この記事ではヘロンの公式をn次元に一般化した公式を紹介します。 まずヘロンの公式とは以下の公式のことを言うのでした。
三辺の長さがそれぞれa,b,cなる三角形の面積SについてS=s(s−a)(s−b)(s−c)(s=a+b+c2)が成り立つ。
そしてこれをn次元に一般化した公式:ケイリー・メンガー行列式は以下のようになります。
n個の線形独立なベクトルx1,x2,…,xnによって張られる錐体の体積VについてV2=det(xi⋅xj)1≤i,j≤n(n!)2=(−1)n+12n(n!)2det(0111⋯110d0,12d0,22⋯d0,n21d0,120d1,22⋯d1,n21d0,22d1,220⋯d2,n2⋮⋮⋮⋮⋱⋮1d0,n2d1,n2d2,n2⋯0)が成り立つ。ただしd0,k=|xk|,di,j=|xi−xj|とした。
実際に例えばn=2(三角形)のときにこれを計算するとS2=−122⋅22det(011110a2b21a20c21b2c20)=124((a2b2+b2c2+c2a2)−(a4+b4+c4))=s(s−a)(s−b)(s−c)とヘロンの公式が得られたり、S2=122det(α⋅αα⋅ββ⋅αβ⋅β)=122(|α|2|β|2−(α⋅β)2)とよく知られた公式も出てきます。 ちなみにn=3(三角錐)のときは36V2=det(|x1|2x1⋅x2x1⋅x3x1⋅x2|x2|2x2⋅x3x1⋅x3x2⋅x3|x3|2)=|x1|2|x2|2|x3|2−|x1|2(x2⋅x3)2−|x2|2(x3⋅x1)2−|x3|3(x1⋅x2)2+2(x1⋅x2)(x2⋅x3)(x3⋅x1)なんていう公式が成り立ったりします。
x1,x2,…,xnが張る錐体と平行体{∑k=1ntkxk∣tk≥0,∑k=1ntk=1},{∑k=1ntkxk∣tk∈[0,1]}の体積をそれぞれV,V′とおくとV=V′n!が成り立つ。
適当な線形変換によってx1,x2,…,xnは正規直交基底であるものとしPn=∫tk≥0∑k=1ntk=1dt,Cn=∫[0,1]ndt=1を考える。このときPn=∫01(∫tk≥0∑k=1n−1tk=1−tndt′)dtn=∫tk≥0∑k=1n−1tk=1dt′∫01(1−tn)n−1dtn(tk↦(1−tn)tk)=Pn−1nなのでP1=1=Cnに注意するとPn=P1∏k=2n1k=Cnn!を得る。
あとはV′=|det(x1x2⋯xn)|を変形していく。V2=(V′n!)2=1(n!)2det((x1x2⋯xn)t(x1x2⋯xn))=1(n!)2det(xi⋅xj)1≤i,j≤n⋯(∗)=12n(n!)2det(2xi⋅xj)=12n(n!)2det(d0,i2+d0,j2−di,j2)=(−1)n2n(n!)2det(di,j2−d0,i2−d0,j2)=(−1)3n+32n(n!)2det(000⋯010−2d0,12d1,22−d0,12−d0,22⋯d1,n2−d0,12−d0,n200d1,22−d0,12−d0,22−2d0,22⋯d2,n2−d0,22−d0,n20⋮⋮⋮⋱⋮⋮0d1,n2−d0,12−d0,n2d2,n2−d0,22−d0,n2⋯−2d0,n20100⋯00)=(−1)n+12n(n!)2det(0d0,12d0,22⋯d0.n21d0,12−2d0,12d1,22−d0,12−d0,22⋯d1,n2−d0,12−d0,n20d0,22d1,22−d0,12−d0,22−2d0,22⋯d2,n2−d0,22−d0,n20⋮⋮⋮⋱⋮⋮d0,n2d1,n2−d0,12−d0,n2d2,n2−d0,22−d0,n2⋯−2d0,n20100⋯00)=(−1)n+12n(n!)2det(0d0,12d0,22⋯d0.n21d0,120d1,22⋯d1,n21d0,22d1,220⋯d2,n21⋮⋮⋮⋱⋮⋮d0,n2d1,n2d2,n2⋯01111⋯10)=(−1)n+12n(n!)2det(0111⋯110d0,12d0,22⋯d0,n21d0,120d1,22⋯d1,n21d0,22d1,220⋯d2,n2⋮⋮⋮⋮⋱⋮1d0,n2d1,n2d2,n2⋯0)といった具合である。
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