A
このことから表題の行列の固有値はλp=4sin2pπ2(N+1)(p=1,,N) 
Q=AX=PX2
U=12kp=1NλpQp2
A
H=12p=1N{m(dQpdt)2+kλpQp2}
となることがわかります。

大学の授業で規準座標が出てきたのでその性質を色々と調べて記事にまとめました。間違ってたら教えてください。

投稿日:20201222
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