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正二面体群D3とD4の共役類

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$$\newcommand{A}[0]{\mathbb{A}} \newcommand{abs}[1]{\lvert#1\rvert} \newcommand{Algs}[0]{{\rm Algs}} \newcommand{Art}[0]{{\rm Art}} \newcommand{Aut}[0]{Aut} \newcommand{B}[0]{\mathbb{B}} \newcommand{bB}[0]{\mathbf{B}} \newcommand{bH}[0]{\mathbf{H}} \newcommand{Br}[0]{\mathrm{Br}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{cF}[0]{\mathcal{F}} \newcommand{cG}[0]{\mathcal{G}} \newcommand{cH}[0]{\mathcal{H}} \newcommand{cI}[0]{\mathcal{I}} \newcommand{cJ}[0]{\mathcal{J}} \newcommand{colim}[0]{colim} \newcommand{Cone}[0]{{\rm Cone}} \newcommand{Conj}[0]{{\rm Conj}} \newcommand{dimtot}[0]{{\rm dimtot}} \newcommand{End}[0]{End} \newcommand{Ext}[0]{{\rm Ext}} \newcommand{F}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{fa}[0]{\mathfrak{a}} \newcommand{fb}[0]{\mathfrak{b}} \newcommand{fg}[0]{\mathfrak{g}} \newcommand{fh}[0]{\mathfrak{h}} \newcommand{Frob}[0]{\mathrm{Frob}} \newcommand{Fun}[0]{Fun} \newcommand{fZ}[0]{\mathfrak{Z}} \newcommand{G}[0]{\mathbb{G}} \newcommand{Gal}[0]{{\rm Gal}} \newcommand{GL}[0]{GL} \newcommand{Gm}[0]{\mathbb{G}m} \newcommand{grad}[0]{grad} \newcommand{Hom}[0]{Hom} \newcommand{id}[0]{\mathrm{id}} \newcommand{im}[0]{im} \newcommand{Ind}[0]{Ind} \newcommand{inpr}[1]{\langle #1 \rangle} \newcommand{inv}[0]{\mathrm{inv}} \newcommand{leng}[0]{{\rm leng}} \newcommand{li}[0]{{\rm li}} \newcommand{Monoids}[0]{{\rm Monoids}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{norm}[1]{\lvert\lvert#1\rvert\rvert} \newcommand{Ob}[0]{{\rm Ob}} \newcommand{ord}[0]{{\rm ord}} \newcommand{p}[0]{\mathfrak{p}} \newcommand{Posets}[0]{{\rm Posets}} \newcommand{pr}[0]{{\rm pr}} \newcommand{Prim}[0]{{\rm Prim}} \newcommand{Proj}[0]{\mathbb{P}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{quat}[3]{\left(\frac{#1,#2}{#3}\right)} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{rank}[0]{\mathrm{rank}} \newcommand{rec}[0]{\mathrm{rec}} \newcommand{Res}[0]{Res} \newcommand{res}[0]{\mathrm{res}} \newcommand{sB}[0]{\mathscr{B}} \newcommand{Sch}[0]{Sch} \newcommand{Set}[0]{{\rm Set}} \newcommand{Sets}[0]{{\rm Set}} \newcommand{SL}[0]{SL} \newcommand{SO}[0]{SO} \newcommand{spa}[1]{{\rm Spa}(#1)} \newcommand{Spec}[0]{\mathrm{Spec}} \newcommand{spf}[1]{{\rm Spf}(#1)} \newcommand{Sw}[0]{{\rm Sw}} \newcommand{Tr}[0]{Tr} \newcommand{tr}[0]{\mathrm{tr}} \newcommand{trace}[0]{trace} \newcommand{vect}[1]{\overrightarrow{#1}} \newcommand{Vect}[0]{{\rm Vect}} \newcommand{Vir}[0]{Vir} \newcommand{vol}[0]{\mathrm{vol}} \newcommand{Xb}[0]{\overline{X}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

