この記事では超越数論におけるリンデマン・ワイエルシュトラスの定理について解説していきます。
互いに異なる代数的数
この定理において選ぶ代数的数のひとつを
つまり
が言えるのでこの定理から無数に超越数を得ることができます。
ちなみにリンデマン・ワイエルシュトラスの定理は言わば指数関数に対する超越性についての定理となりますが、その対数関数版としてベイカーの定理というものがあります(証明はせきゅーんさんの記事などを参照されたい)。
リンデマン・ワイエルシュトラスの定理では
という形の超越数が作れるのに対し、ベイカーの定理では
という形の超越数が作れるので個人的に前者は和についての、後者は積についての定理というイメージが強いです。
まず初めに所望の性質より弱い以下の主張を示す。
それぞれ異なる最小多項式を持つ代数的数
は
ある
が成り立つと仮定して矛盾を導く。
以下簡単のため
と表せる。
また
とおく。
と求まるので仮定より
となる。ここで
および
であることに注意すると
十分大きい任意の
に注意して
とおくと
また対称性より
とすると
つまり
いま
と評価できるので
となる。この右辺は
次に命題3を用いてより強い以下の主張を示す。
互いに異なる代数的数
今回もある
が成り立つと仮定して矛盾を導く。
まず
が成り立つ。ただし
いま仮定の左辺
を展開したときの
とおくと対称性より
とおくと仮定よりこれは
しかし各
であるので矛盾。よって主張を得る。
最後に命題6を用いてリンデマン・ワイエルシュトラスの定理を得る。
互いに異なる代数的数
今回もまたある
が成り立つと仮定して矛盾を導く。
例のごとく
自然数
とおくと、対称性より
とおくと
しかし
であるので矛盾。よって主張を得る。