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大学数学基礎解説
文献あり

四次方程式(根の非調和比)

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四次方程式の四つの根の有理式の中で,最も著しいものは非調和比であろう.(高木貞治『代数学講義 改訂新版』より)

根の非調和比

α1,α2,α3,α4について
v1:=(α1α2)(α3α4)
v2:=(α1α3)(α4α2)
v3:=(α1α4)(α2α3)
k:=v2v3

v1+v2+v3=0

f(x)=1x,g(x)=1x
とおくと ff=gg=id ,fgf=gfg をみたし、
f(k)=v3v2,g(k)=v1v3,gf(k)=v1v2,fg(k)=v3v1,fgf(k)=v2v1

e1:=v2v3
e2:=v3v1
e3:=v1v2

e1+e2+e3=0

g2:=4(e1e2+e2e3+e3e1)
g3:=4e1e2e3

4ei3g2eig3=0  (i=1,2,3)

3次方程式の判別式

Δ3(α,β,γ):=(αβ)2(βγ)2(γα)2

3次方程式の判別式

x3+Px+Q=0について Δ3=4P327Q2

4次方程式の判別式

Δ4(α1,α2,α3,α4):=(α1α2)2(α1α3)2(α1α4)2(α2α3)2(α2α4)2(α3α4)2
=(v1v2v3)2

Δ:=g2327g32=24Δ3(e1,e2,e3)=2436Δ4(α1,α2,α3,α4)

3次方程式の解の公式

x3+Px+Q=0について解を x=α,β,γ
ωω2+ω+1=0 とする.
A=α+β+γ ,B=α+βω+γω2 ,C=α+βω2+γωとおくと
A+B+C=3α ,A+Bω2+Cω=3β ,A+Bω+Cω2=3γ となるので、
BC=3P,B3C3=27P3,B3+C3=27Q
(B3C3)2=(27Q)24(27P3)=27Δ3 をみたす.
このとき、解の公式は以下のように与えられる.
α,β,γ=(Q2+12(Δ327)12)13ωt+(Q212(Δ327)12)13ωt
ここで t=0,1,2 

y=x2x+1 ,l=k2k+1 とおくと
ij(x+vivj)=(xk)(x1k)(x+k1)(x+1k1)(x+1kk)(x+k1k)
=(yl)(ylk2)(yl(1k)2)=y3l3(1y)2(1l)2

y3l3(1y)2(1l)2=0y3(1y)2=l3(1l)2=27g234Δ

e1e2+e2e3+e3e1=3(v1v2+v2v3+v3v1)が成り立つ.
v1v2+v2v3+v3v1v32=v1v3v2v3+v2v3+v1v3=(1k)kk+k1=l
および
1l=kk2=(1k)k=v1v2v3v33
が成り立つので、
l3(1l)2=(v1v2+v2v3+v3v1)3(v1v2v3)2=27g234Δ

J関数

J=g23Δ

4l3g23=27(1l)2Δ=4l327(1l)2g23Δ=(k+1)2(k2)2(2k1)227g32

XY=ZWXY=ZWXZYW
を利用するとよい.
φ(l)=4l327(1l)2lで微分すると12l254(l1)=6(2l3)(l3)なのでφ(3)=φ(3)=0よりφ(l)=(l3)2(4l3)=(k2k2)2(4k24k+1)=(k+1)2(k2)2(2k1)2

xについての6次方程式
(x2x+1)3x2(1x)2=274J
について
a:=x+1x1 , P:=274Jとおくと、aについての3次方程式
a3a1=P
を得る.
a3Pa+P=0の判別式は4P327P2=P236g32Δ=P2(k+1)2(k2)2(2k1)2k2(1k)2
となるので、
±Δ3=P(k+1)(k2)(2k1)k(1k)

参考文献

[1]
高木 貞治, 代数学講義 改訂新版
投稿日:202125
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