この記事は1弾のおまけです。その1も良かったら読んでみてください。
正直この辺りは高校数学感が否めないですが、せっかく指数関数を扱うのですからここに触れてもいいと思い筆を執った次第です。
自然数の指数、つまり
今回は微分を考えるところから始めていこうと思います。
微分とは一般に開区間
という極限が存在するとき微分可能と定義したのでした。また、任意の
さて、
となります。
となります。つまり極限値
が存在するのか、つまり原点で微分可能なのか?が重要なポイントになるわけです。
さて、これが存在するかは定かではないですが、もしそうだとすると面白いことがわかります。
と置いてみましょう。そうすると上の変形から
と書くことができます。つまり指数関数は導関数が自身に比例するという性質を持つことがわかります。
ではこの比例定数
とする。この
突然定義からはじめてみました。たまにはこういうのもいいでしょう。
筆者が高校生だった当時は「なんかよくわからん数が出てきた」というのが正直な感想でした。のちのちこんなに目にすることになるとは当時は考えてもなかったです。
さて、筆者の無駄話はおき、極限で定義しましたがこのような数は存在するのか?というのは気になるところです。
これは二項定理を用いることで証明ができます。
実際
より単調増加です。また
から上に有界となるので上に有界な単調増加な関数より収束します。(証明終了)
これで
証明は難しくはないですが、思いつくのは結構難しい気がします。さて、
より
となります。ゆえに
が成り立ちます。よって
これの系としてネイピア数の指数関数が極限によってあらわすことができます。
が成り立つ。
証明は簡単で、
なので指数法則と指数関数の連続性から
となるので結論が得られます。(証明終了)
さて、ここまでは高校数学でもやったと思います。今回はここから少しだけステップアップして次の式を示してみましょう。
が成り立つ。
証明としては
とおいて頑張って評価するとしか言いようがないです。ネイピア数の収束性を調べる際と同様に
を用いると
となるので有界であることがわかります。したがって
となります。そうすると
みなさんは既にご存じでしょうが、この等式は
さて、ここで多少インチキをします。いま、
となります。なので
そうすると、
の各項は
が存在することがわかります。はい、ここで、無限級数と
さて、他方で
となるので
が得られます。これより特に
となって左極限の存在もわかります。
これより、結局比例定数
では
この記事の最後として、次の章ではこれについて考えてみましょう。
さて、ネイピア数ネイピア数といってきていますが、このネイピアとは一体何なんだ?と思った方もいるでしょう。じつはネイピアは対数というものを始めて考えた人です。(現代的な定義はかの有名なオイラーです)
前回我々が素朴な指数から実数乗まで拡張していく議論を行いましたが、ネイピアも指数の概念の拡張を試みる一人でした。その中で、指数法則によって積が和に帰着することから指数に注目することでこの拡張ができないかと考えたわけです。
ここからはネイピアの定義ではなく、現代的な定義に戻って話しますが、
ようするに
となる
つまり、これまでは
これは現在では逆関数と言われ、逆関数の微分可能性については実際次のことが成り立ちます。
関数
が成り立つ。
さて、指数関数
を満たすようなものが対数関数になります。そうすると次のことがいえます。
が成り立つ。
証明は簡単で、
この定理によって結局のところ
ということで今回は終わりになります。次節はべき級数展開を考えることでより指数関数が拡張できないかというところからスタートになります。
お楽しみに。それではまた近いうちに。