実数 が有理数ならば,任意の自然数 に対して と定めればよい。
が無理数であるとき,任意の自然数 に対し,
とおくと, は上に有界な空でない整数の部分集合であるから最大数を持つ。
そこで とおき, と定めると,数列 は有理数列となる。
そして が無理数であることに注意すると, であるから, が成り立つ。したがって,
となり, の極限において となることがわかる。
また, であるから, である。
したがって であるから,両辺を で割ると を得る。
以上により,この数列 が所期の性質をすべて満たしていることが示された。
※ 上に示した証明は,端的に言えば実数 を,その 2 進展開小数を有限桁で切り捨てて得られた有理数で近似していくことに相当する。
※ ある に対して となる有理数 が定まっているとき, を満たす有理数 が存在するので,そのような有理数を一つ選び,それを と定めれば, となるので,このように帰納的に有理数列 を定めることもできるが,それには少なくとも可算選択公理が必要であろう。とはいえ,上に示したような議論において選択公理のお世話に全くなっていないかどうかは私にはよくわからない。