この記事では正二面体群の共役類を計算します。
共役
群の要素に対し、による共役とはのことをいう。
が共役であるとは、あるが存在してとなることをいう。
の要素が共役であるという関係は同値関係を定める。したがって、この同値類によりを分割することができる。この同値類のことを共役類と呼ぶ。
群の共役類を計算する上で便利な事実を確認しよう。
に対しなので、
つまりのによる共役はのによる共役のによる共役に一致する。
正二面体群はを単位元として、生成元と関係式によって定まる群で
と要素を表示できる。
この関係式から、 と計算できる。
の共役類
まずの共役類を計算する。は任意の要素に対してとなるので、と共役な要素は自身のみで、
の共役類
次に、の共役類を計算する。とはとなり可換なので、による共役は自身である。による共役を計算すると となる。による共役はのによる共役のによる共役で、となるからこれはである。共役は同値関係なので、
の共役類
次にの共役類を計算する。 による共役は となる。 による共役は となる。ここまでのところで、共役が同値関係であることからとなることはわかるが、ついでにによる共役を計算しておこう。これをの形に書き換えた上で、のによる共役が自身であることから
となる。これは上の計算でのいずれかとなる。
次にの共役類を計算する。
正二面体群はを単位元として、生成元と関係式によって定まる群で
と要素を表示できる。
この関係式から、 と計算できる。
の共役類
まずの共役類を計算する。は任意の要素に対してとなるので、と共役な要素は自身のみで、
の共役類
次に、の共役類を計算する。とはとなり可換なので、による共役は自身である。による共役を計算すると となる。による共役はのによる共役のによる共役で、となるからこれはである。共役は同値関係なので、
の共役類
の共役類を計算する。とはとなり可換なので、による共役は自身である。による共役を計算すると となる。による共役はのによる共役のによる共役で、これはである。よって、
の共役類
次にの共役類を計算する。 による共役は となる。 による共役は となる。による共役はによる共役のによる共役だからである。による共役は自身である。による共役はによる共役のによる共役だからまたはである。よって
の共役類
の共役類を計算する。 による共役は となる。 による共役は となる。による共役はによる共役のによる共役だからである。による共役は である。による共役はによる共役のによる共役だが、これは上で計算したことを利用しよう。のによる共役がであり、のによる共役がであった。したがって、のによる共役のによる共役がということになる。つまりのによる共役がであるが、これを繰り返すことによりによる共役はまたはであることがわかる。よって
まとめ
まとめると
であることがわかった。