今日はなんとクリスマスイヴらしいですね!ということで私はクリスマスツリーとして$\kappa^+$-Suslin木を飾りたいと思います(?)。ちょうどサンタさんからプレゼントとして$\kappa^+$の定常部分集合$S$と$\diamondsuit_{\kappa^+}(S)$-列と$\square_{\kappa}(S)$-列を貰ってます(???)。これらを材料に$\kappa^+$-Suslin木を作っていきましょう!
木 (tree) とは半順序集合$\langle T,<_T\rangle$で任意の$s\in T$に対し$\{t\in T\mid t<_T s\}$が$<_T$で整列順序付けられることを言う。
今$T$を木とし、$s\in T$とする。ここで$\{t\in T\mid t<_T s\}$の順序型を$s$の水準 (level)といい、$\mathrm{lv}(s)$と表す。また$\sup\{\mathrm{lv}(s)+1\mid s\in T\}$を$T$の高さ (height)といい$\mathrm{h}(T)$と表す。
木$T$の部分集合$X$が鎖 (chain) であるとは$X$が$<_T$で全順序付けられることであり、反鎖 (antichain) であるとは任意の$s,t\in X$に対し$s<_T t$でも$t<_S s$でもないことを言う。
基数$\kappa$に対し木$T$が$\kappa$-Suslin木 ($\kappa$-Suslin tree) であるとは以下の条件を満たすことである。
$\mathrm{On}$は順序数全体のクラス、$\mathrm{Lim}$は極限順序数全体のクラスとする。
順序数$\alpha$に対し$C\subseteq\alpha$が閉非有界 (closed and unbounded, club)であるとは順序位相の意味で閉集合であり、順序非有界となることである。また$S\subseteq \alpha$が定常 (stationary) であるとは、任意の$\alpha$の閉非有界集合と共通部分を持つことである。
基数$\kappa$とその部分集合$S$に対し$\diamondsuit_\kappa(S)$-列 ($\diamondsuit_\kappa(S)$-sequence) は以下を満たす集合の列$\langle A_\xi\mid \xi\in S\rangle$である。
基数$\kappa$とその部分集合$S$に対し$\square_\kappa(S)$-列 ($\square_\kappa(S)$-sequence) は任意の$\xi\in(\kappa,\kappa^+)\cap\mathrm{Lim}$に対し以下を満たす集合の列$\langle C_\xi\mid \xi\in \mathrm{Lim}\cap\kappa^+\rangle$である。
ある$\kappa^+$の定常集合$R\subseteq\kappa^+\cap\mathrm{Lim}$に対し$\diamondsuit_{\kappa^+}(R)$-列と$\square_{\kappa}(R)$-列が存在するとき$\kappa^+$-Suslin木が存在する。
&&&prf
今$\langle S_\xi\mid \xi\in R\rangle$を$\diamondsuit_{\kappa^+}(E)$とし$\langle C_\xi\mid \xi\in \mathrm{Lim}\cap\kappa^+\rangle$を$\square_\kappa(E)$-列とする。
木$T$の水準による制限$T\restriction\alpha$を順序数$\alpha<\kappa^+$に対して帰納的に構成する。まず$T\restriction 1:=\{0\}$とし、以下では$T\restriction\alpha$がすでに構成されていて、$T\restriction\alpha\in\mathrm{On}$であるものとしよう。
$\alpha$が後続順序数で$\beta$を$\alpha=\beta+1$であるようなものとする。$T\restriction(\alpha+1):=(T\restriction\alpha)+\mathrm{otyp}(T\restriction\alpha\setminus T\restriction\beta)\times 2$とする。追加された元は各元$s\in T\restriction\alpha\setminus T\restriction\beta$に対しての異なる二つの後続元となるように順序$<_{T\restriction(\alpha+1)}$定義する。
$\alpha$が極限順序数の場合を考える。まず$$S=\begin{cases}\{s\in T\restriction\alpha\mid (\exists t\in S_\alpha)[t=s\lor t<_{T\restriction\alpha} s]\} & \text{if $\alpha\in R$ and $S_\alpha$ is antichain of $T\restriction\alpha$.}\\
