今回は数学オリンピックを受ける人なら知っているであろう不等式である、Nesbittの不等式の証明と、その(一つの)一般化について書きたいと思います。
まず、Nesbittの不等式は次のようなものでした。
正の数
が成り立つ。(等号成立は
左辺を
と変形する。
ここで
ただし、4行目の不等号には相加相乗平均を用いた。等号成立は、
今回の証明は左辺の各項に
Nesbittの不等式の一般化というとShapiroの不等式というものが割と有名ですが、今回は、分母の数を増やしていこうと思います。つまり、次のことが成り立ちます。
正の数
が成り立つ。(等号成立は
こうなると、分母を払うことが難しいので先ほどのような方法が役に立ちます。
まず、証明の前に一つ今回使う定理を紹介します。
正の数
が成り立つ。(等号成立は
これは、
左辺の
となる。
ここで
ただし、2行目の不等号にはAM-HM不等式を用いた。等号成立は
というわけで、一般化したNesbittの不等式を証明することができました。証明しておいてなんですが、この不等式を使う機会ってあるんですかね?