この記事では正二面体群$D_3, D_4$の共役類を計算します。

共役

$G$の要素$g\in G$に対し、$x\in G$による共役とは$xgx^{-1}\in G$のことをいう。
$g, h\in G$共役であるとは、ある$x\in G$が存在して$h=xgx^{-1}$となることをいう。

$G$$2$要素が共役であるという関係は同値関係を定める。したがって、この同値類により$G$を分割することができる。この同値類のことを共役類と呼ぶ。

$G$の共役類を計算する上で便利な事実を確認しよう。

$x,y\in G$に対して$xy=yx$ならば$yxy^{-1}=x$である。

$x,y\in G$に対し$(xy)^{-1}=y^{-1}x^{-1}$なので、

$x,y,g\in G$に対し
$$\begin{eqnarray} (xy)^{-1}g(xy)=y^{-1}(x^{-1}gx)y\end{eqnarray}$$となる。

つまり$g$$xy$による共役は$g$$x$による共役の$y$による共役に一致する。

$D_3$

正二面体群$D_3$$e$を単位元として、生成元$a,b$と関係式$a^3=b^2=e, ab=ba^2$によって定まる群で
$$\begin{eqnarray} D_3=\{e,a,a^2,b,ba,ba^2\}\end{eqnarray}$$と要素を表示できる。

この関係式から、 $$\begin{eqnarray} a^2b &=& a(ab)\\ &=& aba^2\\ &=& ba^2a^2\\ &=& ba\end{eqnarray}$$と計算できる。

$e$の共役類

まず$e$の共役類を計算する。$e$は任意の要素$g\in D_3$に対して$ge=g=eg$となるので、$e$と共役な要素は$e$自身のみで、

共役類は$\{e\}$である。

$a$の共役類

次に、$a$の共役類を計算する。$a^i$$a$$a^ia=a^{i+1}=aa^i$となり可換なので、$a^i$による共役は$a$自身である。$b$による共役を計算すると $$\begin{eqnarray} bab^{-1} &=& bab\\ &=& bba^2\\ &=& a^2\end{eqnarray}$$となる。$ba^i$による共役は$a$$b$による共役$a^2$$a^i$による共役で、$a^2a^i=a^{i+2}=a^ia^2$となるからこれは$a^2$である。共役は同値関係なので、

共役類は$\{a,a^2\}$である。

$b$の共役類

次に$b$の共役類を計算する。 $a$による共役は $$\begin{eqnarray} aba^{-1} &=& aba^2\\ &=& ba^2a^2\\ &=& ba\end{eqnarray}$$となる。 $a^2$による共役は $$\begin{eqnarray} a^2b(a^2)^{-1} &=& a^2ba\\ &=& baa\\ &=& ba^2\end{eqnarray}$$となる。ここまでのところで、共役が同値関係であることから$\{b,ba,ba^2\}$となることはわかるが、ついでに$ba^i$による共役を計算しておこう。これを$a^jb$の形に書き換えた上で、$b$$b$による共役が$b$自身であることから
$$\begin{eqnarray} (a^jb)b(a^jb)^{-1} &=& a^j(bbb^{-1})(a^j)^{-1}\\ &=& a^jb(a^j)^{-1}\\\end{eqnarray}$$となる。これは上の計算で$ba, ba^2$のいずれかとなる。

共役類は$\{b,ba,ba^2\}$である。

$D_4$

次に$D_4$の共役類を計算する。

正二面体群$D_4$$e$を単位元として、生成元$a,b$と関係式$a^4=b^2=e, ab=ba^3$によって定まる群で
$$\begin{eqnarray} D_4=\{e,a,a^2,a^3,b,ba,ba^2,ba^3\}\end{eqnarray}$$と要素を表示できる。

