モノイド $M$ が有限生成であるとは、自然数 $r$ とモノイドの射 $f\colon \mathbb{N}^r\to M$ であって $f$ が全射となるようなものが存在することをいう。また、モノイド $M$ が有限表示であるとは、自然数 $s$, $r$ とモノイドの射 $g$, $h\colon \mathbb{N}^s\to \mathbb{N}^r$ と $f\colon \mathbb{N}^r\to M$ であって $f$ が $g$ と $h$ のコイコライザとなるものが存在することをいう。
まず、$M$ をコイコライザとして表すことを考える。$F=\mathbb{N}^r\times_M \mathbb{N}^r$ をファイバー積とし、$\mathrm{pr}_1$, $\mathrm{pr}_2$ をそれぞれ第 $1$ 成分, 第 $2$ 成分を充てる射影 $F\to \mathbb{N}^r$ とすると、$\mathrm{pr}_1$ と $\mathrm{pr}_2$ のコイコライザは $f$ と一致する。実際、$f$ は集合の圏において $\mathrm{pr}_1$ と $\mathrm{pr}_2$ のコイコライザであるため、モノイドの射 $k\colon \mathbb{N}^r \to X$ であって $k\circ \mathrm{pr}_1=k \circ \mathrm{pr}_2$ なるものについて、$k=k'\circ f$ なる集合の射 $k'\colon M\to X$ が存在するが、$f$ は全射であるため、$k'$ はモノイドの射である。よって $f$ は $\mathrm{pr}_1$ と $\mathrm{pr}_2$ のコイコライザとなる。
$F$ の有限生成部分モノイド $N$ について、$\mathrm{pr}_\bullet$ の $N$ への制限を $t_{N,\bullet}$ と表記し、$t_{N,\bullet}$ のコイコライザを $f_N\colon \mathbb{N}^r\to C_N$ とおく。このとき、モノイド $X$ についてモノイド環 $\mathbb{Z}[X]$ を充てる関手は左随伴を持つため、特にコイコライザを保存する。このとき、$\mathbb{Z}[\mathrm{pr}_\bullet]\colon \mathbb{Z}[F]\to \mathbb{Z}[\mathbb{N}^r]$ のコイコライザは $\mathbb{Z}[f]$ に一致する。ここで、$\mathbb{Z}[\mathbb{N}^r]$ は $r$ 変数 $\mathbb{Z}$-係数多項式環と同型であるため、これは Noether 環である。したがって $\mathbb{Z}[f]$ の核は有限生成イデアルである。またこの核は $x\in \mathbb{Z}[F]$ について $\mathbb{Z}[\mathrm{pr}_1](x)-\mathbb{Z}[\mathrm{pr}_2](x)$ として表される元により生成されるため、有限個の $\mathbb{Z}[F]$ の元 $x_1,\ldots, x_d$ であって、$\mathbb{Z}[\mathrm{pr}_1](x_\bullet)-\mathbb{Z}[\mathrm{pr}_2](x_\bullet)$ 全体が $\mathbb{Z}[f]$ の核を生成するようなものを取れる。このとき、$x_\bullet$ に登場する $F$ の元は高々有限個である。これらの元で生成される $F$ の有限生成部分モノイドを $N$ とおくと、$x\in N$ について $\mathbb{Z}[t_{N,1}](x)-\mathbb{Z}[t_{N,2}](x)$ として表される元により生成されるイデアルは $\mathbb{Z}[f]$ の核と一致するため、コイコライザから誘導される射 $j\colon C_N\to M$ について $\mathbb{Z}[C_N]\to \mathbb{Z}[M]$ は同型である。従って $j$ は単射である。$f$ は全射であったため、$j$ は全射である。よって $j$ は同型である。
$N$ は有限生成であったため、ある自然数 $s$ とモノイドの射 $v\colon \mathbb{N}^s\to N$ であって $v$ が全射であるようなものが存在する。このとき $g=t_{N,1}\circ v$, $h=t_{N,2}\circ v$ のコイコライザは $t_{N,1}$ と $t_{N,2}$ のコイコライザと一致するため、$M$ と同型である。よって $M$ は有限生成である。
よって、有限生成モノイドは有限表示であることが示された。