本記事では,受入保留アルゴリズム(deferred acceptance algorithm;DAアルゴリズム)のグループ耐戦略性を証明します.
(必要に応じて導入部分を追記します.)
本記事の証明は以下の教科書を参考にしています.
本記事では,以下を前提知識とします.
任意の真の選好を
DAアルゴリズムはグループ耐戦略性を満たす.
定理1を証明する上でカギになるのが以下の補題2です.
任意の選好を
DAマッチングの最適性より,DAマッチングよりも良い女性とペアになる男性がいるマッチングは不安定になることが分かりますが,補題2では,不安定なペアを具体的に特徴付けしています.耐戦略性の証明に使えるだけではなく,補題自体の内容がとても重要だと思います.
補題の条件を満たすペアを具体的に構成することで証明する.
以下の記号を使う.
選好を整理する.
男性
概要を図1に示す.
図1
ペア
仮定より,
マッチング
概要を図2に示す.
図2
選好
ペア
男性
選好を整理する.
式(3)(4)より,マッチング
男性
前述の説明より
定理の反例となる男性グループ
選好
本記事では,DAアルゴリズムのグループ耐戦略性を証明しました.グループ耐戦略性は個人耐戦略性を拡張した性質です.個人耐戦略性については こちら で扱いました.ただ,式で証明(参考1)は追えても,深く理解できた気がしていませんでした.そこで,別証明も見てみようと思い,参考2の証明を読み,補題2を通した証明に出会いました.補題2は,背理法を用いない構成的な方法で証明しているため理解しやすく,さらに,その内容自体も重要であるため,とても感銘を受けました.今後も耐戦略性に関する理解を深めていきたいです.