問題
超幾何関数を使うととなりますが、初等関数だけで表していきたいと思います。とはいえ、何をすればいいんだと呆然としてしまう人もいるでしょう。
これを解く前に、もうちょっと簡単な問題を見てみましょう。
簡単な問題
が答えなのですが、ちょっと迂回してみます。
分母のを見ると、円を想像したくなるものです。
取り敢えず、の部分だけ考えると、(他の場合もほぼ同様なので省略)
と簡単に表せます。
次に、直線と円の交点の座標を求めます。代入して式変形すると
となりますが、こので置換すると実はうまくいきます。
との関係式はをで微分して求めましょう。
さて、の左辺は見たことがありますね。求めたい積分の形になっています。
というわけでを求めることができました。とは随分見た目が違いますが、実際にを微分すると、ちゃんとになっています。
キーポイントは、直線との交点に着目したことでに辿り着き、そして見事に有理関数の積分に帰着できたことです。
問題1の解答
まず、の分母に注目です。
問題2では乗だったので、円を考えました。今度は乗なので、曲線とします。
次に、直線との交点に着目することで、
となります。
の両辺をで微分して、
となるので、求める積分はの置換により、
となり、有理関数の積分になります。
乗のときとは違い、ここから先の計算も大変です。
を部分分数分解しましょう。
分母のは
と因数分解でき、係数比較すれば、
がわかります。求める積分はとなります。
つの分数はどちらもの形をしているので、分母の次式をとして、のつの分数にそれぞれ分けて、合計つの分数の積分をすることになります。
の積分は、の積分はを使った式になります。
の変形について
式が横に長いので、とを纏めています。
は高校で習う対数の計算です。
がになっている部分は、タンジェントの加法定理から導きます。
を代入すると、
ここで、なので、右辺は
となります。
の両辺のをとると、
ですが、
左辺のの形をしている部分に問題があって、これはとは違い、になるとは限りません。
の範囲ではですが、
のとき、
のときと、区分的に定数の違いが出てしまいます。
この定数の違いは微分すると消えてしまうものなので、積分定数に取り込んで、計算結果には表していませんが、
計算結果のは不連続になっているところがあるので、
この不定積分を使って定積分をのように計算する場合に注意してください。
この定数の誤差が困るという場合は、纏めないで
としても構わないですが、それはそれでのところで不連続ですね。
問題2のも同様の注意が要ります。
積分定数の扱いにはご注意ください。
というわけで、なんとか初等関数で求めることができましたね。
が答えです。
もうこんな式、で書きたくない・・・。
まとめ
直線との交点を考えるのは、曲線のパラメータ表示(の1つ)を求めたり、曲線の概形を描く足がかりにしたりできることは高校の教科書にも書いてあるのですが、このような積分の問題での置換のヒントにもなったりします。
(実はガウス積分もを使って求める方法があります。)
結構便利なテクニックですね。
同じように、正の整数に対して、を求められますが、の時点で上記のように大変なので、それ以上となると相当気分の悪くなる計算を強いられることでしょう・・・。
(でも結構しんどさがあります。)
以上、読んでいただきありがとうございました。