はじめに
この記事ではこんな等式たちで遊んでみます。
からまでの自然数の和が,初項公比(上の例は)項数の等比数列の和に等しい等式を作って遊ぼう!という記事です。つまり,次の等式を満たすような正の整数の組を考えます。
のとき
まずは具体例として,のときを考えます。すなわち,次の等式を満たす正の整数を求めればよいです。
これを少し変形しますと,
となりますので,が平方数となるようなを決定することが必要です。
この問題の結果には名前が付いています。
Ramanujan-Nagell's theorem
方程式を満たす正の整数の組は,以下の組のみ存在する。
この定理1を認めれば,の組としてはのみとなります。故にのときに🍀を満たすものは⭐で提示したものしか存在しないことが分かりました。
なおによる証明(英語版)は,参考文献[1]を参照ください。その論文でやってることをざっくり説明すると,整数環が類数であることを用いて,の乗における考察に帰着して問題を解いています。
のとき
のときは,次の等式を満たすを求めればよいです。
この命題2の証明は長くありませんので,証明します。
のときはのみ。
とすると,を法とした合同を考えることで,
でなければならない。しかし,をで割った余りはのいずれかであることが計算によって分かる。故にの時にを満たすは存在しない。
よってのときの🍀は自明なものしか存在しないことが分かりました。
のとき
次にのときの例を考えてみましょう。例えば次のような例が見つかります。
🌠から薄々感づくかもしれませんが,こんな結果が得られます。
のときは無限にある
を満たす組は無数にあり,特には任意の自然数で,それに対応してが定まる。
さくっと命題3も証明しちゃいましょう。
次の方程式を解けばよい。
これを倍してをすれば,
となり,なので,と求められる。任意の自然数に対しては自然数であるから,命題 3 の主張は正しい。
のときの🍀は無数に存在することが分かりました。
発展的な話題
今回はのときの🍀について考察をしていきました。それぞれ,「非自明な解はあったが有限個しか存在しなかったもの」「非自明な解が存在しないもの」「無限にあるもの」といった場合でした。以下の進展が考えられます。
① のときのように,任意の自然数に対してを定めることが出来るようなは他にあるか?他にあるならそれは無数か?
② のときのように,の組がしか存在しないは他にあるか?他にあるならそれは無数か?
③ のときのように,非自明なが有限個存在するようなは他にあるか?他にあるならそれは無数か?
例えば,,としたときに,以外の解としては以下を発見することが出来ました。(もちろん計算機に任せています。)
やはりのときは非自明な雰囲気を感じますね。や,
なんかは面白い形をしています。
個人的には,こんな予想が成り立つんじゃないかと思っています。
🍀を満たす正の整数解は,⑴のときは組,⑵のときは無数,⑶のときは高々組しか存在しない。
これを証明できるのだろうか,考えるのは面白そうです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!