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東大数学2020を実況する

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はじめに

この記事では, 需要が多そうだった, 「東大数学2020の脳内実況」をしていきたいと思います.

頑張って書くので, ぜひ最後まで読んでいただきたいです.

ちなみに, 以下では計算ミスとかは直していますが, 実際の私の出来は, 5の後半でミスと6の最後で時間が足りなくなってしまったので, 点数で言うとまあ90点くらいかなと思います.

解いた順番は, 前から順番に解きました. (悪い癖です...) 時間は, 25/25/25/30/25/20(←6は途中まで)という感じです.

では, 始めようと思います. 以下, 口調が崩れます. 読み苦しいかもしれませんがご容赦ください.

第1問


a,b,c,pを実数とする。不等式
ax2+bx+c>0bx2+cx+a>0cx2+ax+b>0
をすべて満たす実数xの集合と, x>pを満たす実数xの集合が一致しているとする。

(1)a,b,cはすべて0以上であることを示せ。
(2)a,b,cのうち少なくとも1個は0であることを示せ。
(3)p=0であることを示せ。

(なんか文字も条件式も多くて1問目から大変そうですね...🤔 あれ, でもこれ x>p になるってことほとんどないんじゃないですかね??実際にグラフを書いてみると, 放物線が上に凸だったらxがいくらでも大きくなれるわけがないし, 下に凸だったとしても今度はすごく小さいxが満たしちゃいますからね... あ, やっぱり全部放物線っていうのは無理で, (2)にあるようにどれかは直線なんですね〜☺️)

では(1)はいま考えたように, どれかが負ならおかしいとして背理法ちっくにやってみればいいんですね〜. まあこれは2次の係数が負ならxとしたら左辺はいくらでも小さくなるので, 十分大きいxでどれかの不等式を満たさなくなってしまう, みたいに記述すれば良いですね✨ こういう抽象的な問題で, 「十分大きいx」とかを考えるのは大事だと思います.

(2)は少し面倒そうですね... あ, でも鉄則の「『少なくとも』は否定する!」を使うと, a,b,cが全て正だと仮定して矛盾を導けば良いんですね〜. これならさっき考えたように, グラフを描いてみれば, 十分小さいxでも全ての不等号を満たしてしまって「x>p」が実現できないって言えば良いですね. やっぱりお絵描きは大事です🥰

(3)はなんか, 難しいですね...🤔 とりあえずa=0としてみます. そうすると条件は, bx+c>0,bx2+cx>0,cx2+b>0ですね. b,cも正だったので,(※嘘です. どちらかが0のときもOKなことの言及が必要です😢) これは結局0<xになるのでp=0ですね. 思ったより簡単でした.😚

第2問


平面上の点P,Q,Rが同一直線上にないとき,それらを3頂点とする三角形の面積をΔPQRで表す。また,P,Q,Rが同一直線上にあるときは,ΔPQR=0とする。
A,B,Cを平面上の3点とし,ΔABC=1とする。この平面上の点X
2ΔABX+ΔBCX+ΔCAX3
を満たしながら動くとき,Xの動きうる範囲の面積を求めよ。

これは...なんか抽象的で難しそうです🤔 まあでもこれは相似とかのあれなのでどんな形でもいいのかなって思うとわりとお絵描きが楽ですね〜

とりあえず不等式の中辺をS(X)とおいて, 半直線AB,ACで囲まれた部分を「A内」と呼ぶことにしましょう.(3つの直線で平面を区切って場合わけが必要そうなので.)

まず適当にお絵描きしてみるとXΔABC内や周上にあるときにはちょうどS(X)=1となることがわかりますね. これは面白いです🤭 次にA内にあるときには, ΔABXΔCAXがちょうどΔABCを含んでいる構図になっていて, S(X)=1+2ΔBCXになりますね. Aの反対側(説明しずらいのですが)にある場合もうまくできないか考えてみると今度はS(X)=2ΔBCX1と書けそうです. これも綺麗で面白いですね🥰

まあ以上のようにしてS(X)が事実上1変数になったので, もうあとは適当に記述するだけですね〜. 領域を図示してみてきちんと繋がっているかにも注意しました. やっぱりこういう抽象的な問題はまず条件を簡単に理解するためにお絵描きするのが大事ですね🥳 3変数を1変数に直すのも大事だと思います.

