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大学数学基礎解説
文献あり

代数学の基本定理の証明

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TeXインポートでは、現在以下の項目が未対応です。

  • 図・表
  • 定理環境
  • スタイルファイル
  • MathJaxで動作しないコマンド

未対応コマンドについては、マクロや画像を使って導入する等の対応をよろしくお願いします。TeXインポートは現在β版で至らぬ点があり、ご不便おかけしますが、ご理解いただけると幸いです。何か不具合や意見等がありましたら、 こちら のフォームから報告していただけると非常に助かります。

加群
$ R $ を環として, $ (M,+) $ をアーベル群とする.
このとき, $ R $$ M $ への左作用$ R \times M \rightarrow M (r,r',1 \in R,m,m' \in M) $ で,
$ r \cdot (m + m') = r \cdot m + r \cdot m' $
$ (r + r') \cdot m = r \cdot m + r' \cdot m $
$ (r \cdot r') \cdot m = r \cdot (r' \cdot m') $
$ 1 \cdot m = m $
をみたすものを,左 $ R $ 加群と呼ぶ.
上の定義の左作用を右作用に置き換えることにより右 $ R $加群も定義される.
$ R $ が可換環のときは $ m \cdot r = r \cdot m $ と定めると左 $ R $加群に右 $ R $ 加群の構造が入り,
その逆も成り立つ. このとき,単に $ R $ 加群と呼ぶ.

複体
$ X_n : \mathbb{Z} $ 加群 と $ \partial_n : X_n \rightarrow X_{n-1} : $の組 $ (X_n,\partial_n) $ が複体であるとは$ \partial_{n-1} \circ \partial_n = 0 $ であることと定める.
このとき,$ \partial_n $ を境界作用素と呼ぶ.

ホモロジー群
$ X_n : \mathbb{Z}$加群, $ \partial_n : X_n \rightarrow X_{n-1} : $境界作用素とする.$ \text{Ker} \partial_n = \{x \in X_n \mid \partial_n x = 0 \} $$ \text{Im} \partial_{n+1} = \{x \in X_n \mid \exists y \in X_{n+1} \ s.t. \ x = \partial_{n+1} y \} $とする.
$ \text{Im} \partial_{n+1} \subset \text{Ker} \partial_n $であり, $ H_n(X) = \text{Ker} \partial_n / \text{Im} \partial_{n+1} $をホモロジー群と呼ぶ.

鎖準同型
$ (X_n,\partial_n), (X'_n,\partial'_n) : $ 複体とする.$ f_n : X_n \rightarrow X'_n $ が鎖準同型であることを,$ f_{n-1} \circ \partial_n = \partial'_n \circ f_n $をみたすことと定める.

m次元球面のホモロジー群
$ S^m = \{x \in \mathbb{R}^{m+1} \mid \vert x \vert = 1 \} $ に対して,
$ H_n(S^m) \cong \mathbb{Z} (n = 0,m) \\ H_n(S^m) = \{0\} (n \neq 0,m ) $

写像度
$ f : S^m \rightarrow S^m $ に対して$ f_* : H_n(S^m) \rightarrow H_n(S^m) $ が誘導される.
これは $ \mathbb{Z} $ から $ \mathbb{Z} $ への準同型とみなすことができるので,
$ f_*(x) = kx $
と記述できる.
この $ k $ を写像度と呼び, $ \text{deg} (f) $ と表す.

写像度の基本的性質
$ \text{deg}(id) = 1 $
$ \text{deg}(f \circ g) = \text{deg}(f) \text{deg}(g) $
$ f \simeq g \Rightarrow \text{deg}(f) = \text{deg}(g) $

代数学の基本定理
次数1以上の複素係数一変数多項式
$ p(z) = z^n + a_{n-1} z^{n-1} + \cdots + a_1 z + a_0 $
は複素根を持つ.
$ proof. $
$ p(z) $ が複素根を持たないと仮定する.
このとき, $ \hat{p} : S^1 \rightarrow S^1 $$ \hat{p}(z) = \frac{p(z)}{\vert p(z) \vert} $ とすると,
$ \vert z \vert \leq 1 $ に対して, $ \text{deg}(\hat{p}) = 0 $である.
$ \vert z \vert \geq 1 $ に対して, $ \text{deg}(\hat{p}) = n $である.
従って,矛盾が生じるので仮定は誤りで $ p(z) $ は複素根を持つ.

参考文献

[1]
Albrecht Dold, Lectures on Algebraic Topology, Springer, 1972
投稿日:2021119

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