T\restriction\alpha&\text{otherwise.}\end{cases}$$
と定める。$s\in S$に対し$T\restriction\alpha$の鎖$c_s$を構成しよう。$s\in T\mid\varepsilon$となるような最小の順序数$\varepsilon$と置く。今$\gamma:=\mathrm{otyp}(C_\alpha\setminus\varepsilon)$とし、$\langle\delta_i\mid i<\gamma\rangle$を$C_\alpha\setminus\varepsilon$の数え上げとする。$\gamma$に対する帰納法で鎖$c_s$の元$s_i$を構成する。$s_0$を$T\restriction(\delta_0+1)\setminus T\restriction\delta_0$の元で$s$より$<_{T\restriction\alpha}$に対して大きいものの中で最小の順序数とする。次に$i>0$に対して$s_i$を任意の$j< i$に対し$s_j$より$<_{T\restriction\alpha}$に対して大きく$T\restriction(\delta_i+1)\setminus T\restriction\delta_i$に含まれている元で最小の順序数とする。もしそのような順序数が存在しないならそこで構成を終了する。そして$c_s:=\{s_i\mid i<\gamma\}$とする。$$T\restriction(\alpha+1):=(T\restriction\alpha)+\mathrm{card}(S)$と定義する($\mathrm{card}(S)=\kappa^+$であることに気をつける)。また順序$<_{T\restriction(\alpha+1)}$を任意の$s\in S$に対して$t\in T\restriction (\alpha+1)\setminus T\restriction\alpha$が一意に存在して任意の$s'\in c_s$に対し$s'<_{T\restriction(\alpha+1)}t$となるように定める。つまり各鎖$c_s$に対してその最小上界を一つだけ追加したものを$T\restriction(\alpha+1)$とする。
$T$を$\bigcup_{\alpha<\kappa^+}T_\alpha$とし$<_T$も自然に定める。$\kappa^+$-Suslin木の条件の内、6.「$T$の任意の反鎖の濃度は$\kappa$未満である」以外は構成から成り立つこと分かる。そうでない場合、ある極限順序数$\alpha<\kappa^+$で$T\restriction(\alpha+1)$の構成が壊れている場合を考える。今そのようなもので最小となるのを$\alpha$としよう。ある$s\in S,i\in\gamma\cap\mathrm{Lim}$に対して、$t\in T\restriction(\delta_i+1)\setminus T\restriction \delta_i$かつ任意の$j< i$に対し$s_j<_T t$となるような$t$が存在しない。しかし$\delta_i\in C_\alpha$で$C_\alpha$は$\square_\kappa(R)$-列であったから$\delta_i\notin R$であり、$C_{\delta_i}=C_\alpha\cap\delta_i$である。すると$T\restriction(\delta_i+1)$を構成するときの$S$はすなわち$T\restriction\delta_i$であり、$T\restriction(\delta_i +1)$の構成に矛盾する。
今$\kappa^+$の大きさを持つ$T$の反鎖$A$が存在するとしよう。今、$R$の定常性と$\diamondsuit_{\kappa^+}(R)$-列の定義から極限順序数$\alpha\in R$で$A\cap\alpha=S_\alpha$で$S_\alpha$が$T\restriction\alpha$の最大の反鎖となるものが存在する。よって$$S=\{s\in T\restriction\alpha\mid (\exists t\in S_\alpha)[t=s\lor t<_T s]\}$$であり、$T$の定義から任意の$T\setminus T\restriction\alpha$の元$u$はある$v\in S_\alpha$に対し$v<_T u$となる。よって$A$が反鎖である、すなわち任意の異なる元は比較不能であることから$A=A\cap\alpha=S_\alpha$である。しかし$\alpha<\kappa^+$であり$A\cap\alpha$の濃度は$\kappa^+$未満であることから矛盾する。$\square$
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## やったね。$\kappa^+$-Suslin木が存在するよ!
ノリと勢いで書いたので誤っている点があったら教えて下さい。ではMerry Christmas!