第3問


1t1を満たす実数tに対して,
x(t)=(1+t)1+ty(t)=3(1+t)1t
とする。座標平面上の点P(x(t),y(t))を考える。

(1)1<t1におけるtの関数y(t)x(t)は単調に減少することを示せ。
(2)原点とPの距離をf(t)とする。1t1におけるtの関数f(t)の増減表を調べ,最大値を求めよ。
(3)t1t1を動くときのPの軌跡をCとし,Cx軸で囲まれた領域をDとする。原点を中心としてDを時計回りに90回転させるとき,Dが通過する領域の面積を求めよ。

なんとこれは, 計算するだけではないですか...! しかもご丁寧に誘導までついています🥰 これは確実にとるつもりでいきます💪

(1)は簡単ですね〜. これ, 分子の1tは単調減少で, 分母の1+tは単調増加なんですから, yxは単調減少に決まっています🤭 微分する必要がなくて安心しました〜.

(2)も微分するだけですね. これは根号をとらずにx(t)2+y(t)2の増減を調べると楽かなあと思いました. まあ何も難しいことはないです.

(3) OPの傾きが単調減少なことから, 適当に図示ができそうです. まあこれはどうせ回転するんですし, 問題の流れから言って正確に図示する必要は全くなさそうですね☺️

で, 実際に描いてみるとよくあるあれになりますね. 小学校の時にもやったように, 扇型とDの面積になるっていうだけでした🧐 でもこれは回転の際に自己交差しないっていうのが必要なんでしたっけ... まあ(1)(2)よりって書いておけば大丈夫ですよね.

あとは面倒な積分を計算すれば良いです. 定積分は毎行見直します! あ, ちなむと私は反時計回りに回してしまったのですが, まあ全く本質的でないので東大さんなら減点なしですよね🤔🤔🤔

第4問


n,kを,1knを満たす整数とする。n個の整数
2m(m=0,1,2,,n1)
から異なるk個を選んでそれらの積をとる。k個の整数の選び方すべてに対しこのように積をとることにより得られるnCk個の整数の和をan,kとおく。例えば,
a4,3=202122+202123+202223+212223=120
である。

(1)2以上の整数nに対し,an,2を求めよ。
(2)1以上の整数nに対し,xについての整式
fn(x)=1+an,1x+an,2x2++an,nxn
を考える。fn+1(x)fn(x)fn+1(x)fn(2x)xについての整式として表せ。
(3)an+1,k+1an,kn,kで表せ。

わあ, これはなんとも難しそうです...🤔 とりあえず実験はしてみるものの, 全然法則がわかりません... (1)だけは機械的に計算できそうなのでやってみますか...

(1) これは20,21,,2n1から2個選ぶので, その2個を2i,2j (0i<jn1)とおけば良いですね. 2文字についての和はまあ片方固定すれば良いので, これは結局i=0n2(2ij=i+1n12j)を計算すれば良いんですね. (2ijに関するの外に出しました.) これは単純計算です😚

(2) ちょっと意味がわからないので実験してみます...
f1(x)=1+x
f2(x)=1+3x+2x2=(1+x)(1+2x)
f3(x)=1+7x+14x2+8x3=(1+x)(1+2x)(1+4x)

なるほど, これって解と係数の関係なんですね...!面白いです!(文字には表せない感動でした🥺)まあ後から考えてみたら, n文字からk文字を選んで掛け合わせるなんて, そのまんまですけどね...🤔 でもやっぱり実験は大事です!

これさえわかれば, fn+1(x)fn(x)=1+2nx, fn+1(x)fn(2x)=1+x が簡単にわかりますね〜

(3) これ, (2)って, fn+1(x)=(1+2nx)fn(x)=(1+x)fn(2x)っていう2つの恒等式が成り立つって言ってるわけで, これはすごいことですよ...!🤭 恒等式といえばもちろん係数比較したくなりますよね?(まあこれは少し慣れが必要かもですが)

と, いうことで2つの恒等式のxnの係数を比べてみれば, なんかaの3つにわたった関係式(漸化式?)が2つでてくるので, 1つ消去すればうまいこと題意の式が得られるという感じでした🥳

あ, ちなみにこの問題, 予備校の先生はワアーケイシキテキベキキュウスウガシュツダイサレターサスガトウダイサマダーとか言ってるかもしれませんが, そんな名前はどうでもよくて, 知らなくても解けるようになってるので, 惑わされないでくださいね😉

第5問


座標空間において,xy平面上の原点を中心とする半径1の円を考える。この円を底面とし,点(0,0,2)を頂点とする円錐(内部を含む)をSとする。また,点A(1,0,2)を考える。

