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大学数学基礎解説
文献あり

解答:実数の自己稠密性と不等式

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示すべき命題(というよりも,実数 $a$ に関する条件)を論理式で表すと次のようになる。

$(\forall\varepsilon.\varepsilon>0\to a\le\varepsilon)\to a\le 0$.

これは次と同値である。

$\neg (\forall\varepsilon.\varepsilon>0\to a\le\varepsilon)\lor a\le 0$.

これは次と同値である。

$a\le 0\lor (\exists\varepsilon.\neg(\neg(\varepsilon>0)\lor a\le\varepsilon))$.

これは次と同値である。

$\neg(a>0)\lor(\exists\varepsilon.\varepsilon>0\land a>\varepsilon)$.

これは次と同値である。

$a>0\to(\exists\varepsilon.\varepsilon>0\land a>\varepsilon)$.

これはつまり示すべき命題(条件)の対偶であって,どんな正の実数に対しても,
それより小さい正の実数が存在する,という主張に他ならない。

そしてこの対偶は,$\varepsilon:=\frac{a}{2}$ と取れば,
$0<\frac{a}{2}< a$ であるから真であることが直ちにわかる。$\blacksquare$

参考文献

[1]
森毅, 現代の古典解析, 筑摩書房,現代数学社
投稿日:2021126
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投稿者

ひとまず,解析の基礎に関する演習問題として思いつくものを一通り形になすことを当面の目標とする。 前提知識に関するまとめの作成や,問題の配列についてはいずれどうにかしたい。 線形代数などの他の「基礎科目」についても時々投稿するつもりでいる。

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