6

Fibonacci数の6乗和

273
0
$$$$

はじめに

私が見つけたFibonacci数(またはそれに関係するもの)の公式は, 公表されたものだけでも150を超える.
2008年6月に何気なくFibonacci数と戯れる中で得られたある結果に対して3,4日位とても大きな興奮がつづいた.

Fibonacci数の6乗和公式 (old and new)

この記事では新しい「Fibonacci数の6乗和公式」を紹介する. 以下, $n$番目のFibonacci数, Lucas数をそれぞれ$F_{n}, L_{n}$で表す.
Fibonacci数の和と平方和はの結果は, 以下のように非常に簡単な形になることはよく知られている.
$\displaystyle  \sum_{k=1}^{n}F_{k}=F_{n+2}-1,$
$\displaystyle  \sum_{k=1}^{n}F_{k}^2=F_{n}F_{n+1}.$
ところが, 3乗和以降は複雑になっていく. 2008年時点でのOEISにあるFibonacci数の6乗和の公式は以下の通りであった.
 $\displaystyle \sum_{k=1}^{n}F_{k}^6=\frac{1}{500}(F_{6n+1}+3F_{6n+2}-(-1)^n(16F_{4n+1}+8F_{4n+2})-60F_{2n+1}+120F_{2n+2}-40(-1)^n).$
この6乗和公式と比べれば, 次の公式は非常に簡単できれいだと思っていただけるであろう.

Fibonacci数の6乗和公式 New!

自然数$n$に対して,
 $\displaystyle \sum_{k=1}^{n}F_{k}^6=\frac{F_{n}^5F_{n+3}+F_{2n}}{4}.$

以下の既知の公式を利用する.
(i) $F_{n}L_{n}=F_{2n},$  (ii) $F_{n+1}+F_{n-1}=L_{n},$ (iii) $F_{n+m}+(-1)^mF_{n-m}=F_{n}L_{m},$
(iv) $F_{n-2}F_{n-1}F_{n+1}F_{n+2}=F_{n}^4-1$ (Gelin-Ces$\grave{a}$ro identity).

$\displaystyle 0=\sum_{k=0}^{n}F_{k-2}F_{k-1}F_{k}F_{k+1}F_{k+2}F_{k+3}-\sum_{k=1}^{n+1}F_{k-3}F_{k-2}F_{k-1}F_{k}F_{k+1}F_{k+2}$
$\displaystyle =\sum_{k=1}^{n}F_{k-2}F_{k-1}F_{k}F_{k+1}F_{k+2}(F_{k+3}-F_{k-3})-F_{n-2}F_{n-1}F_{n}F_{n+1}F_{n+2}F_{n+3}$
$\displaystyle =\sum_{k=1}^{n}(F_{k}^4-1) \cdot F_{k} \cdot F_{k}L_{3}-F_{n}F_{n+3}(F_{n}^4-1)$ (by (iii) and (iv))
$\displaystyle =4\sum_{k=1}^{n}(F_{k}^6-F_{k}^2)-F_{n}F_{n+3}(F_{n}^4-1)=4\sum_{k=1}^{n}F_{k}^6-4F_{n}F_{n+1}-F_{n}^5F_{n+3}+F_{n}F_{n+3}.$
よって,
 $\displaystyle \sum_{k=1}^{n}F_{k}^6=\frac{F_{n}^5F_{n+3}+F_{n}(4F_{n+1}-F_{n+3})} {4}.$
ここで, $4F_{n+1}-F_{n+3}=3F_{n+1}-F_{n+2}=2F_{n+1}-F_{n}=F_{n+1}+F_{n-1}=L_{n}$ (by (ii)).
したがって,
 $\displaystyle \sum_{k=1}^{n}F_{k}^6=\frac{F_{n}^5F_{n+3}+F_{n}L_{n}}{4}=\frac{F_{n}^5F_{n+3}+F_{2n}}{4}$(by (i)).  $\blacksquare$

同様の手法でLucas数の6乗和の公式も導出できる.

Lucas数の6乗和公式 New!

自然数$n$に対して,
 $\displaystyle \sum_{k=1}^{n}L_{k}^6=\frac{L_{n}^5L_{n+3}+125F_{2n}}{4}-32.$

※ この結果はその年に行われた THE THIRTEENTH INTERNATIONAL CONFERENCE ON FIBONACCI NUMBERS AND THEIR APPLICATIONS で発表した. なお, Proceedingsは2010年に出版されている.
 ※ 2013年にGary Detlefs氏が定理1の公式をOEISのA098532に追加している.

投稿日:2021123
更新日:71
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

H.O.
H.O.
43
2986

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中