${}$
この記事では, Twitterで出した, 以下の 極限の問題 の解説を書こうと思います.
${}$
$f$の微分可能性まで認めた場合は, 部分積分($x^n$のほうを積分します )によって割と楽に示せるのですが, 連続性のみ認めるだけでも, 極限を求めることができます.
${}$
まず, $x^n$のグラフを考えてみると, そのほとんどが$1$付近に寄っていることがわかります. 従って, 積分には$x=1$の値のみが効いてくるので, 答えは$f(1)$と予想できます. (と簡単そうに言いましたが, 私はすぐにはわかりませんでした...😔)
そこで, $x=1$に近い部分とそれ以外の部分に積分区間を区切ってあげて, それぞれ評価することにします. 今回は具体的に$x=1-\frac1{\sqrt{n}}$で区切ることにします. (なぜ$1-\frac1n$でないかは, この後を読めばわかります. )
${}$
(証明)
${}$
$[1]$ 区間$\Big[0,1-\frac1{\sqrt{n}}\Big]$
$[0,1]$内での$|f(x)|$の最大値が存在するので, それを$M$とおきます. すると
$$\beq
\bigg|\ n\int_0^{1-\frac1{\sqrt{n}}}x^nf(x)\,dx\ \bigg|&\leqq&nM\int_0^{1-\frac1{\sqrt{n}}}x^n\,dx\\[5pt]
&=&\frac{n}{n+1}M\cdot\Big(1-\frac1{\sqrt{n}}\Big)^{n+1}\\[5pt]
&\leqq&\frac{n}{n+1}M\cdot\Big(\frac1e\Big)^{\frac{n+1}{\sqrt{n}}}\\[5pt]
&\to&0\hspace{12pt}(\mathrm{as}\ n\to\infty)
\eeq$$
と評価することができます.
${}$
$[2]$ 区間$\Big[1-\frac1{\sqrt{n}},1\Big]$
この区間内での$f(x)$の最小値, 最大値を$f(a_n),f(b_n)$とおきます. もちろん$a_n,b_n\in\Big[1-\frac1{\sqrt{n}},1\Big]$です. すると,
$$
nf(a_n)\int_{1-\frac1{\sqrt{n}}}^1x^n\,dx\leqq n\int_{1-\frac1{\sqrt{n}}}^1x^nf(x)\,dx\leqq nf(b_n)\int_{1-\frac1{\sqrt{n}}}^1x^n\,dx
$$
です.
ここで
$$ n\int_{1-\frac1{\sqrt{n}}}^1x^n\,dx=\frac{n}{n+1}\left(1-\Big(1-\frac1{\sqrt{n}}\Big)^{n+1}\right)\to1$$
であり, $a_n,b_n\to1$ ですので, はさみうちの原理より
$$ \limn\ n\int_{1-\frac1{\sqrt{n}}}^1x^nf(x)\,dx=f(1)$$
となります.
${}$
$[1],[2]$より,
$$ \limn\ n\int_0^1x^nf(x)\,dx=f(1)$$
が証明されました.
${}$
読んで下さった方, ありがとうございました.
${}$
${}$
(追記)
この定理(?)が利用できる問題を見つけました!
${}$
${}$
(解答)
$$\beq
S_n&=&\sum_{k=1}^{2n}\int_0^1(-x)^{n-1}\,dx\\[5pt]
&=&\int_0^1\frac{1-x^{2n}}{1+x}\,dx
\eeq$$
なので,
$$\beq
n(\log2-S_n)&=&\frac12\cdot2n\int_0^1\frac{x^{2n}}{1+x}\,dx\\[5pt]
&\to&\frac14\space(\mathrm{as}\ n\to\infty)
\eeq$$
と, 求められました.
${}$
${}$