(1)PSの底面を動くとき,線分APが通過する部分をTとする。平面z=1によるSの切り口および,平面z=1によるTの切り口を同一平面上に図示せよ。
(2)PSを動くとき,線分APが通過する部分の体積を求めよ。

やっぱり求積問題ですね!! でもこれは2018や2019のと比べても割と楽な気がします... 頭の中でもけっこう簡単に想像ができます, (1)はななめの円錐ですよね...🤔

(1) 線分のお話ですので, やっぱりこれはベクトルを使うと議論がしやすいですよね!OP=r(cosθsinθ) (0r1,0θ<2π)とおいて, 切り口の点をQとでもすればOQ=OA+12AP=(1201)+r2(cosθsinθ0) と書けるので, (12,0,1)中心の半径12の円だとわかりますね😊

(2) これは, なかなか面倒そうです... (1)から, どうせ切り口は, なんか円が移動した時の通過範囲(?)みたいになっていることはわかるのですが, きちんと議論しにくいです...

しかたないのでz=tでの断面は, 点Pが円錐Sのうちz=sの部分を動いた時のQを同様に考えてから, 0stと動かすことにしましょう. これは文字が多くて大変です😖 (実際これで計算ミスしました...) まあでもできる図形はわりとわかっているので, 冷静にいけば良かったです...😢

結論として, 求積問題は断面を冷静に求めれば解ける, っていうことですね!

第6問


以下の問いに答えよ。

(1)A,αを実数とする。θの方程式
Asin2θsin(θ+α)=0
を考える。A>1のとき,この方程式は0θ<2πの範囲に少なくとも4個の解を持つことを示せ。

(2)座標平面上の楕円
C:x22+y2=1
を考える。また,0<r<1を満たす実数rに対して,不等式
2x2+y2<r2
が表す領域をDとする。D内のすべての点Pが以下の条件を満たすような実数r(0<r<1)が存在することを示せ。また,そのようなrの最大値を求めよ。

条件: C上の点Qで,QにおけるCの接線と直線PQが直交するようなものが少なくとも4個ある。

ついに第6問です...! なんか変な問題ですね...🤔 (1)(2)の明らかな誘導なんですね. では(1)は簡単めなんですかね...

(1) これはお絵描きしてみるとわかりますね!Asin2θのグラフは, 高さA>1の大きな山と谷を4つ持っていて, そこで絶対にsin(θ+α), whose 山 は高さ1, を追い抜かす=交わっているはずなので, 結構簡単にわかりました.

これは具体的には, θ=π4,34π,54π,74πで左辺の正負が4回逆転しているので, 0になる点も4つある, みたいに中間値の定理から言ってあげればいいですね😊

(2) 抽象的でよくわからないですね... とりあえず, 式変形したら(1)の形が出てくることを願って計算していきます😱 こればっかりはどうしようもないですからね...

C上の点Q(2cosθ,sinθ)での接線の法線ベクトルは, いろいろな計算により(cosθ2sinθ)と書けるので, PQがこれの実数倍であれば良いです. P(scosφ2,ssinφ) (0s<r)みたいに書けるので, 結局
(2cosθscosφ2sinθssinφ)=t(cosθ2sinθ)
と書ければ良いですね. この2式からtを消去すると, なんとちょうど加法定理が使えて, 12ssin2θsin(θφ)=0とすることができました!!🥳

これのθの解が4つであれば良いので, (1)より, 12s>1つまりs<12ならば少なくとも4解を持ちます. 0s<rを思い出して, r12くらいの小さなrならば条件を満たすことがわかりました!

なのでrの最大値は12と予想できますね. (私はここで時間切れとなりましたが) あとはr>12のときはあるr,s,φが存在してθの解が3つしかないことがあり得ることを言えばよさそうです. まあこれは少し面倒ですね...🙄

おわりに

もし, こんなに長い長い文章を最後まで読んでくださった方がいらっしゃったら, 本当にありがとうございました!!🥰✨

実際のところ, 今回ですと6とかで気付けるかどうかは少し運もあると思うので, ここまでうまくいくとは思いません...😔 それでも, 私の考え方を文章にしたことで何かの参考になれば嬉しいなと思っています. それに, 改めて文章にしたことで私自身も成長できた気がします!(?)笑

結局, 数学の問題はお絵描きが大事ということですね〜, 特に入試問題は文章だと一見条件が複雑に見えるように作られていると思うので!

ではもう一度になりますが, ありがとうございました! 2021バージョンのこれを書けるように, 頑張って参ります💪

投稿日:2021218
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東大数理M1

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  1. はじめに
  2. 第1問
  3. 第2問
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  7. 第6問
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