この関係式から、 $$\begin{eqnarray} a^2b &=& a(ab)\\ &=& aba^3\\ &=& ba^3a^3\\ &=& ba^2\\ a^3b &=& a(a^2b)\\ &=& aba^2\\ &=& ba^3a^2\\ &=& ba\end{eqnarray}$$と計算できる。

$e$の共役類

まず$e$の共役類を計算する。$e$は任意の要素$g\in D_4$に対して$ge=g=eg$となるので、$e$と共役な要素は$e$自身のみで、

共役類は$\{e\}$である。

$a$の共役類

次に、$a$の共役類を計算する。$a^i$$a$$a^ia=a^{i+1}=aa^i$となり可換なので、$a^i$による共役は$a$自身である。$b$による共役を計算すると $$\begin{eqnarray} bab^{-1} &=& bab\\ &=& bba^3\\ &=& a^3\end{eqnarray}$$となる。$ba^i$による共役は$a$$b$による共役$a^3$$a^i$による共役で、$a^3a^i=a^{3+i}=a^ia^3$となるからこれは$a^3$である。共役は同値関係なので、

共役類は$\{a,a^3\}$である。

$a^2$の共役類

$a^2$の共役類を計算する。$a^i$$a^2$$a^ia^2=a^{i+2}=a^2a^i$となり可換なので、$a^i$による共役は$a^2$自身である。$b$による共役を計算すると $$\begin{eqnarray} ba^2b^{-1} &=& ba^2b\\ &=& bba^2\\ &=& a^2\end{eqnarray}$$となる。$ba^i$による共役は$a$$b$による共役$a^2$$a^i$による共役で、これは$a^2$である。よって、

共役類は$\{a^2\}$である。

$b$の共役類

次に$b$の共役類を計算する。 $a$による共役は $$\begin{eqnarray} aba^{-1} &=& aba^3\\ &=& ba^3a^3\\ &=& ba^2\end{eqnarray}$$となる。 $a^2$による共役は $$\begin{eqnarray} a^2b(a^2)^{-1} &=& a^2ba^2\\ &=& ba^2a^2\\ &=& b\end{eqnarray}$$となる。$a^3=aa^2$による共役は$a^2$による共役$b$$a$による共役だから$ba^2$である。$b$による共役は$b$自身である。$ba^i$による共役は$b$による共役$b$$a^i$による共役だから$b$または$ba^2$である。よって

共役類は$\{b,ba^2\}$である。

$ba$の共役類

$ba$の共役類を計算する。 $a$による共役は $$\begin{eqnarray} abaa^{-1} &=& ab\\ &=& ba^3\end{eqnarray}$$となる。 $a^2$による共役は $$\begin{eqnarray} a^2ba(a^2)^{-1} &=& a^2baa^2\\ &=& ba^2a^3\\ &=& ba\end{eqnarray}$$となる。$a^3=aa^2$による共役は$a^2$による共役$ba$$a$による共役だから$ba^3$である。$b$による共役は $$\begin{eqnarray} bbab^{-1} &=& ab\\ &=& ba^3\end{eqnarray}$$である。$ba^i$による共役は$b$による共役$ba^3$$a^i$による共役だが、これは上で計算したことを利用しよう。$ba$$a$による共役が$ba^3$であり、$ba$$a^2$による共役が$ba$であった。したがって、$ba$$a$による共役$ba^3$$a$による共役が$ba$ということになる。つまり$ba^3$$a$による共役が$ba$であるが、これを繰り返すことにより$a^i$による共役は$ba$または$ba^3$であることがわかる。よって

共役類は$\{ba,ba^3\}$である。

まとめ

まとめると

$D_3$の共役類は $$\begin{eqnarray} \{e\}, \{a,a^2\}, \{b,ba,ba^2\}\end{eqnarray}$$$3$

$D_4$の共役類は $$\begin{eqnarray} \{e\}, \{a,a^3\}, \{a^2\}, \{b,ba^2\}, \{ba,ba^3\}\end{eqnarray}$$$5$

であることがわかった。

投稿日:20201223
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数学が好きです。

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