はじめに
この記事では-ナッチ数の性質についてペル方程式の視点から私なりに考察した結果を紹介します。
ペル方程式とはという形の不定方程式のことを言うのでした。
そしてフィボナッチ数とリュカ数はペル方程式
を満たします。このような関係は-ナッチ数についても言えるのでしょうか。
フィボナッチ数とペル方程式
まずフィボナッチ数とペル方程式の関係についてのカラクリを紐解いていきましょう。
フィボナッチ数とリュカ数は方程式の解(は黄金比)によって
と書けるのでした。逆にこれをについて解くと
と表せます。そして解と係数の関係からであるので
という関係が得られます。
ここで重要なのはという事実です。これはがの単数であることを意味しています。そしてペル方程式
を解くことはの単数を求めることに他なりません。
上ではにおけるペル方程式の形になっていますがこれをにおける形
に直してみましょう。まず簡単な議論によってはフィボナッチ数によって
と表せることがわかります。つまりはの単数となるわけです。これをペル方程式の形に直すと
となります。これが本質的にフィボナッチ数が満たすペル方程式と言えるでしょう。
ちなみに最初の式は二次形式の標準化によって
と変形したものもしくは
と変形したものになります(に注意する)。
一般化
さて先の節ではペル方程式とはの単数を求める問題に等しいという話をした。ペル方程式の一般化にはの単数を求める方程式、例えばのときは
といったものも考えられているが、ここでは代数的整数に対しての単数を求める方程式のことをペル方程式と呼ぶことにしよう。
なぜのペル方程式ではダメなのかと言うとのときの解の一つは
であるように全く冪根の形をしていないためである。
では-ナッチ数はどのようなペル方程式を満たすのか考えてみよう。
いま方程式
の解に対しは-ナッチ数を用いて
と表せる(
この記事
の定理3参照)。そして解と係数の関係からが成り立つので
という関係式が得られる。
これが-ナッチ数の満たすペル方程式と言えるだろう(どう整数係数の形に表せるかはまだ考察していない)。
トリボナッチ数とペル方程式
ひとまず一般のについての話はおいといて、以下ではのときを考えていこう。
このときトリボナッチ数の満たすペル方程式は以下のようになる。
これを頑張って展開すると
となる。
ところで私が-ナッチ数の満たすペル方程式を考え始めたのは「フィボナッチ数にはリュカ数という伴侶がいる」という言葉を耳にして「ならば-ナッチ数には-リュカ数以外にも人の伴侶がいるはずだ」と思い立ってのことでした。そこで個の未知数からなるペル方程式に目を付けたわけです。
そんなわけでまずトリボナッチ数の満たすペル方程式がトリボナッチ数と3-リュカ数ともう一人の伴侶(?)によってどう表現できるのか考えてみました。
まずフィボナッチ数で
と変形したようにトリボナッチ数でも同じことを考えてみましたが
とまとまらない項が出てきてうまくいかなさそうでした。
もしくはの係数をにこだわらなければ
と変形できるのでとおくと
となった。
一応の項が消えているという点ではまとまっているとは言えなくもないですが、まだごちゃごちゃしている気がします。
ついでに(に起因されて)としたらうまくいかないか考えてみると
と変形できるので
となる。
こうなるとの項が消えているという共通点こそあれど係数が大きくなっていよいよ何が何だかという感じですね。
まとめ
上で考えてきたようにトリボナッチ数のもう一人の伴侶はなのかなのかはたまた全く違う数列なのか、そして-ナッチ数の伴侶たちはどう一般化されるのか(そもそも-リュカ数は-ナッチ数の伴侶なのか?!)、といった問題はまだまだ謎のままですが私の考察は以上になります。
なにか面白いアイデアが浮かんだ人はぜひコメントなり記事なりに残していってください。